2012-08-01

8月1日 サニーデイでの一日

 昨日の晩遅くに気仙沼に移動、この場所は私が最も好きな場所の一つになりつつある。

去年震災後にここでであった人たちは私の大切な友人となり、そのうちの二人は一年経った今、マウイに住み、子供を産んで暮らしている。人生ってほんとに不思議。
想像を絶するようなことを次々と経験し、未だに大変なことが多いなか、強く明るくそしてユーモアと本当に大切なことを決して忘れずに毎日暮らしている人たちの強さとやさしさに私はやられっぱなしだった。海なしでは生きていけないような人たちだが、一年間は喪に服し、海に入っていなかった。連休以降少しずつ海に入っているという噂を聞いたりしていたけれど、地盤沈下で水深が深くなり、今までいい波がブレイクいたところもあまり割れなくなったらしい。そんなこともあってスタンドアップを始めたということも聞き、うちにあるデモボードも持っていっていろいろ楽しんでもらえれば、と思ったのだ。去年の一時期は復興の一環としてこのエリアを使ってエコツーリズム的なこともできたらいいなというアイデアなどもあり、漁業体験、農業体験と同時にカヌーやスタンドアップなどを教えるセンターなども面白いのでは、という話もあった。そういう話が進んだらいろんな面でお手伝いができるのではと考えてもいた。
何はともあれ、海なしの人生なんて考えられないような人たちがまた海に入り始め、そのすばらしい時間を一緒に共有させてもらえるのは本当にうれしいこと、だからここで一緒に海に入ることはとっても楽しみにしていた。
去年の面影を残す場所、すっかりきれいになってる所、朝お散歩ながらいろんなところを見て回った。志津川ローカル、漁師でもありサーファーでもある佐藤さんも来てくれてみんなで海へ。急な坂道をおりていくポイントにスタンドアップボードを運ぶためにリヤカーで即席キャリアーを作って運んだ。

 (みんなに和みの場を与えてくれるサニーデイのオーナー、金野さん。)
 佐藤さんはこの辺りではサーファーの中心的人物、50歳を超えているのに体にはいっさい贅肉もなく、ものすごくタフ、彼の震災の話は本当にリアルで身が震える。スタンドアップのバランスにちょっと四苦八苦しながらも波にいったん乗ってしまえばこの通り。
 佐藤さんをみていると人間の本当の強さってこういうものなんだって思う。何があっても動じない、そして自分のことだけでなく、すべての人に対して公平であり、正しいこと、自分が信じることを貫抜き、意見もしっかり言える、自分のおかれた立場について弱音を吐いたのを聞いたことはないけど、周りの人たちみんながおかれた境遇に対しては、常にオピニオンを発している。こういう人がコミュニティーに一人いるだけでずいぶんそこの士気が高まるんじゃないかなあ。でも彼もいろんなことの矛盾やあり得ないやり方などに憤慨をこえてあきらめに近い思いを持ち始めているようにも見えた。これだけ強くたくましい人でそうなんだから普通の人ではほんとにへこたれて投げ出してしまいたくもなるだろう。東北の海岸線に15mの堤防をたてる計画についての話も聞いた。住民でそれに賛成している人など一人としていない、でもそういう仕組みになってしまう理由、そしてそれを防ぐために文書にして住民が反対をはっきり示さないでいるとそのまま堤防がたてられてしまうこと、30億あったはずの町に送られた支援金がもう5000万しか残ってないのに、被災した土地はまだ全くかわっていないこと、などいろんな話を聞かせてもらった。
 それにしても貸し切りの海、殺人的に熱い日差しと透き通る美しい海と落ちても気持ちいいくらいの水温。波はこのポイントにしては特別いい方ではないのかもしれないけど私にとっては十分楽しかったし、彼らがいうようにスタンドアップに適したコンディションだった。
へとへとになった後はみんなでBBQ、佐藤さんは新鮮な(というかまだ生きている)ウニをものすごい量持ってきてくれていて、それをすべて丁寧に向き、洗い、その上ちゃんとしばらく冷蔵庫で冷やして身を引き締めた状態でごちそうしてくれた。10人以上いたメンバーがみんなどんぶり一杯分くらい食べられるだけのウニがあったけど全部洗うのに2時間かけて作業してくれていた。ウニに目がない私が、もう十分食べたと満足するほどたくさんいただいた。

 中村さんは石巻で被災した。工場も家も両親の家もすべて何もかも流されたけれど、誰よりも早く自分で家族をなんとか守るために動き、何もない中でサバイバルな生活を楽しんでるかのようにも見えるほどタフでポジティブな人だよとマウイに移ってきたオータムがいつも話してくれていた。丁寧に上質のウエットスーツを作ることで知られる5スターウエットスーツのオーナーでもある。みんなそれぞれいろんな経験をしながらも強く明るくがんばっている。
いつでもたくさんの笑顔があるサニーデイ、家を流されたお母様のために新しい家が廃材を利用して建てられている。

 スタンドアップパドルのレクチャー、なんだか笑えるコンビ。

 そういえば去年最後に来たときも満月だった。
 夜は本吉の子供たちの虎舞の練習をのぞきにいった。この地区は伝統的民謡や踊りが盛んで、全国にも知られている。去年のお祭りでも太鼓がすべて流されてしまい、いろんなところから太鼓の寄付を募り、形もさまざまな太鼓や、太鼓メーカーの社長が修理してくれたものを並べて力強いパフォーマンスを見せてくれ、感動したけれど、あの後、これをやりたいという子供が前より増えたのだという、やはりお祭りでみてすごくかっこ良かったらしい。そんな訳で大勢の子供たちがかなり厳しい長時間の練習に励んでいた。練習している場所もどこかの建築家が寄付したもの、とってもモダンな(夏は涼しくていいけど冬は寒くて使えないだろうけれど)作りのものだった。
いろんな人ができることをできる形で提供し、関わっていく復興。とはいえまだまだ復興したとはとてもいえない状態だったし、これからも長い時間がかかるだろう。でもこれだけ親しくしてもらったら、もう彼らとのおつきあいはずっと続くものになるだろうし、いつでもどうしてるかな?って気になって仕方がない。忘れないこと、微々たる力でも出せるときは出す、そんなスタンスを忘れずにできることを考えていきたいなと思う。こっちの都合で押し付ける支援ではなく、本当に困っている人がありがたいと思うようなことができればいいなあ。


サニーデイでみんなと過ごすと、幸せになるためにそんなにたくさんのものは必要ないんだ、最小限のものと寝る場所、そして美しい景色とどんどんかわっていく自然、そして優しく楽しい仲間がいればお金や仕事で苦労してもなんとか助け合ってやっていける。自然がいかに自分を優しい気持ちにさせてくれるかを実感させてもらう一日だった。
It's always sunny at Sunny Day!

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