先日被災し、全てが燃えてしまったお寺Lahaina Shingon Missionが、御大師講をラハイナのビーチパークで行っている写真をFacebookに投稿していました。私たちも状況を度々お聞きして、ホテル暮らしで不自由して大変な気苦労があったのをよく知っていたのでそんな中で一歩前に進み始めたとご住職様が思える出来事として、海の前で信者の方々と手を合わせている様子は心の底から感動し嬉しい気持ちで心が満たされました。
今まで当たり前だったもの、日常が全て一瞬でなくなってしまった時の精神状態は想像することもできません。お寺の設備もなにもない、そんな中でなんとか前に進もうとする姿勢、そして自分と家族だけでなく、お寺を心の支えにしてきたラハイナの人たち(もう2度とこの輪に入ってこられない亡くなられた方も含めて)のことを本当に心から思ってらっしゃるのが伝わります。
「キャンプ用の椅子を並べて持ち運べるお焼香でお香をたきました。しばらくはこのスタイルになりそうです」とのメッセージをいただきました。
大事なのは立派なお寺でなく儀式でもなく、純粋に手をあわせることができる信仰ということだと思います。必ずラハイナに立派なお寺が復活するよう私たちも末長く見守り応援していきたいと思います。
すでに毎週土曜日のファーマーズマーケットでベジラーメンを復活させている Alohana Vegan Ramenも先日パイアのカフェで寿司ナイトを開催。多くのファン、お友達が久しぶりに元は寿司シェフのスッシーさんが作ったお寿司を食べながら会話とドリンクを楽しんでました。
秋に毎年開催されるMade in Mauiというイベントは島の外からバイヤーが来るほどの大きなクラフトフェアーでローカルアーチストたちの作品が並ぶのですが、今年は被災したラハイナの住民はブース料金を払わずに出店することができます。被災した日本人の方も何人かがこのイベントに参加予定。これまでファーマーズマーケットやポップアップイベントで販売していた手作りアクセサリーなどを出すのでそのために今全力を上げて準備中だそうです。
皆さんそれぞれ少しずつショック状態から次のフェーズに、前に進むために動いています。それも書類や保険などの手続きもたくさんある忙しい中でやっていくので、大変だろうと思います。
日本の皆さんからの寄付はいろんな形で支援に使われていますが(もうすぐ第3回目の会計報告をお届けしますね)先日はラハイナ方面に住んでいる家族で就学中のお子さんがいる方に応援金としていくらか送りました。実際に家が燃えてなくても学校が燃えてしまい通っていた学校がなくなってしまったとか、遠い学校に通うので送り迎えが大変、私立の学校でお金がかかる、そしてお子さんも新しい学校に馴染めない、いく学校が見つからないなど色々苦労も少なくないようなので、被災した市内に関わらずお子さんがいる方という括りでお渡しできました。その中のお一人からお礼のお手紙をいただきました。
「本日、息子がとても有難い子供支援金を頂戴いたしました。手渡そうとした時、息子は一瞬戸惑ったような遠慮がちな表情を見せたのですが、Pray for Maui from Japanの皆様のお心遣いを伝えると笑顔になり、『それなら!』と喜んで受け取りました。その時に思い知らされたんです、色々ガマンさせていたんだと。ラハイナの大火災以来、両親共に仕事を失ったことで強いられた不便さに対して一言も不平不満を口にしなかった息子に『自由に使いなね!』と言ってあげることが出来たこと、心から感謝しています。
目に見えぬ大勢の方々からのご厚意に対して、そのお一人お一人にお礼をしたい気持ちでいっぱいなのですが、頂いたご恩を一生胸に抱いて、別の新たな機会でお返しすると言いますか、『ご恩送りをしていこう』と、息子と良い会話ができました。」
そんなふうに親子で話をしてくださったと思うと本当に贈ることができてよかったなと思います。寄付してくださった皆さんのおかげです。
