2012-03-11

3月10日 Praying for Japan from Maui

今日の一日は花ハンティングから始まった。普段気にとめずにいるときはあちこちにあるプルメリア、なのに、いざ集めようと思うと、なかなか見つからなかったり、私有地だったり、手の届かないところばかりだったり。レイに使える花を見つけては車を止め、2,3個拾ったりいただいたりしながら少しずつハイクからキヘイまで進んでいった。キヘイのモール内にたくさんのプルメリアがあり、最終的にそこで十分な花が集まったころには二人ともお腹ぺこぺこ、汗だくだく。ランチを食べてからまずは海につかろうとコーブパークへ。
島の北側はここ数日ものすごい強風で家の周りは雨ばかり、なのにこちらはかなり穏やかで晴れている。雨と風がすごくなるという予報もあったので夕方の集まりに嵐みたいだったらどうしようと心配もしたが(でもそうなったらそうなったら、どんなにがんばっても去年の東北の天気ほどひどくなるわけではないから皆で喜んで集まろうと思っていたけど)皆の思いが届いたのか、しっかり晴れてくれた。

オータムはかなりお腹が大きくなってきたのでロングボードのパドルもままならず、インサイドのまかれないところで何とかスープに乗ろうとするのだが、スピードが出せなくてなかなか波に乗れない。一本でいいから乗りたいとがんばっていろんな方法を試しているのに、なかなか乗れず、その脇でたぶん小学校低学年くらいの子供たちがしゃかりきになって波にテイクオフしている。パドルを出してきてそれでこいだりもしたけれど、お腹のバランスが悪いからかへんにぶつけないようにするからか、板の上からゴロンと達磨が転がるように落っこちる。そういう私も普段余りサーフィンしないので、ひざもないような波なのにパーリングしたり、立とうとしたら膝がガクッとなって立てなかったり。子供と私たち以外ほとんどいないのに、私達はほんとにずっこけてばかりで『私たちカッコわるーい、エゴとか完全に粉々にされちゃうね』と苦笑い。お互いの無様な様子を見ながら大笑いしていた。でもこんな波のない中でも十分楽しい、上がってくることにはすっきりさわやか。結局はSurf is where you find it、なのである。

皆で集まる時間まではまだ1時間半ほどあったけれど、隣の公園に移動。一日かかって集めて花をつなげてレイにした。少しずつ仲間たちが集まり、何人かの子供たちは一緒に自分用のレイを作った。

去年の震災と原発事故から一年。たぶん誰もがいろいろ考えたり、経験したはずだ。私の生活自体はそう変わってないように見えるかもしれないが、私の内側では大きな変化がたくさんあった。
思いはそれぞれ皆違うだろうと思ったし、それぞれ祈りたいことも祈りの形も違うかもしれない。それでいいと思った。ごくごくパーソナルなものだから、あまり大げさにせず、それぞれが好きなところで好きなように思いを日本に送ることができればそれでいいと思った。
宣伝、告知はフェイスブック以外一切なかったのに集まった数は予想よりずっと多く、日本人だけでなく、日本人の友人がいる人、日本のことを思っている地元の人たち、そして日本からたまたま旅行にいらしていた方などもみんなで一緒に手をつないだ。

私は何より今日は東北で実際に被災した人たちにために祈りたかった。はじっこのほうで一人で日本に思いをはせた。花を海に投げ、後ろを振り向くと、さっきまで遠くにいたオータムがそこに立っていた。彼女を顔を見たとたん、二人の思いが日本に届いている気持ちになれた。そして周りを見ると小さな子供が目を閉じて祈っていたり、家族が肩を抱き合いながら海を見ていたり、ほんと日本とにたくさんの人が、自分なりに祈っている姿が目に入ってきた。夕日が水平線に落ちたあと手をつないで作った輪は向こう側の人の顔がわからないほど大きかった。誰かが数えたらしいのだが、110人くらいいたらしい。そしてこの場にこられなかった人の中にもたくさんの人がマウイのあちこちで祈っていたに違いない。地震は家や人の命、建物や車などを破壊したけれど、彼らが失ったのはそれだけではなく、何よりも大好きなホームスポット、心が癒される緑多き風景、助け合う近所づきあいやコミュニティー、敵対することも裏切ったりだましたりすることもない、優しい気持ち、ホームにいるという安心感など目に見えるもの以上に大切な目に見えないものをたくさん失ってしまった。そして今でもいろんな不安を抱えながら生活を続けている、そういう不安は放射能自体より体に悪いし、おそろしいものなんじゃないか、そういう気持ちがぬぐえない。少しでも多くを失った人の心が平安を取り戻せることを心から願っている。

そしてこういった思いを同じ波長で共有でき、同じ気持ちで行動に移せる仲間が周りにたくさんいることに心から感謝したい。
海に向かって祈ったあとは持ち寄りポットラックディナー、いつもそうだけれど食べきれないほどのご馳走と楽しいおしゃべりを楽しんだ。子供たちは子供たちで仲良く走り回っている、彼らを見ると本当に子供たちこそ私たちの宝で彼らが安心して、そしておごることのない、自然を前に謙虚でいることを忘れない大人になれるように私たちが守って育てていくことの大切さを思う。未来への大切な宝、小さな命がお腹の中で育っているオータムは皆の仲間入り、仙台から引っ越してきた彼女の現地での話を興味深く聞いている人もたくさんいた。
日本時間の2時46分、(ハワイでは夜の7時46分)食事をいったん中断し、全員で一分間の黙祷をした。それまで大騒ぎしていた子供たちですら、何か空気に神聖さを感じたのだろう、静かにきちんと立ち、一人として声を出すものがいなかったのには感動した。
いろんなことを考えるけど、いろいろ言葉にしなくてもいいこともあるかな。
Pictures tell more than words sometimes.

(Thanks Hirosan for the photos)

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