2013-08-16

8月16日 お盆サッパーズの襲撃

 昨日子供の頃からお世話になっている大先輩から電話があった。
彼は鎌倉逗子方面では上級者が乗るスポットとして有名な場所の常連さんでそこで彼のことを知らない人はいないだろう,というか知らなかったら知らない本人がそこに普段いない人のはず。
このスポットをかりにOスポットとしよう,彼の他にもここの波を40年くらい乗り続けている人はたくさんいるし、サーファーの間ではどちらかと言うとその名前を口にするのもはばかられる(たくさんの人に知られると困るとか,おそれ多いとか)ような雰囲気すらある。もちろん下手なサーファーやルールをよくわかっていないサーファーはでてはいけないという暗黙の了解もあるし,ドロップインはもちろん,自分がテイクオフしようとして逃してしまったり,インサイドで巻かれていて誰かの乗ってるラインを邪魔したりすることも御法度のスポットだ。まあ,だいたいにおいてリーフブレイクはそれが当然なのだが。

『久々ー元気?』となつかしい明るい声が電話の向こうにあった。でも話しているとせっかく彼のホームスポットがいい波だったのに,空気の読めない,そして来るべきレベルに達してもいないスタンドアップパドラーがたくさんいてぐちゃぐちゃだったらしく,「最初は丁寧に注意してたけど最後は怒鳴りまくってたよー。で,友子明日来なよ,ちゃんと注意してくれよ」という話になった。私だって注意する人になんてなりたくない,でもサーファーにいわれる前にお互いに注意しなくてはいけないとは思っている。そんな気持ちになるのが嫌でそのスポットは波がいいときは敢えて行かないようにしているくらいなのだ。嫌だけど先輩にそう言われればいくしかない,と覚悟を決めたが,幸か不幸か次の日の朝は風が入っていて波も落ちたため先輩達はサーフィンにいかなかったようだ。

このスポットでのスタンドアップパドラーのマナーの悪さは私も2年くらい前にすごく感じていた。あまりにひどくて同じ仲間だと思われるのが恥ずかしいから波があるときは全くいかなくなってしまったほどだ。ただ当時より最近は皆が注意しあって,雰囲気も良くなってきてるという話を聞いていた。それはそこでいつも乗っているスタンドアップパドラーの人たちが周りに声をかけて努力しているからにちがいない。

先輩の話を聞いて,ほんとに悲しくなった。皆が大事にしているスポットで,新参者の私達もたまーにあまり波を乗せてもらって少しずつサーファーとの距離を縮めようとしているところに,心ないスタンドアップパドラーがドロップインしたり,回り込まずにインサイドからまっすぐピークに向かってきたりすることでサーファーが怒り,結果そのスポットはスタンドアップ禁止,なんてことになりかねない。
『最近はポイントの雰囲気結構よくて皆マナー守ってるって聞いたんですけど,ひどいですね』と申し訳ない気持ちでいうと、彼は
『顔見知りのやつは結構いるよ、でもそういう奴らはサーファーで混んでたから今日はそうそう引き上げていったんだ。(正しい判断)で、その後、普段見ない顔、お盆休みだけ来た,って感じのヘタクソでルールもわかってないやつが大勢でてきたんだよね」
インサイドで巻かれたら波に乗ってる人の邪魔をしないよう回り込んでカレント使って出るのがマナー、ドロップインはもちろんダメだけど,スタンドアップで乗っているならサーファーにまず乗ってもらってから自分が波をとるべき。一番先に沖から乗るのではなく,サーファーのインサイドでサーファーが乗らなかった波を取るくらいの気持ちでいるべきなのに,沖から思い切り漕いで,結局逃したりしている様子に一気にラインナップの雰囲気がぶちこわしになったようだ。
彼は奥からスープを乗り継いできたスタンドアップパドラーにHEY!と言われたらしい(つまりこの波は自分のだからどけという意味)そんな場面想像しただけで恐ろしい。もうちょっと先輩が若くて血気盛んだったらその人はぼこぼこになっていただろう。このスポットはサーファーの間でもよそからきた人が路上駐車してすべてのタイヤをナイフで穴あけられたり、ちょっとでも粗相をすればピークに入られないくらい厳しい,もし乗ろうとパドルしてその波を逃したら申し訳なくて一回インサイドに戻ってペナルティーボックスに入る、くらいの気持ちが必要なのだ。

