2024-01-13

ラハイナレポート#25 10月31日 True butterfly effect in Aoshima




 ラハイナレポート#25 — True Butterfly Effect in Aoshima


みなさん、おはようございます。
バタフライエフェクトという言葉をご存知ですか?

バタフライエフェクトとは、ある気象学者が講演で『ブラジルでの蝶 (バタフライ) のはばたきがテキサスに竜巻を引き起こす』と表現したことが由来の言葉で、「些細な出来事が後の思いもよらない大きな出来事のきっかけとなる」という意味を持ちます。

もう20年近くも前のことになりますが、海が大好きな18歳の女の子、タティアナ・ハワードがマウイでバタフライエフェクトというイベントを始めました。さまざまなスポーツに取り組む女性たちが集まり、競い合うのではなく、仲良くお互いを励ましあいながら海での知識や喜びを共有することがができたら素晴らしいではないかという想いが発端です。第一回はたしか12名くらい、ウインドサーファー仲間を中心に風に乗ってあるスタート地点からゴールまで一緒に下っていくという海でのアクティビティーの他、ヨガや一緒に食事をするという陸での親睦会もありました。とても評判が良く、その後、毎年どんどん参加者の数が膨れ上がり、一時期は300人以上のが参加し、一週間続くイベントになり、マウイで一番人が集まるイベントと言われるまでになりました。

世界中で同じコンセプトのバタフライエフェクトが開催され、ドミニカ共和国、タヒチ、カリフォルニア、カナダ、スイスなどでも開催されてきました。日本でも、もう8年前になるのでしょうか。宮崎の青島で3年連続で開催されました。まさに海が大好きな女性が全国から集まり、「好きなことを仕事にしたい」「目標を持ってる人がその目標を実現できるように励ましたい」そんな女性たちのための場でありたいという気持ちで開催されたイベントは、青島だったからこそあれだけ成功したのだと思っています。青島の地元の皆さんがこのイベントに協力してくださり、ボランティアでたくさん動いて参加者を楽しませてくれました。「あのイベントがきっかけで仕事を辞めて独立した」「繋がりができていろんな依頼が来るようになった」「各地のイベントに呼ばれるようになった」こんな声を聞くと本当にやって良かったと思います。私自身も一生の付き合いになるであろうたくさんの友人を得ることができ、今でも親しく交流が続いています。バタフライエフェクトから青島が好きになり移住した人、何度も遊びに行く人も大勢います。青島は私にとってもそしてバタフライエフェクトファミリーにとってもとても大切な場所なのです。

今回マウイで火災が起きた直後から青島の皆さんからの個人的な寄付が届き始めました。心配してメッセージをくれる方も大勢いました。それだけでも嬉しいのに、その後仲間内で「バタフライエフェクトで縁があるマウイだからこそ青島の仲間が集まって何かやろうじゃないか」という発想になっていると聞いて本当に涙が出るほど嬉しかったです。


中心になってオーガナイズしてくれた伊藤智彦さんはバタフライエフェクトの時も宿を提供してくださったり、いろんな方を紹介してくれた強力な助っ人の一人でした。One Hawaiian Day というタイトルで全てチャリティーのイベントをやろうと声をかけたら大勢の人が賛同してくれ、バタフライエフェクトのフライヤーの絵をデザインしてくれたあやちゃんが今回のイベントポスターのデザインからそのデザインTシャツ、ロゴ入りグッズなどを作ってくれました。バタフライエフェクトの会場だったSurfCity Miyazaki はたくさんの人から届けられたドネーショングッズを販売するバザーを担当してくださり、そのドネーショングッズの豪華なこと!ここにも仲良しの仲間からの商品がたくさん寄付されていました。(個人的な名前は書きませんが、みんなありがとう)
バタフライエフェクトで仲良くなった仲間だけでも大勢みんな関わってくれてるのに、それだけではなく、会ったこともない方たち、海を愛する人たち、ハワイが好きな人たち、本当にたくさんの方がいろんな形で関わってくださっているのを知り、何度も何度も準備期間中の様子を聞くだけで感動していました。10月3日に実際に開催された時の映像や写真を見たら、皆さんの素晴らしい笑顔や楽しむ様子に、本当に宮崎とマウイに虹のかけ橋がかかっているような感覚になりました。映像も、写真も、プロの素晴らしいものながら全てボランティア。パドルアウトのセーフティやみんなをリードしてくれたアスリートたちもみんなボランティア。フラや音楽の演奏をしてくれた方もボランティア。それどころかパフォーマンスをした上に寄付もしてくださった方も大勢いらしたそうです。

以前開催していたバタフライエフェクト以上に大きなイベントになったようで、20年近く前に海好きの女の子と繋がりたいとマウイで小さな羽を羽ばたいたタティアナの行動は海を超えて、海でつながり、大きな大きなポジティブエネルギーのうねりとなって青島からマウイにビッグウエイブを届けてくれました。もっと早くレポートしたかったのですが、あまりにいろんな思いが溢れてうまく文章がまとまらず、時間がかかりました。本当にこのイベントに関わってくださった方一人一人に直接お礼をお伝えしたい気持ちです。こんなにたくさんの人が関わってオーガナイズも大変だったでしょうと中心になってくれた伊藤さんに話したところ、みんなの気持ちが同じ方に向いていたからとてもスムーズにみんな快く賛同し、行動してくれたんですよとおっしゃっていました。

今回のイベント内容を見ていろんな方がいろんな形で支援できるのだなあととても参考になりました。いつもお金がないから大した寄付ができないことに引け目を感じていたけれど、創造性を駆使して、自分の得意分野で何かすることで貢献できるんだ、とアイデアをたくさんいただきました。そしてどんなに小さな支援でも、その小さな支援が集まると大きな力になることをすごく実感しています。

金額だけでなく、何か行動に起こすということや思いやる気持ちだけでも十分支援につながるのだということも。これは私がこの火災支援をとおして一番感じていることです。寄付を募る側になってみて感じたのは、金額ではなく(もちろんお金がないとどうにもならないのも事実なのですが)皆さんからの思いや祈りをエネルギーにして、さらにまた次にがんばることができるのです。青島のイベントでたくさんの人が思いを一つにして送ってくれたエネルギーは、本当にわたしたちにさらなるモチベーションを与えてくれ、「よし!また頑張ろう」という気持ちにさせてくれます。現地にいる私たちだけでなく日本全国で応援してくれてる仲間を感じることは本当に心強く、それは金額の大小に関わらずありがたいものです。

