2016-01-28

1月28日 世界各国から集まってくるビッグウエイブ好きたち

(トウインで夜明け前にテイクオフしたアンドレア・モーラー、レディースではもちろん多分メンズでもこの波に乗れるサーファーは数えるほどしかいない。その上彼女シングルマザーで消防署のレスキュー退院の仕事もして、スタンドアップでもパドルインでもジョーズで乗っていて、ロングディスタンスパドルレースモロカイでもなんども優勝している凄い女性なのだ)

今回のビッグススウエルは個人的には前回15日のものより、そしてピアヒチャレンジの大会の時よりも凄い波だったんじゃないかと思う。急激にアサイズアップし、早くにサイズダウン、そして一番のピークは夜の間に過ぎて行ってしまったが、それでも翌朝夜明け前はみんながトウインしていたほどだからかなりのサイズだったはずだし、何より、サイズだけでなくパワーがあってバカっと掘れリップの分厚いものだったように見えた。実際自分が乗れるところでの波もサイズの割りにいつもよりずっとパワーがあり、また海の動き、カレントの流れがとても激しかった。
朝は自分も海に出たし、夕方は他の用事があったので一日中見て入られたわけではないのだが、28日は前日の午後に比べてサイズダウンしたせいでみんなたいしたことないように話していたが、あんな凄いのはサイズがダウンしたって凄い波には変わらないそして前日手がつけられていなかったセットの波に、何人かのサーファーがテイクオフ、そして鳥肌が立つようなチューブをメイクしていた。
(写真はひろなりくんのフェイスブックから拝借)
昨日はワイメアでチャージして、それから今朝マウイに到着した日本人サーファーあつし君とひろなりくん。お昼頃からパドルアウトしたのは正解だった。昨日の午後、今朝でかなりみんな疲れてきて、どんどん夕方にかけて空いていったからだ。パドルアウトした時には多分30人以上入っていたが、すぐに20人くらいに減り、最後は夕方はシェイン、イアン、グレッグロングなどと一握りのサーファー達で間近に彼らの動きを見ることができ、話をし、特別なソウルセッションを共有することができたようだ。


私がピアヒについたと同時くらいに彼らは海に出ていた。「オレンジと赤のボードが俺で、白いのがなりちゃんです」というメッセージ。
友人たちと一緒に丘から望遠鏡で必死にさがす。いたいた。
結構はじのほうに陣取っていいカンジでラインナップの様子を見ている、と、篤くんがまずテイクオフ、彼は相変わらずはじの一番ほれる波からテイクオフ、だからテイクオフはすごく難しそう。
(今の所唯一手に入っている写真、(ビデオからのスナップ)これは一本目の篤くんの波。エアードロップ半端ない、ブルースリーみたいだけど躊躇は感じられない。)
今回も一回目は上から10メートルくらいの(に見える)エアードロップで降っていた。続いてひろなりくんも一本目はミディアムサイズでボトムでワイプアウト。でも二人とも巻かれながらも落ち着いてラインナップに戻っている。だいたいセットが来ると乗ってるメンツは決まっていた、その合間に来る波もみんな乗りたくてもなかなか乗れないように見えた。いつもより波が掘れて、リップが厚い感じに見える。だからか、テイクオフで失敗したりリップでふってる人も多いし、ギリギリでバックオフする人も多い。
波のはじ方でも巻かれるとかなり引きずられるし、2発くらい巻かれるともう随分インサイドまで行ってしまう。その頃にはジェットも来てくれて助けてくれる。

シェインドリアン、グレッグロング、イアンウオルシュはさすが、ベテランらしく、本当にいい波が来ると必ずその3人が乗っている。
(グレッグロング)


若手タイラーやアルビーは波の大きさより自分が乗りたい波、そしてテイクオフの位置をよく知っていて、他の人たちの何倍も波数に乗っている。しばらくするとひろなりくんがかなりいい感じの波にテイクオフ、同時にもう一人の人もテイクオフしたのだがひろなりくんの方が奥だったのでよけてくれた、ひろなりくんが急に掘れてそそり立った波に板を合わせ,急にスピードを増したような感じで掘れたセクションを抜け切った、向けた後彼は信じ難いと云った表情で両手を上にあげた。
いい波だった。パワもあり、パンチも効いていた。
(フランスから来たベンジャミン、バスク地方では知られているのだろうが、こういうアンダーグラウンドのビッグウエイバーがこのようなチューブ一本で世界に名前を知られるようになる)
(大きなうねりの合間、それほど大きく割れていないときでも、とはいえジョーズで割れていれば十分大きいのだが、乗っていた面々、左からローカルのショーンの板に乗ってる子、サウスアフリカのソロモン親子、このシーズンでしっかりジョーズに名前を刻みつけたジョッシュレッドマン、もう一人サウスアフリカの人、そして一人置いてビクターロペスの息子、ショーンロペス それにしてもビッグウエイブやる人は大柄な人が多い、みんなこれ190センチくらいの巨漢)
去年も一昨年も世界中から大波乗りがこの波に乗りたくて集まっていたのは同じなのだが、今年はさらにそれを感じた。特にあまり知られていない無名の若者、あるいはあまりサーフィンで知られてはいない国(というかワールドツアー選手などがいない)からのサーファーなども単独で乗り込みとにかく乗りたくてジョーズに張り付き、小さくても大きくて割れてれば出る、そんな人が目に付いた。地元の若者でもそういう子がいた。割れる変われないか、あるいは割れはじめの空いてるときに、自分はビギナーだから今行かなくとと急いで出て行く、波がなさそうなときに見に行っても、彼がまたいてでて行くところだったり、そして海の上でも派手さはないけど着実で、毎回見る度に上達していて、28日にはものすごい波にテイクオフのトップから振り落とされ、ボードごと白い滝にのも混まれ、その後、2本大きな波にやられてかなりインサイドまで引きずられていた。最後はジェットに助けられてチャンネルに戻ってきたけどそれでもインフレータブルを引っ張っていなかったのには感心した。