この辺のマナーやルールは上手くなることより大事。だからこそ私は一年以上このことについて記事を書かせてくれと雑誌に頼んできたし,やっとそれが今回記事として出してもらえた。もしルールやマナーについて自信がない人は是非雑誌PADDLEの中にあるルールについての記事,あるいはハワイのローカルが書いたマナーについてのオンライン記事KOOK OR KOOL? を読んでしっかり実践してほしいと思う。このスポーツを好きなら大事にしていきたいと思うなら,一本や二本波に乗れなくても長い目で見て,サーファーや他のスポーツを楽しんでいる人と共存することを大事にするべきだと思う。本来皆が周りを見て気くばりできていたら、ルールやマナーなんて口にする必要もないのだ。ルールだけにこだわらず思いやり、気くばり、そしてシェアのスピリットを大事に海に入ってほしいと思う。


こういう場合はどうすればいいの?という質問があればいつでも相談に乗るので気軽にメールをください。
お盆サッパーなんてだれも呼ばれたくはない,普段いかないスポットに行っても嫌がられないマナーと気くばりをもつビジター、意固地に威張り散らすのではなく、ルールが守れる限りだれでも快く歓迎し、ピークにいるみんながきちんと乗ることを見守り、シェアしながら乗れるローカルであることを皆で心がけましょう。
(湘南ではとんでもない混雑のときもある,もちろんこんなところに出て行こうなんていうスタンドアップパドラーはいないと思うけど)
もうすでにスタンドアップ禁止!なんていう声や動きもちょこちょこでている。そんな気持ちにさせないようにもこれからもいい波のところですいてるときには乗ることを許されるためにも,そのスポットの波を心から大事に思っているローカルのためにも,このスポーツのいい形での発展のためにもどうかいい波のスポットを荒らすような行為は避けてほしいと思う。出来ればせっかくだから挨拶はしよう。
いい波のところがすべて禁止になったら泣くのは私達,そしてラインナップの雰囲気はわかってない人が一人いるだけですぐ壊れる。
ちなみに坂の下、稲村なども同じような状況だったらしい。皆で気をつけましょう。

Don't be a Obon Supper, be a respectful supper.
これから台風の波が入ってくる季節、全面サップ禁止なんかにならないよう、皆で注意しあってにこやかに皆で波をシェアしたいな。

2 comments:

  1. ナルさんとこから飛んできました。
    ローカルはあの頃の一時代みたいに、キツくなるべきだと最近思う。
    川畑(日南市)さんとこは、既に出禁発令したし
    (*゚▽゚*)

    ReplyDelete
  2. 本来一人一人が気をつければルールを作る必要も,乗る場所を限定する必要もないはずなんですよね。自分一人が乗ってても皆がそれを喜んでなければ喜びも半減です。人が楽しんでいるのを見て喜び,自分が乗ってるのを感性あげてくれる周りの人がいてさらに喜びが大きくなる,そんな波乗りが出来るといいなと思います。ローカルもただただむやみにきつくなるのではなく,その場所に必要なルールをちゃんと守ってもらえるようまずは礼儀正しく挨拶を交わしたり,ここではこんな感じでやってますって説明してわかってもらえるように努力する必要もあると思います。ちゃんとマナーが出来ていればだれでもウエルカムなブレイク、ビジターの見本になるようなローカルのマナーと言うのも課題だと思います。そのうえで丁寧にいっても逆ギレしたり聞いてくれない人は厳しく対応していけばヘルシーでしゃきっとしたサーフポイントになるのではないでしょうか?人数が増えれば増えるほど難しいけど。

    ReplyDelete