青島のイベントは支援の形の一例です。ここには書ききれないほど、ありとあらゆる場所からいろんな形で支援する方法を考えて寄付を送ってくださってる方がたくさんいます。最近もアメリカ各地に在住している日本人会や趣味のクラブで寄付を集めましたという方や、「少しですが」とイベントやステッカー販売での支援金が集まっては送ってくださる方も。そうそう、田中律子さんを通して紹介していただいた沖縄ヨガフェスタも、参加者皆さんに声をかけてたくさんの寄付を集めてくださったり、お店の一角にマウイ支援コーナーを作って、販売されたものの収益が寄付になるというスタイルも多くの方が実践してくださっています。本当にこの支援が草の根活動で成り立っていることに私たちは感謝し、誇りを感じています。これからも無理のない範囲でみんなで負担をわけありながら大勢で支援活動を続けていければと思っておりますので、ぜひ末長く見守っていてください。

本当に皆さんありがとうございます。

青島の皆さんにもし何かあったら必ずマウイがバックアップしますからね!私の心の中では青島とマウイはもう姉妹都市です。ほんとにありがとうございます。青島のみなさん、アロハのスピリットを形にして送ってくれて本当にありがとう。これからもどうぞよろしく!

画像1: One Hawaii Day in Aoshima 開催内容
画像2-5: 以前青島で開催されたバタフライエフェクトのイベントのフライヤーと参加者
画像6: One Hawaiian Day  発起人の伊藤智彦さん
画像7: One Hawaiian Dayの様子
画像8,9: パドルアウトの様子
画像10: 田中律子さんたち主催の沖縄ヨガフェスタの様子

ラハイナレポート#2410月26日 マウイのあちこちで感じるアロハ

ラハイナレポート#24 マウイのあちこちで感じるアロハ

先日被災し、全てが燃えてしまったお寺Lahaina Shingon Missionが、御大師講をラハイナのビーチパークで行っている写真をFacebookに投稿していました。私たちも状況を度々お聞きして、ホテル暮らしで不自由して大変な気苦労があったのをよく知っていたのでそんな中で一歩前に進み始めたとご住職様が思える出来事として、海の前で信者の方々と手を合わせている様子は心の底から感動し嬉しい気持ちで心が満たされました。

今まで当たり前だったもの、日常が全て一瞬でなくなってしまった時の精神状態は想像することもできません。お寺の設備もなにもない、そんな中でなんとか前に進もうとする姿勢、そして自分と家族だけでなく、お寺を心の支えにしてきたラハイナの人たち(もう2度とこの輪に入ってこられない亡くなられた方も含めて)のことを本当に心から思ってらっしゃるのが伝わります。
「キャンプ用の椅子を並べて持ち運べるお焼香でお香をたきました。しばらくはこのスタイルになりそうです」とのメッセージをいただきました。
大事なのは立派なお寺でなく儀式でもなく、純粋に手をあわせることができる信仰ということだと思います。必ずラハイナに立派なお寺が復活するよう私たちも末長く見守り応援していきたいと思います。

すでに毎週土曜日のファーマーズマーケットでベジラーメンを復活させている Alohana Vegan Ramenも先日パイアのカフェで寿司ナイトを開催。多くのファン、お友達が久しぶりに元は寿司シェフのスッシーさんが作ったお寿司を食べながら会話とドリンクを楽しんでました。

秋に毎年開催されるMade in Mauiというイベントは島の外からバイヤーが来るほどの大きなクラフトフェアーでローカルアーチストたちの作品が並ぶのですが、今年は被災したラハイナの住民はブース料金を払わずに出店することができます。被災した日本人の方も何人かがこのイベントに参加予定。これまでファーマーズマーケットやポップアップイベントで販売していた手作りアクセサリーなどを出すのでそのために今全力を上げて準備中だそうです。
皆さんそれぞれ少しずつショック状態から次のフェーズに、前に進むために動いています。それも書類や保険などの手続きもたくさんある忙しい中でやっていくので、大変だろうと思います。

日本の皆さんからの寄付はいろんな形で支援に使われていますが(もうすぐ第3回目の会計報告をお届けしますね)先日はラハイナ方面に住んでいる家族で就学中のお子さんがいる方に応援金としていくらか送りました。実際に家が燃えてなくても学校が燃えてしまい通っていた学校がなくなってしまったとか、遠い学校に通うので送り迎えが大変、私立の学校でお金がかかる、そしてお子さんも新しい学校に馴染めない、いく学校が見つからないなど色々苦労も少なくないようなので、被災した市内に関わらずお子さんがいる方という括りでお渡しできました。その中のお一人からお礼のお手紙をいただきました。

「本日、息子がとても有難い子供支援金を頂戴いたしました。手渡そうとした時、息子は一瞬戸惑ったような遠慮がちな表情を見せたのですが、Pray for Maui from Japanの皆様のお心遣いを伝えると笑顔になり、『それなら!』と喜んで受け取りました。その時に思い知らされたんです、色々ガマンさせていたんだと。ラハイナの大火災以来、両親共に仕事を失ったことで強いられた不便さに対して一言も不平不満を口にしなかった息子に『自由に使いなね!』と言ってあげることが出来たこと、心から感謝しています。
目に見えぬ大勢の方々からのご厚意に対して、そのお一人お一人にお礼をしたい気持ちでいっぱいなのですが、頂いたご恩を一生胸に抱いて、別の新たな機会でお返しすると言いますか、『ご恩送りをしていこう』と、息子と良い会話ができました。」

