2013-06-29

6月28日 もう一つの嬉しい出来事

波が割れている沖になんだか風変わりなシルエットが見えた。ランディーが望遠鏡を持ってきてみせてくれた、それはホクレア号だった。ハワイ諸島を後悔しながら後悔のトレーニングと多くの人にホクレアを通して海洋航海やハワイ文化について学んでもらうためいろんな活動をしている。あんな風に何千年も前にタヒチからハワイまで航海していたのかなあ。すばらしいなあ。

そろそろ腰も張ってきたし、上がろうかなと岸に戻る途中、サーフスキーをおぼつかない様子で漕いでいた男の人が見えた。ちらっと見たときに何となく上半身に比べ、下半身が以上に細かった。
同じような体型をつい数日前にウエブサイトで見たばかりだった。ウエブサイトで見たのはカナダのグラントと言う男性でスノーモービルの事故で下半身不随になり、マウイの素晴らしい先生のもとリハビリトレーニングをしていて、3年間全く感覚のなかった足首に感覚が戻りつつあり、この1週間ほどで驚くべき回復をしていると言うものだった。実は腰を治したいがために今見てもらってる先生以外にもいろいろ試した方がいいのかなと考えているときに、ぶつかった記事で、たまたまお友達のかずこさん(彼女も元オリンピックのスキー選手だった)がその先生について学びながら施術をしているようだったので問い合わせのメールを送ったばかりだったのだ。

 でもちょっと遠目で見ただけで細いのも気のせいかもしれない、ただヘタクソなだけかもしれない、とちょっと気になりながらもビーチに戻った。
かなちゃん達とおしゃべりしながら見ているとその彼がサーフスキーを流してしまっているのが見えた、大丈夫かなー、ビーチで見ていた彼女風の女の子も心配そうに見ている。助けにいった方がいいのかなと思っていたら、かなり力強い泳ぎ方で追いかけている。その上近づいたと思ったらポンと何の苦もなくサーフスキーの上にまた飛び乗った。

『なんだ、普通に乗れるじゃん、ただ下手なだけの人か』とその後何本も波に乗ってるのを見ていたが、彼が乗り終わってビーチに戻ってきた時、彼女が歩くための歩行器のようなものを持ってショアブレイクに近づいていったのが見えた。その上スキーをまずビーチに流して彼女に運んでもらい本人は水に浮かんだり這いつくばりながら歩行器を支えに立とうと苦労している。
あーやっぱりこれは私がウエブサイトで見てその頑張りと勇気に感動した人に違いない!

彼だとわかっていたらもう一回すぐに海に出て彼のライディングを間近でカメラに収めたのになあ、残念。


周りを全く気にすることなく、自分の足でないような動きをする細くて力の入らない足を引きずるようにして歩行器で岸に上がってきた彼に私は思い切って声をかけた。
『もしかしたあなたはグラントと言う人じゃない?』
『そうだよ!』
とてつもなく明るい声で返してくれたので、次に私がウエブサイトで彼のトレーニングや回復ぶりを呼んで感動したこと、自分も彼と比べたら、へ,のような問題だけど思うように回復せず悩んでいたのが、彼の頑張りを見て励まされたとごく自然に話ができた。

いろいろ話しているうちに、彼の使っているサーフスキーがマウイローカルだったタイラー作のもので、そしてそのプロジェクト自体がハイファイブと言う事故で半身不随になった人たちにまた波に乗れるようなサポートする団体から来た相談でタイラーが以前興奮しながら話してくれたものだったことがわかった。
昨日はタイラーと二人で海に入り波に乗ったらしい。タイラーはサーフスキーのナショナルチャンピオンだが、彼も本当に素晴らしい人でどんな波でも採れるのに、必ず周りの人がとってからしか自分は波に乗らない。一緒にいると楽しさが倍増するタイプの人なのだが、こうやって素晴らしい人たちがどんどん繋がって希望や励みや勇気にあふれる出来事に繋がっていくんだと言うことが実感できた。
彼に今日会えたことで,そして彼がこんな状況にもかかわらず最高に明るい笑顔でたくさんのハードルをものともせずに海に入って楽しんでいる様子を見ることができて、自分がいい波に乗ってないことなんてすっかり帳消しになってしまった。

周りを見回すと本当にたくさんの「一生懸命」や「情熱」「努力』そしてその先にある奇跡がみつかる。ちゃんと心と目を開いていればどんどん自分の方にそれが向かってきてくれて、自分に力を与えてくれる。

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