メキシコプエルトエスコンディートのローカル、ココ・ナゲイルズ。
「人生最高の日、長年の夢がかなった。感謝の気持ちしか湧いてこない」と感動していた。

イギリスのトム・ロウ、実はイギリスやアイルランドには彼のようなさむーい海のビッグウウエイブ好きが結構いる。
(同じくトム、いい波を乗るにはリスクも大きい)
ニカラグア、チリ、ブラジル、サウスアフリカ、オアフ、サンタクルーズ、みんなジョーズの波に乗ることを夢見て集まってきて、そして夢を実現させてるのだ。いい表情にならないわけがない。
日本からは篤君とひろなりくん、他の海外のアンダーグラウンドチャージャーたちとともに今回は特にジョーズに強い印象を残していった気がする。
篤君とひろなりくんが岸に戻ってくる最後まで見届けたかったけれど、3時過ぎにピアヒを離れた。

車まで戻る途中にちょうど海から上がってきた様子の若い男の子がもう、天国にでもいっちゃってるような目をしてものすごいハイになってる空気を放ってそこに立っていた。小さなレンタカーに今脱いだばかりのベストやラッシュガードを置きながら、見も知らぬ行きすがりの私でもいいから何かこのすごい気持ちを聞いて欲しい、そんな顔をしていたので、「お疲れ様good job、 Congratulation」と声をかけた、あまりの彼のオーラに思わず手を差し出して握手までしてしまった。まだたぶん20前後だろう。オーストラリアから来たのだそうだ。少なくとも私が知ってるような有名な選手ではない。でもきっとどうしても乗りたくて一人でドキドキしながら出て行って、巻かれたのかいい並に乗れたのかはわからないが、無事にあのショアブレイクもクリアして帰ってきた。それだけでもあんな顔にさせるほどの経験なんだと思う。

(ゼインシュワイツァー、レフトのビッグウエイブ。彼のおじいさんはウインドサーファーを発明したホイルシュワイツァー、お父さんはウインドサーフィンチャンピオンのマット、そしてゼインもウインド、サップ、サーフィンすべてに長けている)
ジョーズでのセッションを終えて上がってくるサーファーはみんな同じ顔をして帰ってくる。日常生活ではなかなかあそこまでのハイは経験できないのではないかな、私には見ることのできない何かものすごい力や魔法を見ることができるんだろうなあと羨ましく思う。こういう顔はアラスカでもよく見る、たぶん自分もしたことがある。世界中の全てに愛を感じ、すべてを肯定できるような気持ちになる。それこそエベレストに登った人とかもこんな顔になって帰ってくるんだろうなあ。
写真のほとんどは28日でなく、27日の午後のもの、やはりサイズが大きかったのでその日の写真のアップが多く、28日のものはあまり出てこない。

でもイアンウオルシュの完璧なチューブやグレッグシェインなどうならせるように上手なサーフィンなどたくさんあった。
なんだか凄い波やライディングがありすぎてみんな麻痺してきたような気もする。

ピアヒの波にパドルでは乗れないという概念が覆され始めたのがまだ5年前。それが今やこんな凄いことになっている。
(トウインしかなかった頃のピアヒにパドルで何年も一人で挑戦し続けていたマルシオ・フェレーリ、仲間は大勢に増えたが、彼のチャージもどんどん進化している。Living the dream with nighmare bihind it 夢に見た人生を生きているけど悪夢が後ろで追いかけてくる、と言う彼の言葉に大笑い、まさにそうだろうな)

先ほどの写真に載ってた、ソロモン親子のお父さん、28日の朝一発目のワイプアウト。
少なくても55歳以上ではあるはず。凄いなあ。人形みたいになってる。


昨日も今日も一番大きな波に乗って抜けてきたのはサンタクルーズのニックラムじゃないかと言われていた。

kai Lenny ジョーズが割れるたびにグンとレベルアップしてる彼、後ろのチューブの大きさったらない。

グレッグロングの教科書のようなチューブライディング
ジェイミーオブライアン、彼も人生最大の波にパドルインで乗ったと言っていた。
カイ、スタンドアップ。
弟のニコロのワイプアウトで一躍有名になったイケイケのポルチェラブラザーズ、グーフィーは兄貴のフランシスコ。
ローカルのストローダー、メイクしている写真も凄いけどこの波でワイプアウトして死なないのが不思議。

ビッグウエイブはただのアドレナリンジャンキーから始まるかもしれないけど、あのジョーズの波を前にしてみて、ただアドレナリンだけでは乗れないと思う。自分のちっぽけさを目の当たりにしたときに感じる自然のパワー、その中で生かされていることを感じる喜び、あのものすごいパワーで動く並に自分を合わせて一体になること、どんな感覚なんだろう?一生私は想像することしかできないが、それでも間近に見せてもらえることでビビッドな想像ができる。

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