そんなふうに親子で話をしてくださったと思うと本当に贈ることができてよかったなと思います。寄付してくださった皆さんのおかげです。


先週末ラハイナのHALEZEN というブティックの倉庫エリアで被災者のために大きなショッピングイベントが開催されました。Hale Zenのラハイナのお店は焼けてしまいましたけれど倉庫は燃えなかったのでそのエリア全体を使っての開催でした。
「最初はものを失ってしまった人たちに何か少しだけでもプレゼントしたい、そんな気持ちで知り合いに声をかけ始めたんだけど、どんどん賛同してくれる人や会社、ブランドが増えてきて、びっくりするほど大きなイベントになってしまったの、でもそれはとても喜ばしいこと。このイベントに私がすごく思い入れがあったからみんなが喜んでくれるのが本当に嬉しいし、いいバイブレーションでいっぱい、ボランティアもほんとうにたくさんの人がきてくれたのよ」とオーガナイズの中心人物モーリー・レニーが言っていましたが、彼女と夫のカイ・レニー(世界的に有名なプロのウオーターマン)は双子の女の子を一年ちょっと前に授かったばかり、親となり火災で受けたであろう子供達や家族の心の傷も人ごとではないのでしょう。
オアフからプロサーファーも応援に来たり、とにかくたくさんのブランド物が並べられ、ウエアだけでなく、アクセサリーやローション、化粧品、靴などとにかくありとあらゆる新品のグッズがあふれる店内、そして外にはいろんなフードテントがならんでいました。ラハイナのローカル誰もが愛するナガサコストアの懐かしい味、スパムむすび、支援活動が忙しすぎて本業が追いついてないくらいのWaikomo Ice 、スケートボードやサーフボードを提供してくれるBoard4Buddies (50本持ってきた全ての板が誰かしらの手に渡ったそうです)そのほかにもローカルのスモールビジネスのたくさんのサポートで全てが無料、Foodbankからの食材などとにかく最高に楽しいショッピンングを楽しんでもらえました。全てをうしなってしまった家族が普通の生活の気分をすこしでも味わえるようにと開催。
でも参加した被災者の人に聞くと
「もちろん新品の、下手したら普段は買えないくらいのものをたくさんもらえてそれも嬉しいのだけど、それよりもこんなにも多くの人たちが、マウイだけでなくいろんなところのひとたちが自分たちのことを思ってくれて、動いてくれてるそのことを感じられることが本当に本当に嬉しいんだ」と言っていました。寄付もそうだけどものを通じて向こう側にいる相手の心が感じられるのは本当に嬉しいと思います。

マウイを代表するサーファーの一人カイ・レニーは一年中大忙しで波や風を追いかけ、何千万人というフォロワーがいる有名なサーファーですが、今回の火災、そしてその後の支援活動は自分の人生をガラッと変えたといいます。もちろん今までも家族のことは大事に思っていたけれど、コミュニティーにできることは色々してきたつもりだけど、人生への向き合い方が変わるほどの大きな出来事だったそうです。マウイに住む被災した人たち一人一人が元のように笑顔で生活できるようになるまでは必ず彼らに寄り添い支援を続けることを心に誓ったそうです。最初の一ヶ月は彼は被災地で寝泊まりしながらラハイナのために24時間体制で動いていた上に、彼の発信力、影響力を利用して世界中にいろんなことを伝え初期の支援活動を進めてくれました。
彼以外にもたくさんのローカルの若手がそういったコミュニティーワークに献身的に動いてくれてるのを見ると素晴らしい人たちが育っているなあと誇りに思えるし、きっとこれからもマウイは大丈夫!と将来に光が見える思いです。

ハワイ出身のMMAファイターILIMANATOR ことイリマ・マクファーレンはラハイナのために一人で260万ドルも集めました。多くの人が多額の寄付をしてくれていますが、それを裏で売名行為だとか、あのお金はどこに使うのかわかったものじゃないとか色々言いたがる人がいて、そのバッシングの中には本当に心を酷く傷つけるものもあるようです。

たとえばアクアマンなどで有名な人気俳優ジェイソン・モモアもハワイ出身でマウイにも関わりの深い人ですが何か一言いうだけで影響力も大きいし、注目度も高いのでバッシングされることも多く、それが嫌で大っぴらに動かなくなってしまいました。こういうふうに良心で動こうとしている人を無名でインターネット上でいいたい放題バッシングすることはネガティブなエネルギーを生むだけです。それどころかバッシングが嫌だからと支援しようと思ってた人がやめてしまったらほんとうにもったいない。
ひどいバッシングにあってもそこはさすがファイター、イリマネイターは理解してもらおうと努力しているし、できる限り全てクリアにお金がどこに使われるのかを明示しています。自分にはいっさい入ってこないお金のためにこれだけバッシングされたら、じゃあ、やーめた!といいたくなってしまうところを彼女はファイター精神でしっかり戦い抜いているのを見て、素晴らしいなと尊敬せずにはいられません。私だったらすぐに尻尾巻いて押し入れに隠れて泣いているでしょう。

レベルも寄付の金額も全く違いますが、私も寄付を集めることを決めた時ある程度バッシングがあるだろうと覚悟をした上で始めました。私にとって大きな強みは全く同じ思いで動いてくれてるメンバーがいたことでした。一人だったら悩んでしまったかもしれない時にどんなことでも話し合って大体同じ意見だったこと、意見の違いはあっても全てが前向き、ポジティブなものばかりだったので一緒に頑張ってこれたと思います。コアメンバーは4人でしたがマウイ中の日本人がいつもなんらかの形でサポートしてくれてるのを感じられていたのでマウイ在住日本人みんながチームだと思って動いていますし、それを誇りに思っています。

ありがたいことに、今回はほとんどバッシングもなく、反対に信頼してるので一番いいと思う形で使ってくださいと言ってくださる方が多く、それがお金以上の後押しになりました。そういうたくさんの人の気持ちを被災者の方にも伝えて、ただのお金でなく、たくさんの人の祈りと思いが込められたパワフルなお金なんだと感じてもらえたらと思っています。
私たち支援チームの面々ですら皆さんからの思いや励ましに元気もらってさらに頑張れるのですから被災した方々も絶対そうだと思うのです。
そうやって会ったこともない人同士が繋がってその輪が広がっていくと、やっぱり世界は一つで、一人一人がみんな幸せになってこそ真の平和が訪れるのだろうなあ、と実感します。自分さえ良ければ、では本当の幸せは来ないんですよね、きっと。世界レベルで考える時が遠くなりますが、せめてマウイの中のラハイナという小さな世界で一人も取り残されることなく、復興が進んでいくことを心から願い、そのために私たちも力を尽くしたいと思います。

写真
1枚目ラハイナのビーチパークで御大師講を行うLahaina Shingon Mission のみなさん。
2、3枚目 パイアのカフェで寿司ナイトを開催したAlohana Vegan ramen 
4枚目ラハイナの被災者が思い切りショッピングを気兼ねなく楽しめるようにと開催された無料イベント。驚くほどのブランド品がたくさん。
5枚目 ラハイナローカルなら誰もが懐かしく思うナガサコストアのスパムむすびを配る可愛い売り子さん。
6枚目ラハイナショッピングイベント、大勢の人が集まった。
7枚目 Boards4Buddies サーフボードやスケートボードをなくした人にボードを届けたい、イベントにブースを出して持ち込んだ五十本全てが被災者の手に渡った。
8枚目 ラハイナショッピングイベントを企画運営したモーリーレニーとそのご主人カイ・レニー二人とも火災以後ずっといろんな形で支援活動を続けている。

