お昼過ぎにセスナで旅立ってしまうみんなのために乗ってから帰れるように風が朝から吹き始めている。何人かは朝サーフィンしていたが、風が上がってきたのと朝ごはんの時間だったので上がってきた。
朝ごはんが終わったタイミングですでにウインドできるくらいの風が吹いてきた。
還暦の芝さんはもうカスカスで中身何も入ってない感じでクタクタだと言いながらも朝からサーフィンそして真っ先にウインドサーフィンに出て行った。
いいセットをバンバンとってリッピングしている。芝さんだけでなく、みんな今までより一段アップのライディング。文ちゃんはバーチカルオフザリップしか狙ってないし、五年さんは今まで乗ったことのないサイズでアップスンダウンをしている。チズちゃんは今日もまた最後まで乗り続けてるし、西さんは自分のお気に入りのエリアを見つけてそこからロングライドできる波を狙って乗っているのがわかる。アンドーちゃんもでっかい波で湾全体を横切るように乗っていた。釘さんは来年還暦だけど2年前よりずっとずっとうまくなり、さらにチャージ、前はちょっと見ていて怖いくらいただ突っ込んでいたけど、今年は本当にチャージしてリッピングして、バハオタクだけあって、波のことも癖もよくわかっている。幾つになっても人は気持ちさえあれば、進歩、上達、進化できるのだと心から励まされた。みんなの一本、また一本とセットを乗り、そしてお互いの邪魔をしないように順番に乗ってくる(ビデオを撮ってる私は大忙しだが)様子に涙が出そうなくらい感動した。もうこれだけ乗れれば思い残すことはなく帰れれるだろうなあ。
そう思ってたけどビーチに戻ってくるみんなの笑顔は、「その通り、もう思い残すことはない、出し切った!乗れるだけ乗りつくした!」と答えていた。
最後のランチを食べながらみんなで今朝のライディングを見て盛り上がり、そしてセスナに乗り込む。この1週間家族のように朝から晩まで寝食を共にし、怖い思いも楽しい時間も共有した。殻にこもってなんていられない、自分の素が丸出しにされてしまうところ。プライベートもそれぞれ全く違う仕事や環境も全てさらけ出しちゃうし、恥ずかしいことや知られたくないかもしれないこともみんなお互い知り合っちゃう。大自然の前に立ったら、カッコつけてなんていられない。だからこそバハに来るとみんなほんとに固く繋がる。
小さなセスナに押し込まれた状態で思い切り手を振ってるみんなが砂埃の中に飛び立っていく様子を見てカスカスのエネルギー絞りきった体にさらに心にもぽかっと穴が空いてしまった気分になった。皆さんほんとに元気で生き生きしていて、そしてそれぞれいろんな課題や仕事をしっかりこなしながら生きている人生の達人。バランスよく生きることは私の最近の課題(全然バランスが良くないので笑)だけど、まさにみんなはそれの見本だった。10年後またこのバハでごねんさんや芝さん、釘さんの70歳、私たちの還暦祝いができるように、頑張って遊び続けなくちゃ。
夕方みんなが帰った後、カイトに出ようと思ったのだが今までにないほど風が強い、、4。5でガスティーな風の中出るのは嫌だけど5。5。ではとてもオーバーに見えたので思い切って4。5で出てみたが、出たら、これで出てよかったー!4。5でも完全にオーバー、何度も吹っ飛ばされ、他のウインドサーファーもみんな必死で乗っていた。風が落ちるのを待とうと夕方から乗ったのに、夕方になればなるほど風は上がり、釘さんは3。7で出て超オーバーですぐ上がったという、ジョーイも4。0でエアリアルを決め決め。私は普通に波に乗ってちゃんと戻ってこれただけでも良しと思えたコンディションだった。私を初めてバハに連れてきてくれたバハのパイオニア、ブライアンカセリオも登場。ウインドサーフィンでものすごいリッピング、ビーチに上がってきたら「前できてたことができなくて悔しい、歳のせいにはしたくないけど身体中ギシギシいってるよ」と言いながらニコニコしていた。今回はウインド、カイト、サップ、サーフボードの他に、ウインド、カイト、サップ用のフォイルまで持ち込んでいるらしい。彼は私がウインドしていた頃のカリフォルニアでいつも一番のプロでマウイにも毎年来ていた、バハといえば彼が一番よく知っていたし初めてのバハが彼と一緒だったことが私をバハに夢中にさせた大きな理由かもしれない。50を過ぎても少年のような顔をして、スキップしかねない様子で海に入っていくブライアンは多分2メートル近い巨漢だけどなんだか可愛く見えた。
そして今日もハプニング発生。先日カイトトラブルで真っ暗な中生還したパイロットのマイク。
彼のエピソードは数かぎりないらしく、カメラマンのクラークは、今までなんども飛行機でここにきてるけど飛行機の中でよってはいたのは2回だけでどちらもマイクの飛行機だったという。
でも63歳で昨日も7mで吹っ飛びながらもニコニコ乗っていて、遥か遠く、望遠鏡でやっと見えるところまで流されてもカイトを捨てようとしない(お金がないわけでは決してない)そしてそこから何とか泳いで帰ってこようとしている根性は大したものだと思う。結局今回はフィッシュキャンプから漁師が船を出し、助けてくれたが、夜ごはんにはニコニコで普通の顔して喋っていた。まあタフと言っていいのか図々しいというか。
私だったらみんなを心配させて申し訳なくてテントで泣いていると思う、いやその前位海で泣いてるだろうな。
世の中いろんな人がいるものだ。
今日から来たイスラエル人グループ、そして一人のノルウエー人は、常連さんのようで、勝手がわかっていて着いた途端テントに行くより前にブーム選びに走ってる人もいた。(一番いいマイブーブを選ぶため)みんなとても上手で、風が強かったせいもあるけど誰も起きでジャイブした波を撮り逃さない、なので、10人くらいいてもきちんと順番に波に乗る。そしてタックもジャイブの素早い。カイトサーファーと同じくらい波数乗っていた。
みんなが帰ってしまってちょっと寂しいけど、少し仕事もしながら、マイペースで頑張って残りの1週間練習に励もう。
釘さん、みんなが帰ってしまい寂しくなったのか、どっと疲れが出たのか、夜ちょっと元気が無く、お薬を飲んでいた、お大事に。
さあ、第2ラウンド始まりだ。