先週末ラハイナのHALEZEN というブティックの倉庫エリアで被災者のために大きなショッピングイベントが開催されました。Hale Zenのラハイナのお店は焼けてしまいましたけれど倉庫は燃えなかったのでそのエリア全体を使っての開催でした。
「最初はものを失ってしまった人たちに何か少しだけでもプレゼントしたい、そんな気持ちで知り合いに声をかけ始めたんだけど、どんどん賛同してくれる人や会社、ブランドが増えてきて、びっくりするほど大きなイベントになってしまったの、でもそれはとても喜ばしいこと。このイベントに私がすごく思い入れがあったからみんなが喜んでくれるのが本当に嬉しいし、いいバイブレーションでいっぱい、ボランティアもほんとうにたくさんの人がきてくれたのよ」とオーガナイズの中心人物モーリー・レニーが言っていましたが、彼女と夫のカイ・レニー(世界的に有名なプロのウオーターマン)は双子の女の子を一年ちょっと前に授かったばかり、親となり火災で受けたであろう子供達や家族の心の傷も人ごとではないのでしょう。
オアフからプロサーファーも応援に来たり、とにかくたくさんのブランド物が並べられ、ウエアだけでなく、アクセサリーやローション、化粧品、靴などとにかくありとあらゆる新品のグッズがあふれる店内、そして外にはいろんなフードテントがならんでいました。ラハイナのローカル誰もが愛するナガサコストアの懐かしい味、スパムむすび、支援活動が忙しすぎて本業が追いついてないくらいのWaikomo Ice 、スケートボードやサーフボードを提供してくれるBoard4Buddies (50本持ってきた全ての板が誰かしらの手に渡ったそうです)そのほかにもローカルのスモールビジネスのたくさんのサポートで全てが無料、Foodbankからの食材などとにかく最高に楽しいショッピンングを楽しんでもらえました。全てをうしなってしまった家族が普通の生活の気分をすこしでも味わえるようにと開催。
でも参加した被災者の人に聞くと
「もちろん新品の、下手したら普段は買えないくらいのものをたくさんもらえてそれも嬉しいのだけど、それよりもこんなにも多くの人たちが、マウイだけでなくいろんなところのひとたちが自分たちのことを思ってくれて、動いてくれてるそのことを感じられることが本当に本当に嬉しいんだ」と言っていました。寄付もそうだけどものを通じて向こう側にいる相手の心が感じられるのは本当に嬉しいと思います。
マウイを代表するサーファーの一人カイ・レニーは一年中大忙しで波や風を追いかけ、何千万人というフォロワーがいる有名なサーファーですが、今回の火災、そしてその後の支援活動は自分の人生をガラッと変えたといいます。もちろん今までも家族のことは大事に思っていたけれど、コミュニティーにできることは色々してきたつもりだけど、人生への向き合い方が変わるほどの大きな出来事だったそうです。マウイに住む被災した人たち一人一人が元のように笑顔で生活できるようになるまでは必ず彼らに寄り添い支援を続けることを心に誓ったそうです。最初の一ヶ月は彼は被災地で寝泊まりしながらラハイナのために24時間体制で動いていた上に、彼の発信力、影響力を利用して世界中にいろんなことを伝え初期の支援活動を進めてくれました。
彼以外にもたくさんのローカルの若手がそういったコミュニティーワークに献身的に動いてくれてるのを見ると素晴らしい人たちが育っているなあと誇りに思えるし、きっとこれからもマウイは大丈夫!と将来に光が見える思いです。
ハワイ出身のMMAファイターILIMANATOR ことイリマ・マクファーレンはラハイナのために一人で260万ドルも集めました。多くの人が多額の寄付をしてくれていますが、それを裏で売名行為だとか、あのお金はどこに使うのかわかったものじゃないとか色々言いたがる人がいて、そのバッシングの中には本当に心を酷く傷つけるものもあるようです。