9、10枚目 MMAファイター元ワールドチャンピオンのイリマ・マクファーレン。彼女は支援金260万ドル(4億円近く)ラハイナのために集めました。 









ラハイナレポート#23 10月19日 学校の開校と美しいラハイナ

 ラハイナレポート#23 — 学校の開校と美しいラハイナ

みなさん、こんばんは。

ラハイナレポートがご無沙汰になってしまっていましたが、マウイに変化がなかったわけでは決してなく、日々、色んなことが起こっています。アップデートする前にまた次のことが起こっていて追いつく間もない感覚で過ごしていますが、それは悪いことではなく、色んな意味で復興が進んでいるともいえます。

10月8日に住民の反対が多かったにも関わらず島のウエストサイド、ラハイナ側も観光客に解放されました。まだ悲しみや傷ついた心を癒す余裕もないなか、デリカシーのない観光客による(決してすべての観光客のことを指しているわけではありません)地元の住民を刺激するような行動や言葉をきっかけに衝突が起きるのではないかと懸念されていましたが、地元住民曰く、そもそも以前から観光客への規制はなく、ホテルにも観光客はすでに滞在しており、いくつか衝突もあったので、それほど大きく変わることはないだろう、とのこと。けれど、被災者を思う気持ちがあれば、どうか興味本位で被災地を観光したり、わざわざウエストサイドで遊ぶことはせず、島の他のエリアで楽しんで欲しい、と。本当にそうして欲しいと私も思います。実際に、被災地近くの海の安全性や、街の空気もまだまだ確実なことは発表されていません。自分の健康のためにもウエストサイドは避けるのが賢明だと思います。燃えてしまった街をバックに記念写真を撮りたくなる気持ちもわかるのですが、それがもし自分の家が全焼し、その写真を関係ない人が撮っていたらどんな気持ちになるかを考えて、控えてもらいたいなと思います。

まだまだBurn Zoneと呼ばれる地区のクリーンアップが続く中、先日建物が燃えなかったラハイナの学校の多くが開校しました。これまでラハイナルナ高校はキヘイにあった校舎を借りるなどで対応していたのですが、元の校舎での学校生活に戻ることができます。一方で被災後にカフルイの学校に通えるように引っ越してきた子どもたちにとっては、今度はわざわざラハイナまでの距離をスクールバスに乗って毎日通うことになり、不便ではありますが、それでも元々の学校、スクールメイトと共に学びたいという生徒が大多数のようです。ただし、校舎が建つのは焼けてしまった地区のすぐ近く。空気が悪く、健康に良くないのではないかという懸念もあります。健康を害してあとで後悔するようなことにはなりたくない、でもやっぱりホームに戻りたい。色んな気持ちが交差していると思います。

観光客がほとんどいなくなっていたマウイ島ですが、かなり増えてきたように見えます。実は今の時期は例年観光客が少ない時期なのですが、11月半ばすぎの感謝祭、そしてクリスマス新年にかけてはピークとなります。感謝祭までには普通に戻り、クリスマスには例年と変わらないくらいの人が訪れるようになるのではと、私たちは予想しています。火災で家などは燃えることはなかったが、仕事がなくなってしまった。仕事はあるけれど、お客さんがいなくて閑古鳥がないている、そんな話も多く聞きます。観光だけに頼っているマウイのビジネスを根本から見直し、観光半分、農業やサステイナブルに島の中で循環していくようなビジネスパターン、社会モデルを作っていこうではないかという声も上がっています。パンデミックの時にもこの声が多く聞こえていました。Maui Hubという地元の農家や畜産業の商品を直接注文できるシステムは、今回さらにホテルなどにおろしていた農家などが売り手を失い、MauiHubを通して地元の消費者に販売を始め、好評です。すぐには無理かもしれないけど循環する社会のイメージを作ってこの復興活動が良いチャンスになっていい方向に向けて進んでいくことを心から願っています。

そのためにも住民の間で対立するのではなく、自分の損得だけでなく、島全体の、特に子供達、島の将来のために何が大事かをみんなで考えて協力し、素晴らしいコミュニティー、社会を作って世界中のモデルケースになれたらいいな、そんな気持ちで毎日過ごしています。


ところで友人でもあり、火災後ずっとラハイナのために動き続けている若いリーダーの一人Matty Shweitzer。彼の本業はフィルミングカメラマンなのですが、その得意分野を活かしてたくさんのラハイナの実情を発信してくれています。その彼が自分の生活のために写真を売るサイトを作りました。以前の美しいラハイナ、マウイの波乗りや多くの迫力ある海のアクションショットを始め、ラハイナでの感動的なパドルアウトの写真などいろんな写真を購入することができます。特にパドルアウトそして以前の美しいラハイナの写真は人気があり、多くの人がすでに購入しているそうです。もしもラハイナが大好きな方や興味をお持ちでしたらぜひチェックしてください。購入することでラハイナに欠かせない頑張ってる人を応援することに繋がりますので、よろしくお願いします。
Matty Shweitzerの美しい写真はこちらから:
https://shop.islandeye808.com/shop-art

画像1-4: 火災前に通っていた学校の校舎に登校し、学ぶ子どもたち。
画像5-7: ラハイナのために動き続けている若きリーダーの一人Matty Shweitzerと彼の美しい写真。







ラハイナレポート #22 10月8日 For the keiki Kahakukahi Ocean Academy



ラハイナレポート#22 — For the keiki, for our future: Kahakukahi Ocean Academy


みなさん、こんにちは。ラハイナの火災からまだ二ヶ月しかたっていないというのに、ウエストサイドで、すでに6回も子供たちのために、かなり大規模なイベントを開催しているグループがいます。これからもできる限り毎週土曜に開催する予定だそうです。先日やっと行くことができ、思った通り、素晴らしいイベントでした。

まずは主催者のゼイン・シュワイツアーと彼の家族について少し紹介したいと思います。ゼインは生まれも育ちもマウイ、生粋のラハイナボーイ。世界的なプロアスリートであり、ウオーターマンとして知られています。彼のお祖父さんはウインドサーフィンを発明したホイル・シュワイツアー、父親はウインド初期のワールドチャンピオンであり、マウイ島ホキパに初めてウインドサーフィンを持ち込んだ、ウエイブセーリング黎明期の主要人物でもあります。つまりゼインは、まさにウインドサーフィンのロイヤルファミリーの3代目なのです。2年ほど前に発表された彼らのドキュメンタリー映画「Broken Molds 」は、アクションも素晴らしくウオーターマンのメンタリティーや歴史を感じさせるいい映画でした。




