みなさん、こんにちは。ラハイナの火災からまだ二ヶ月しかたっていないというのに、ウエストサイドで、すでに6回も子供たちのために、かなり大規模なイベントを開催しているグループがいます。これからもできる限り毎週土曜に開催する予定だそうです。先日やっと行くことができ、思った通り、素晴らしいイベントでした。
まずは主催者のゼイン・シュワイツアーと彼の家族について少し紹介したいと思います。ゼインは生まれも育ちもマウイ、生粋のラハイナボーイ。世界的なプロアスリートであり、ウオーターマンとして知られています。彼のお祖父さんはウインドサーフィンを発明したホイル・シュワイツアー、父親はウインド初期のワールドチャンピオンであり、マウイ島ホキパに初めてウインドサーフィンを持ち込んだ、ウエイブセーリング黎明期の主要人物でもあります。つまりゼインは、まさにウインドサーフィンのロイヤルファミリーの3代目なのです。2年ほど前に発表された彼らのドキュメンタリー映画「Broken Molds 」は、アクションも素晴らしくウオーターマンのメンタリティーや歴史を感じさせるいい映画でした。
ゼイン・シュワイツアーは30歳になったばかり。ウインドサーフィンはもちろん子供の頃から、そしてスタンドアップパドル(サップ)が始まると13歳の若さでプロとして世界を回り始め、サップレース、サップサーフィンなどで世界チャンピオンのタイトルを獲得。同時にロングボード、ショートボード、トウインサーフィン、ビッグウエイブサーフィン、フォイル、ウイングととにかくオールラウンドにオーシャンスポーツ全般で活躍しています。
10年ほど前からキッズを対象とするキャンプを開催、サーフィンだけでなく海に関わる子とみんなで楽しむ、年上の子やスキルのある子が慣れていない子をサポートする、海の大切さ、環境についてなどを教えることにも力を入れていました。初期のキャンプから参加し続けている子たちはすでに15、6歳で今回ジュニアリーダーとして小さな子供たちのケアをしっかりやって準備や片付けまでしっかり手伝っていました。
今回ラハイナの火災が起こった時、海の仲間たち、それも若者たちが率先してリーダーシップを取り、自分たちで色々考えてコミュニティーのために動いていたことは以前にも書きましたが、ゼインもまさにその一人、彼と兄のマティは被災地の現場から常に北側の仲間に連絡をとり、どんなサポートが必要かどんな物資が必要かを発信し、それを受けて被災していない側の島の人間が動き、信じられない素晴らしい支援体制ができていました。ゼインたちはもう二ヶ月ずっとそれを続け、本当に忙しく動いています。ちょっと忙しすぎて、そして背負う重荷が大きすぎて倒れちゃわないかと心配ですが、そこでこそ、普段海で培った精神力、判断力、体力、そしてチームワークを発揮して素晴らしい活動をしてくれています。
そんなわけで平日は物資の分配、世界中の支援者との連絡、大きな問題である住居の確保のためのタイニーハウス建設、などありとあらゆることで動いているにも関わらず、週末は多い時は100人近い子供達を迎えて海で子供達が思い切り遊びながらいろんなことを学べる場を提供しているのです。大勢の子供達をまとめ、彼の話をみんなが真剣に聞く様子を見て、実はこれこそが彼のクリアナ(この世界に生まれてきた使命)なのではと思うくらい、子供たちは彼に惹きつけられ、どんどん手を上げて発言したり、質問して、大人の私たちがハッとするような大事なことを言葉にしてくれたりします。
このオーシャンアカデミーは彼だけで動いているしているわけではありません。こういったイベントの場が子供たち、コミュニティーに必要であり、将来のためにも大事だと実感しているローカルメンバー、そして親御さんたちもボランティアとしてたくさん参加していました。何より素晴らしかったのはいろんなブースがあちこちにあって、そのブースごとにその道のエキスパートがわかりやすく子供達に教えてくれていること。