たとえばアクアマンなどで有名な人気俳優ジェイソン・モモアもハワイ出身でマウイにも関わりの深い人ですが何か一言いうだけで影響力も大きいし、注目度も高いのでバッシングされることも多く、それが嫌で大っぴらに動かなくなってしまいました。こういうふうに良心で動こうとしている人を無名でインターネット上でいいたい放題バッシングすることはネガティブなエネルギーを生むだけです。それどころかバッシングが嫌だからと支援しようと思ってた人がやめてしまったらほんとうにもったいない。
ひどいバッシングにあってもそこはさすがファイター、イリマネイターは理解してもらおうと努力しているし、できる限り全てクリアにお金がどこに使われるのかを明示しています。自分にはいっさい入ってこないお金のためにこれだけバッシングされたら、じゃあ、やーめた!といいたくなってしまうところを彼女はファイター精神でしっかり戦い抜いているのを見て、素晴らしいなと尊敬せずにはいられません。私だったらすぐに尻尾巻いて押し入れに隠れて泣いているでしょう。
レベルも寄付の金額も全く違いますが、私も寄付を集めることを決めた時ある程度バッシングがあるだろうと覚悟をした上で始めました。私にとって大きな強みは全く同じ思いで動いてくれてるメンバーがいたことでした。一人だったら悩んでしまったかもしれない時にどんなことでも話し合って大体同じ意見だったこと、意見の違いはあっても全てが前向き、ポジティブなものばかりだったので一緒に頑張ってこれたと思います。コアメンバーは4人でしたがマウイ中の日本人がいつもなんらかの形でサポートしてくれてるのを感じられていたのでマウイ在住日本人みんながチームだと思って動いていますし、それを誇りに思っています。
ありがたいことに、今回はほとんどバッシングもなく、反対に信頼してるので一番いいと思う形で使ってくださいと言ってくださる方が多く、それがお金以上の後押しになりました。そういうたくさんの人の気持ちを被災者の方にも伝えて、ただのお金でなく、たくさんの人の祈りと思いが込められたパワフルなお金なんだと感じてもらえたらと思っています。
私たち支援チームの面々ですら皆さんからの思いや励ましに元気もらってさらに頑張れるのですから被災した方々も絶対そうだと思うのです。
そうやって会ったこともない人同士が繋がってその輪が広がっていくと、やっぱり世界は一つで、一人一人がみんな幸せになってこそ真の平和が訪れるのだろうなあ、と実感します。自分さえ良ければ、では本当の幸せは来ないんですよね、きっと。世界レベルで考える時が遠くなりますが、せめてマウイの中のラハイナという小さな世界で一人も取り残されることなく、復興が進んでいくことを心から願い、そのために私たちも力を尽くしたいと思います。
写真
1枚目ラハイナのビーチパークで御大師講を行うLahaina Shingon Mission のみなさん。
2、3枚目 パイアのカフェで寿司ナイトを開催したAlohana Vegan ramen
4枚目ラハイナの被災者が思い切りショッピングを気兼ねなく楽しめるようにと開催された無料イベント。驚くほどのブランド品がたくさん。
5枚目 ラハイナローカルなら誰もが懐かしく思うナガサコストアのスパムむすびを配る可愛い売り子さん。
6枚目ラハイナショッピングイベント、大勢の人が集まった。
7枚目 Boards4Buddies サーフボードやスケートボードをなくした人にボードを届けたい、イベントにブースを出して持ち込んだ五十本全てが被災者の手に渡った。
8枚目 ラハイナショッピングイベントを企画運営したモーリーレニーとそのご主人カイ・レニー二人とも火災以後ずっといろんな形で支援活動を続けている。
9、10枚目 MMAファイター元ワールドチャンピオンのイリマ・マクファーレン。彼女は支援金260万ドル(4億円近く)ラハイナのために集めました。
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