ゼイン・シュワイツアーは30歳になったばかり。ウインドサーフィンはもちろん子供の頃から、そしてスタンドアップパドル(サップ)が始まると13歳の若さでプロとして世界を回り始め、サップレース、サップサーフィンなどで世界チャンピオンのタイトルを獲得。同時にロングボード、ショートボード、トウインサーフィン、ビッグウエイブサーフィン、フォイル、ウイングととにかくオールラウンドにオーシャンスポーツ全般で活躍しています。

10年ほど前からキッズを対象とするキャンプを開催、サーフィンだけでなく海に関わる子とみんなで楽しむ、年上の子やスキルのある子が慣れていない子をサポートする、海の大切さ、環境についてなどを教えることにも力を入れていました。初期のキャンプから参加し続けている子たちはすでに15、6歳で今回ジュニアリーダーとして小さな子供たちのケアをしっかりやって準備や片付けまでしっかり手伝っていました。

今回ラハイナの火災が起こった時、海の仲間たち、それも若者たちが率先してリーダーシップを取り、自分たちで色々考えてコミュニティーのために動いていたことは以前にも書きましたが、ゼインもまさにその一人、彼と兄のマティは被災地の現場から常に北側の仲間に連絡をとり、どんなサポートが必要かどんな物資が必要かを発信し、それを受けて被災していない側の島の人間が動き、信じられない素晴らしい支援体制ができていました。ゼインたちはもう二ヶ月ずっとそれを続け、本当に忙しく動いています。ちょっと忙しすぎて、そして背負う重荷が大きすぎて倒れちゃわないかと心配ですが、そこでこそ、普段海で培った精神力、判断力、体力、そしてチームワークを発揮して素晴らしい活動をしてくれています。

そんなわけで平日は物資の分配、世界中の支援者との連絡、大きな問題である住居の確保のためのタイニーハウス建設、などありとあらゆることで動いているにも関わらず、週末は多い時は100人近い子供達を迎えて海で子供達が思い切り遊びながらいろんなことを学べる場を提供しているのです。大勢の子供達をまとめ、彼の話をみんなが真剣に聞く様子を見て、実はこれこそが彼のクリアナ(この世界に生まれてきた使命)なのではと思うくらい、子供たちは彼に惹きつけられ、どんどん手を上げて発言したり、質問して、大人の私たちがハッとするような大事なことを言葉にしてくれたりします。

このオーシャンアカデミーは彼だけで動いているしているわけではありません。こういったイベントの場が子供たち、コミュニティーに必要であり、将来のためにも大事だと実感しているローカルメンバー、そして親御さんたちもボランティアとしてたくさん参加していました。何より素晴らしかったのはいろんなブースがあちこちにあって、そのブースごとにその道のエキスパートがわかりやすく子供達に教えてくれていること。

ただのサーフィンスクールとは違い、サーフィンは全体の一つの分野にすぎず、フリーダイビング、ライフセービング、CPR、ビーチクリーン、拾ったゴミを使ったアート、フィッシング、そしてびっくりしたのは現在ウエストサイドの大きな問題として取り上げられているウオーターシェッド(貯水や水の権利などの問題)の基本的なことを海に流れている小さな流れを見ながら説明したり、世界を航海しているハワイアンカヌーホクレアのスピリット、そして最新機器を使わずに星や天候を見て旅する航海術のとっかかりになるようなことを教えてくれるようなブースもあり、それぞれがその専門家たちで子供達は驚くほどたくさんのことを吸収していました。

全てに興味を持たなくても、これだけいろんなことを学んだ中で自分はこれが好き!というのを見つけてどんどんそこを追求してくれればいいなあと思います。例えば、ライフセービングのところから離れず、一日中ターナキット(止血用のベルト)を持ち歩いていた子供はもしかしたらこの先救急救命士になろうとするかもしれないし、星を見ながら航海するロマンを知った子はホクレア号にいつか乗りたいとポリネシアン・ボヤージング・ソサイエティのユースプログラムに参加し、ハワイの素晴らしいアロハについてしっかり学んでいくかもしれない。釣り部門は特に素敵で、普段キッズキャンプなどにあまり見かけないタイプのディープなローカルアンクルたちが大勢いて、子供達に彼らがずっとやってきた地元のスタイルの釣りの方法を教えている様子は本当に微笑ましかったです。釣りの道具はラハイナにお店があった人の倉庫にあったものを、お店がなくなってしまったために、たくさん寄付してくれたそう。子供達の多くはフィッシングギアを持って帰り、今後も釣りを練習することができるのです、そしてローカルのおじさんたちも火災で仕事がなくなったり住む場所がなくなった中、自分のスキルが役立つ場、喜んでもらえることをすることで明るい気持ちになるのではと思います。

世界的なビッグウエイブサーファーでノースサイドで人気のキッズサーフィンイベント「メネフネ・メイハム」を17年間続けているイアン・ウオルシュも、ビッグウエイブワールドチャンピオンのペイジ・アームズも、アダプティブサーフィンアスリートで両足義足、手も指がほとんどないジョッシュ・ボグルもボランティアに、ライフガードたちもサポートにきていました。水問題に関わる学校の先生や、ポリネシア・ボヤージング・ソサエティーのスタッフもみんな忙しい中このボランティアに来るのはみんなゼインと同じ気持ちを共有しているからだと思います。

子供達には火災の辛い思いを忘れて思い切り楽しんでもらいたい、そして将来の素晴らしいラハイナはこの子供たちにかかっている。彼らが素晴らしい価値観を持ち、昔から受け継がれてきたアロハを身につけて、海や山と共に生きることの大切さを知ってくれれば彼らが社会をいい方向に持っていってくれるでしょう。いろんな明るい未来を垣間見ることができました。

かなり大掛かりで大勢が関わるイベントなのにこれを毎週やるのは本当に大変だと思います。みんながそう言ってました。特にイベントをオーガナイズしたことがある人にはそれがどんなに大変だかよくわかるのです。私だったら一年に一回でへとへとです。これを子供達のために毎週できる限り続けると宣言しているゼインの覚悟はものすごく大きなものであり、自分のアスリートとしての活動以上にコミュニティーリーダーとしての責任を感じて動いている気がします。