ただのサーフィンスクールとは違い、サーフィンは全体の一つの分野にすぎず、フリーダイビング、ライフセービング、CPR、ビーチクリーン、拾ったゴミを使ったアート、フィッシング、そしてびっくりしたのは現在ウエストサイドの大きな問題として取り上げられているウオーターシェッド(貯水や水の権利などの問題)の基本的なことを海に流れている小さな流れを見ながら説明したり、世界を航海しているハワイアンカヌーホクレアのスピリット、そして最新機器を使わずに星や天候を見て旅する航海術のとっかかりになるようなことを教えてくれるようなブースもあり、それぞれがその専門家たちで子供達は驚くほどたくさんのことを吸収していました。
全てに興味を持たなくても、これだけいろんなことを学んだ中で自分はこれが好き!というのを見つけてどんどんそこを追求してくれればいいなあと思います。例えば、ライフセービングのところから離れず、一日中ターナキット(止血用のベルト)を持ち歩いていた子供はもしかしたらこの先救急救命士になろうとするかもしれないし、星を見ながら航海するロマンを知った子はホクレア号にいつか乗りたいとポリネシアン・ボヤージング・ソサイエティのユースプログラムに参加し、ハワイの素晴らしいアロハについてしっかり学んでいくかもしれない。釣り部門は特に素敵で、普段キッズキャンプなどにあまり見かけないタイプのディープなローカルアンクルたちが大勢いて、子供達に彼らがずっとやってきた地元のスタイルの釣りの方法を教えている様子は本当に微笑ましかったです。釣りの道具はラハイナにお店があった人の倉庫にあったものを、お店がなくなってしまったために、たくさん寄付してくれたそう。子供達の多くはフィッシングギアを持って帰り、今後も釣りを練習することができるのです、そしてローカルのおじさんたちも火災で仕事がなくなったり住む場所がなくなった中、自分のスキルが役立つ場、喜んでもらえることをすることで明るい気持ちになるのではと思います。
世界的なビッグウエイブサーファーでノースサイドで人気のキッズサーフィンイベント「メネフネ・メイハム」を17年間続けているイアン・ウオルシュも、ビッグウエイブワールドチャンピオンのペイジ・アームズも、アダプティブサーフィンアスリートで両足義足、手も指がほとんどないジョッシュ・ボグルもボランティアに、ライフガードたちもサポートにきていました。水問題に関わる学校の先生や、ポリネシア・ボヤージング・ソサエティーのスタッフもみんな忙しい中このボランティアに来るのはみんなゼインと同じ気持ちを共有しているからだと思います。
子供達には火災の辛い思いを忘れて思い切り楽しんでもらいたい、そして将来の素晴らしいラハイナはこの子供たちにかかっている。彼らが素晴らしい価値観を持ち、昔から受け継がれてきたアロハを身につけて、海や山と共に生きることの大切さを知ってくれれば彼らが社会をいい方向に持っていってくれるでしょう。いろんな明るい未来を垣間見ることができました。
かなり大掛かりで大勢が関わるイベントなのにこれを毎週やるのは本当に大変だと思います。みんながそう言ってました。特にイベントをオーガナイズしたことがある人にはそれがどんなに大変だかよくわかるのです。私だったら一年に一回でへとへとです。これを子供達のために毎週できる限り続けると宣言しているゼインの覚悟はものすごく大きなものであり、自分のアスリートとしての活動以上にコミュニティーリーダーとしての責任を感じて動いている気がします。
生まれた時から知ってる、いつも明るく暴れん坊だったゼインこんなにも立派になって、本当に誇らしいし、そんな立派な彼を育て上げたラハイナのコミュニティーの素晴らしさにも感動します。彼の子供もそのまた子供も、みんな彼のように美しい海で遊び、自然の厳しさを学び、海や土地が与えてくれる食べ物に感謝しながらみんなが助けあるコミュニティーの中で周りの自然と共に生きていけるラハイナの街が立派に復興してくれることを心から願っているし、ラハイナに住んでいない私たちも彼らが思い描く理想の街になるために協力が必要な時は一緒に立ち上がり、声をあげていかなくてはと思っています。
彼の主宰している Kahakukahi Foundation へのドネーションはこちらから、あるいは私たちに直接連絡いただいて寄付することもできます。
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