生まれた時から知ってる、いつも明るく暴れん坊だったゼインこんなにも立派になって、本当に誇らしいし、そんな立派な彼を育て上げたラハイナのコミュニティーの素晴らしさにも感動します。彼の子供もそのまた子供も、みんな彼のように美しい海で遊び、自然の厳しさを学び、海や土地が与えてくれる食べ物に感謝しながらみんなが助けあるコミュニティーの中で周りの自然と共に生きていけるラハイナの街が立派に復興してくれることを心から願っているし、ラハイナに住んでいない私たちも彼らが思い描く理想の街になるために協力が必要な時は一緒に立ち上がり、声をあげていかなくてはと思っています。

彼の主宰している Kahakukahi Foundation へのドネーションはこちらから、あるいは私たちに直接連絡いただいて寄付することもできます。

https://www.kahakukahifoundation.com/donate 








ラハイナレポート #21 10月7日 火災から二ヶ月

 ラハイナレポート#21 — 火災から二ヶ月


みなさん、おはようございます。
相変わらず刻々といろんなことがものすごいスピードで変化しているラハイナ。ニュースを追うだけでも追いつかないくらいです(ラハイナレポートも追いついてなくてすみません)。

まずは前回のレポートでお伝えした、ラハイナルナ・フットボールチームの今シーズンオープニング戦が9月30日Maui War Memorial Staduimで行われました。会場には赤いTシャツやキャップを身にまとった数千人のファンや火災から立ち直ろうとしている住民たちが応援に集まりました。観客席には「From Ashes We Rise(灰の中から私たちは立ち上がる)」 「100% Lunas」「Love 4 Lahaina」「Lahaina Strong」などの手作りのサインが掲げられる中、選手たちは、本当に苦しい思いをしている島の人たちを大きく勇気づけるような素晴らしい試合を見せてくれました。試合結果は42対0でラハイナ・ルナズがボールドウィン・ベアーズに勝利しましたが、この日大切なのはスコアではありませんでした。火災という大きな悲劇を経てお互いを癒し、支え、共に立ちあがろという気持ちが共有できる時間が何よりの大きなhealing (癒し) でした。(引用元:CivilBeat) 

希望を感じるニュースがある一方で、現実的にはまだまだ火災から2ヶ月。実際被災した人たちは書類提出の締め切りがいろいろあったり、新しい支援方法が出来てそれにまた別の申し込みが必要だったり。そのために何が必要で、どこに何を持っていけばいいかなど本当にいくらやっても終わりがないような思いに駆られるのではないでしょうか?でもどんな支援でも今は必要だから面倒臭がって放っておくわけにもいかないから必死でやるしかない。そんな状況なのではないかと申し訳ない気持ちになります。いろんなところからの情報を整理するだけでも大変なのでそれをまとめてわかりやすくできたらいいのにね、とチャートにしたり、役に立つ情報を発信できたらいいけど、それを整理することすら私たちには難しい。そんなことを言ってる時に個人的に被災した友人のために情報整理をしている方のことを知り、お願いしてメーリングリストで希望する被災者、関係者の方にその情報を送るという取り組みも数週間前から始めました。

やってくださってる方は元新聞記者だったそうで、さすがのリサーチ。そして情報ソースが信頼できるものかなども調べながら、信用できる情報だけを流してくださっています。ほとんど毎日、時には1日に数回くらい情報を流してくださってます。英文の後に日本語も出ているのでわかりやすいし、本当に助かってます。その他にもお金を使わずにできる支援など色々相談してやれるところからちょこちょこやり始めています。

以前支援したBreeze Computer とそのパートナーはすでに100機以上のコンピューターを必要な方々に寄付したそうです。古いコンピューターでもハードドライブだけ新しいのを買ったり、新しいソフトウエアを入れたりして使いやすくして提供しています。私たちの周りでも機材の寄付もたくさん。そしてそのコンピューターをもらう方も大勢います。コンピューターは高いので本当にありがたいことだと思います。二ヶ月経った今、大きな企業などの援助や寄付も増えてきたように思います。大きな団体や企業となると何かが決定するまでに個人よりずっと時間がかかりますが、その分寄付できる金額も大きいから私たちには手に負えないような復興支援ができるはず。税金対策でもなんでも大きな企業からの支援は本当にありがたいです。

ここ数週間の様子ですが、まずは個人的に印象に残った出来事としては、物資が足りなかったり、逆に多かったり、ボランティアが足りないなど、多少ありますがなんとなく、整理がついて段取りも良くなってる気がします。毎日のように炊き出しをしている人、物資配給のハブで動いている方々、その他いろんなところで大勢のボランティアが活動していて、頭が下がります。

特にリタイヤしている年配の方々、「普段暇だからこうやって誰かの役に立てるのが嬉しいし、1日にメリハリが出て、自分のためにもいいわ」とにこやかに仕事している老婦人。メインランドやオアフから研修のために(?)くる若者たちなどこちらも本当に元気をもらえます。人間誰でも誰かの役に立てる、誰かに喜んでもらえることは実は人のためにいいというより自分を肯定するためにもいいんだと思います。

さて目下の大きな課題というとやはり最初の想定通り住宅問題。州知事は家が燃えてしまった人たちが路頭に迷うことは絶対ないようにきちんと宿を提供すると約束してくれました。確かにちゃんと家があった人たちでちゃんと手続きをしている人はホテルに滞在しています。何度も移動を強いられたりはしながらも住むところはあるようです。ただ、火事以前にも問題になっていたのはホームレス問題。また1軒の家に15人、20人で住んでいたような大家族の人たち。イリーガル・エイリアンと呼ばれる合法ではなく住んでいた外国籍の人たちは困っている人も多いようです。一人一人の条件立場がありその一つ一つに対応しなくてはならない赤十字やFEMAも大変な仕事だと思います。誰もが必死に前例のない事態に対応するために頑張ってるので、互いに怒りをぶつけ合うのではなく、できる限り協力しあっていい方向に進むといいなと思います。


私たちも住宅問題は一番大変そうなのでそこに支援、寄付を送ろうと考えましたが、まだ今の時点では政府の動きも、今後被災者の方々がどうなるのかも見えない部分も多い。タイニーハウスをボランティアでたくさん作ってる素晴らしい団体もいくつもあるのですが(そして素晴らしいのはその団体同士も協力しあってできるだけ早く家のない人に提供したいと頑張っているんです)それをどこに置くのか、政府が正式に許可を出すのかなど決まっていない部分も多いのでもう少し様子を見てから支援を決めてもいいんじゃないか、とアドバイスをいただき、保留にしています。一方で、そういう大きな部分は私たちのようなちびっ子団体の管轄ではなく、政府にカバーしてもらいたいところだね、というのがメンバーの意見でもあります。ただ本当に住む家がないとか、この先ずっと住めところが早く決まって欲しいという不安を持つ方々にはできるだけ早くその不安を取り除いてあげたいなあと思い気持ちは大きいです。

もう一つこのレポートがアップされる頃10月8日はハワイの州知事ジョッシュ・グリーン氏が、ウエストマウイを解放し観光客にもきてもらうと発表しています。それに対しラハイナの住民側はまだ早すぎる、喪に服す余裕もないくらいいろんなことで忙しく働き、みんなで必死になんとか普通の生活を取り戻そうとしている時。自分たちの必要な物資でさえ足りない状況で、ホテル住まいも環境客が来るから追い出されるのでは。とても歓迎できる状態ではない。まだウエストサイドは観光を迎える準備はできていない、と反対しています。

実際に今の時点では、ウエストサイド以外はぜひきてくださいと言っているけれど、ウエストサイドも観光客が決して入れないようチェックポイントがあるわけではなく、それぞれの自主的な判断とマナーで来ないでくださいとしているのですが、そんな中でもホテルに泊まっている人もいるそうだし、ビーチでも明らかに観光客だとわかる人たちは見かけるそうです。見かけるだけならいいのですが、来ないで欲しいと言っている時に平気できてしまうような観光客ですから、ある意味マナーも良くない人も多い。ビーチで被災者の子供達のイベントをしている時に日陰に場所を取ったり、他の人に場所を譲ろうとしないだけでなく、口論になって、最終的には「お前たちのことなんて関係ない、自分はバケーションに来たんだ」と怒鳴ったり。被災者のために無料で提供されている食料の集まる場所にやってきた観光客のグループが色々もらっていったり、他にもこういう野菜はないの?など注文をつけたり。とちょっと信じられないようなことも起きています。普段ならしょうもないと流せるような出来事でも被災者の人たちはそれでなくても傷つき、ちょっとしたことでも敏感に反応する精神状態で不安と怒りを抑えて生活しているのです。クローズしている今でさえそうなのだったら、観光客に解放したらそんな摩擦があちこちで起きるのではないか、とリーダーたちは心配しています。また今でさえ通れる道が限られていて渋滞があるし、観光客はおそらくみんな丘の上からラハイナを見下ろして記念写真などを撮るでしょう。被災現場まで降りて行き、そこで作業している人たちの前で記念写真など撮られたら実際に被災した人たちはどう思うでしょうか?
今はそっとしておいて欲しい、いくら仕事が必要でも経済を取り戻さなくてはならなくても、観光客に愛想笑いを見せながらドリンクをサービスする余裕はまだないというのが本音です。もちろんラハイナ側のホテルなどで仕事していた人は早く仕事を再開して欲しいと思っていることでしょう。どうか政府がパンデミックの時のように、そんな人たちへのケアもしてくれますように。
難しい問題だと思います。でも今ラハイナの街に軽々しく観光で人が入ってきたらローカルとの衝突は決して減ることはなく確実に増えることでしょう。


画像1-5: 先週末開催されたラハイナルナ高校シーズン開幕戦、ボールドウイン高校に42対0で勝利。住民にとっては試合結果以上の力に。[出典元: Civil Beat "Lahaina’s Football Team Delivers Big Win And Heavy Dose Of Healing - Oct 1, 2023”]

画像6:ラハイナの住民は州知事ジョッシュグリーンの元にウエストサイドを観光のために10月8日オープンするのを延期するよう求める署名を集めて届けましたが、前日(7日)の今時点変更はなさそうです。

画像7:住宅問題は相変わらず課題がたくさん残されているが、いろんな団体が被災者のためにタイニーホームを作り始めている。

画像8:10月8日に観光客を受け入れるとホテルもビーチも忙しくなるだろう。しかしすでにウエストサイドを訪れている観光客はいないわけではないらしい。

ラハイナレポート#20 9月28日 ラハイナルナ高校 校歌の合唱

 ラハイナレポート#20 —ラハイナルナ高校 校歌の合唱

みなさん、おはようございます。

毎週毎週いろんなことが次々に起きているマウイですが、それは一歩一歩復興へと前進しているとも言えると思います。災害が起こってしまった後、初期のショック状態、生死に関わる時期が過ぎた頃、政治的な介入や、支援の条件や環境の違いをきっかけに集落や元々結束が強かったコミュニティが分断されてしまうという話は残念ながら耳にすることが少なくありません。そういうことがラハイナでも起きたら嫌だなあと心配していますが、きっと小さなレベルではあるのでしょうけれど、今のところ、ラハイナの住民が一つになって復興して行かなければという気持ちで団結して前進しているように感じます。

9月21日の発表でグリーン州知事はウエストサイドの子供達のために燃えてしまった小学校の代わりの仮設小学校をラハイナの北側にある私有地を借り、そこに作ることを発表しました。軍とエンジニアチームが大至急教室やその他の施設を使えるように建設する予定です。また、10月8日にウエストサイドを観光客へも解放することに関しては賛否両論ありますが、被災者が心配しているような赤十字の援助でホテルで生活している被災者が観光客のためにホテルを追い出され、住むところがなくなるということは決してないことを約束すると発表しました。移動を強いられる可能性はあるけれど、必ず被災者が住むところに困らないよう対応するそうです。(が、実際の被災者から聞くとなかなか住むところが見つからない、期限が来たら出なくてはならないと心配が多いように聞こえるのも確かです)

23日にラハイナにより近い、ラウニポコビーチパークがオープンしました。ラウニポコビーチパークはウエストサイドからもノースショアから多くの人が来る人気のビーチパーク。シャワーも日陰もあり、バーベキュー台もあるし、赤ちゃんでも安心して水につかれるような壁に囲まれて守られた浅い水辺もある上、いつでも乗れる程度の波が割れてるから、家族みんなが楽しめる場所でもあります。子供の時にここでサーフィンを覚え、自分の子供にもここで波に乗ることを教えたという人も多いでしょう。駐車場もあるので行きやすいこのビーチがオープンしたのはとても喜ばしいことです。ただラハイナから数キロしか離れていないので水質がちょっと心配。あれだけの船が沈み、街全体が燃えて有害物質が空気に混じっていたりするくらいですから、海の水質も心配ではあります。

また、個人的にもそしてラハイナの住民やマウイの人たち誰に聞いてもポジティブな反応が見えるのは、ラハイナ復興のためのアドバイザーチームを市長が作成したことです。そしてその人選がとても素晴らしい。多くの人から尊敬されているラハイナ住民であり、それぞれが違う分野でリーダーとして常に精力的にコミュニティーのために動いている人たちなので、みんなが信用してるし、彼らが言うことなら納得するのではと思えるのです。今後週一回市長とミーティングをしながら復興についてのアドバイス、住民からの直接意見を伝える役割を果たしていきます。

ラハイナアドバイザリーチームのメンバーは以下の通りです


■アーチー・カレパ
8世代にわたってラハイナに住み続けているハワイアンファミリー。2012年にはハワイウオーターマンの名士に選ばれ、ホクレア号のメンバー、マウイオーシャンレスキューのリーダーでもあり、ビッグウエイブサーファー、ウオーターマン、ライフガードとしてハワイ中に知られる人物です。

■カリコ・ストーナー
ハイアットリゾートのハワイ文化アドバイザーであり、プウククイ水源のオペレーションの監督そしてハワイ語の学校に子供を通わせている親でもあります。

■キム・ボール 
ビッグアイランドで生まれ育ち、マウイで最も大きなサーフショップ ハイテックの創始者であり社長。1980年以来ラハイナルナ高校のレスリングのコーチを務めています。

■ローリー・デガマ
ラハイナにあったノカオイデリのオーナーであり、ラハイナルナ高校のPTA会長、2代にわたってラハイナでHop WOストアとベイカリーを経営していました。

■リック・ナヴァ
アメリカの退役軍人でありラハイナに起点をおくMSI Mauiのオーナーであり社長、またマウイ西部タックスペイヤー団体の委員会、マウイ商工会議所、ラハイナロータリークラブのメンバーだった人物。

5人のうち4人はラハイナルナ高校の卒業であり、3人は火事で家もなくしてしまったラハイナの住民です。

すでにラハイナとカフルイにおいて2回住民のミーティングが開かれ、27日にはどんな復興を望むか、住民の証言の場が設けられ、多数の住民が集まり思いを訴えました。

マウイ市長は彼らと共に話し合いながら住民の気持ちに寄り添った復興をいろんな角度から進めていくと発表し、復興だけにフォーカスする部署を設け、その復興局の長にジョサイア・ニシダ氏を任命しました。

できる限り透明な政治、住民の意見を聞きながらの復興を進めようとしている市長にも好感が持てるし、住民の代表として非常に適していると思われる5名のチームには大きな期待がかかっています。

ラハイナへの支援は世界中から絶え間なく続いています。

例えば、通っていた生徒の多くが全てを失い、学校自体が燃えてしまったので家があっても通う学校がなくなってしまったラハイナルナ高校の生徒たちへのサポートもほんとにすばらしいものばかり。

まずハワイ大学は2024年のラハイナルナ卒業生に対して学費免除を申し出ました。ラハイナルナ高校のスポーツへの寄付金が325,000ドルほど集まり、これは生徒たちの遠征費や部活動の運営費に使われます。
他にもハワイ出身のフットボールプレイヤー、フィラデルフィア・イーグルスのマーカス・マリオッタからはフットボールチーム全員にお揃いのナイキの赤いスパイクシューズが送られました。
ナイキは男女のバスケットボールチームにシューズと器具を寄付、元プロ野球選手のシェイン・ビクトリーノは野球とソフトボールのスパイクシューズと器具を寄付。カパルアリゾートのゴルフマーケッティング担当のマーク・ロルフィングは男女のチームにゴルフの道具を寄付、ヤング・ブラザーズは選手や学校がスポーツ器具などを一時的にキヘイに保管できるように4つのコンテナを寄付。ハワイアン空港、パゴタホテル、エンタープライズレンタカー、Zippy’sはハワイ州内での大会遠征におけるラハイナルナのフライト、レンタカー、宿泊、食事などを支援することになりました。

30日にはラハイナルナ・フットボールチームの今シーズンオープニング戦、ボールドウイン高校との試合があります。辛いことが多かったこの夏ラハイナの住民たちは、この試合をある意味復興の一つのステップのように感じていて、多くの人が楽しみにしています。おそらく今までにないほどの観客でフィールドが埋め尽くされラハイナルナの素晴らしい校歌の合唱が響くことでしょう。

画像1-6: ラハイナルナ高校の学生たち。
画像7: ラハイナ住民のミーティング。



ラハイナレポート#19 9月25日 会計のアップデート2

 ラハイナレポート#19 ー 会計のアップデート②


みなさま、こんにちは。
本日は会計を担当してくれているチームメンバーからアップデートさせていただきます。
ご一読いただければ幸いです。
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こんにちは。
会計報告第2弾です。
今日現在GoFundMeにて寄付頂いた総額は$168,148 にも達しました。
また、マウイ島で直接私達に寄付を託して下さった分は$1,170
合計で$169,318 となりました。

これまでに家を焼失/戻れない方々へ直接お渡ししたお見舞金の合計は$45,200となりました。
加えて、私達日本人に馴染みの深いラハイナのお寺を始め、被災支援に尽力されている地元の団体いくつかにも合計$17,000の寄付を届けさせて頂きました。

寄付先団体の詳細は以下です。

*ラハイナ真言ミッション:$5,000
*ラハイナ本願寺:$5,000
(ラハイナ浄土ミッションにも近日中にお届けする予定です)
*Maui Sports Foundation:$2,000/ ラハイナ地区の子供達のスポーツチーム復興支援
*Hawaii Animal Rescue Foundation:$1,000/ 被災地のペットの保護&世話
*Maui Family YMCA:$1,000/ 避難している子供達へのチャイルドケア
*Breeze Computers:$1,000/ 寄付された中古コンピュータを修理して被災者の方々へ無料提供
*Kahakukahi Ocean Academy$1,000/ 子供達の為のオーシャンアクティビティイベントや指導を毎週末ビーチで開催
*Maui Hub:$1,000/ 被災した家族達への新鮮な地元の野菜の無料支援

この先も引き続き、出来る限り被災者の方々へ直接支援が届くような活動をしている団体を見極めて、皆さまからお預かりした支援金をお届けしていく予定です。

それと共に、家を失ってしまった方々が近い将来長期的な住処に入居する際に生活品をいちから購入するとなれば、お金はいくらあっても足りないと思いますので、その支度金としてある程度まとまった額をお渡し出来るようにその分のお金はセーブしておく方向です。

皆さまからのご支援本当に感謝いたします!
ALOHA

画像1,2,3: Kahakukahi Ocean AcademyでCPR(心肺蘇生法) を真剣に学んだり、ショアブレイクを走ってリレーしたり、サーフィンの練習をする子どもたち。
画像4: Maui Hub
画像5: Maui Family YMCA
画像6: Hawaii Animal Rescue Foundation