2021-01-17

1月17日 Super Swell セッション

          

あっという間に1月が半分過ぎてしまいました。思えば12月の2日に大きな波が来てからほとんど休みなく波がいい。年が明けてからは本当に毎日波が大きくてペアヒが割れていない日がないくらい。

小さくて割れる変われないかも日もあるけどそれでも割れれば15フィートはあるだろうし、そういう日こそ初めての人やこれからやりたいという人にはもってこいのコンディションなので、若手や本気でやりたいと思ってる人たちは毎日チェックして、一本でも2本でも、あるいは乗れなくてもでたりしている。普段はそんなに連続して乗れるチャンスはないのでこのシーズン頑張ってる若手たちはラッキーだし、次のシーズンに海外からプロが大勢来た時も一緒に波を取るときに経験を積んでラインナップに参加できるはず。やる気のある子たちが日に日に上手くなっているし、若い子でもチャレンジしている子が多い。

混雑のない中小さめのペアヒでトウインの練習をお父さんとやったり、先輩に教えてもらったり、仲間同士でパドルアウトしたりそんな感じで若手が成長していくのを見るのはとても嬉しい。一度ペアヒの波を経験すると生半可な気持ちでは絶対怪我をするとわかるのでみんなトレーニングにも余念がない。ジムに行くとみんな来てるし、それぞれがいろんな工夫をしてペアヒのために準備をしている。

さて、ペアヒが連続してブレイクしている中でも今回のうねりは特別と随分前からSNSなどでも盛り上がってて、1月末にあるスーパーボウル(フットボールシーズンの最終戦でチャンピオンを決める試合、アメリカではこれを見る人が多くこの日は海もガラガラ)にちなんで、スーパースウエルというニックネームまでついていたほど。コロナでなかなか移動しにくい中オアフからもペアヒを狙っているサーファー達が何人か来たし、マウイのビッグウエイブサーファー、若手、政府ティー、それぞれがギアやジェットの整備をし、この日に備えていた。

なかなかカウアイの西にあるブイの数値が上がらないなあと思ったら前日の夜になってジャンプアップ(いろんな予報や情報があるけどブイを見るのが一番確実)お昼頃には確実に上がりそうだけど、これだけ騒がれてるので混雑もすごいはず。いい場所でじっくり見ていたいので朝早く暗いうちから出動。。というか乗るわけでもないのに興奮して2時半ごろから寝られず、風向きや風の強さをチェックしたりして、ソワソワしていた。

6時に友人とペアヒへの道の入口で待ち合わせしたけど私も彼も興奮していて時間より早くに着き、シャトルも見えなかったので、歩いてクリフサイドまで向かった。すでに結構な数の車が来ていたし、カメラマン達がセティングしていた。

私が一番好きなスポットはすでに取られていたので前回と同じ場所、サトウキビをかき分けて行く森の中にある場所に陣地を作りスタンバイ。すでに波は割れていたけれど、ここ1週間以上それくらいのサイズは割れていて、まだ新しい大きなうねりではなさそう。夜明けとともに7時半ごろ何台かのジェットと船がやって来た。ハーバーからペアヒまで少なくとも1時間はかかる。けれど、みんなこれが待っていたうねりとは違うことはわかってるからか、のんびりモード。

最初にパドルアウトしたのはボディーボーダー。友達なのか、すぐ横にずっとジェットが寄り添っている。万が一巻かれた時のすぐに対応できるようにだろう。誰だかははっきりしないけど頭が丸い感じがするので、マウイで一番じょうずなJacob Romeo先生ではないかと勝手に予想をつける。まだ小さいとはいえ、割れればでっかいし人がいないぶんラインナップを見極めるのも難しそう。そうやってるうちにもう一人出てきた、今度はゼインシュワイツアー、サップで登場。

今までのノーススウエルと新しいうねりの両方があって、海面があまり綺麗じゃないし、波選びも難しそう。そんな中ゼインはさらに奥の方までパドルし、グーフィーなので、もしかしたらレフトの波を狙ってるのかしらと思うくらい奥でスタンバイ。結局ボディーボーダーは一本かなりエアードロップに近いテイクオフをメイクし、ゼインは何本かいい波を乗り、(今年に入ってから何度も乗った波の最大サイズ記録を更新しているらしい)それに刺激されてサーファーも数人パドルアウトしてきた。4人くらいいたけれどわかったのはネイサンフローレンスとイーライオルソンのオアフチーム。オアフチームだけどピアヒがブレイクするときにはいつもきてチャージしているし、スキルもすごいからもうすでに常連組。マウイローカルはまだこれは本番じゃないと思って待機しているのか出てこないけれど二人はオアフから来たからには乗らないと、とやる気が見える。オレンジ色がトレードマークのタイラーラロンドもラインナップにいた。緑と黒のツートンのサーフボードにカムフラージュのウエットはもしかしたら12歳のロバーソン3兄弟の末っ子、ベイビースティーブかもしれない。(彼がトウインで波に乗ってる写真は出ていた、もはやペアヒレギューラーになりつつある笑)

ただ朝から結構風が吹いていて、それがテイクオフを難しくしていた。沖は白波がいっぱいだし、波がブレイクする飛沫が波の後ろにものすごい勢いで飛んでいくところを見るとどれだけ吹いているかよくわかる。みんな波に乗るのに苦労していた。

パドルサーファーたちがなかなか波に乗らないので、トウサーフィンのチームが動き始めた。まだサイズアップしてないので今がチャンスとあまり慣れていない人たちが乗ろうとしているように見えた。

若い女の子をトウインしているジェットがいた、2本小さめ(とはいえ今日の波の中では、という意味で十分大きい)の波に乗り、かなりひどいワイプアウトをしたが、無事メイク。前の日に初めてのトウインにチャレンジした14歳のローカルチャージャー、クリスリン・カネかなと思ったが、カウアイレジェンドのタイタスキニマカの娘でありロキシーガールでもありモデルもやってるマイネイキニマカだったみたい。可愛いだけではありません。ハワイアンとしての誇りを持ち、いろんな活動もしたりしている立派なハワイアンガール。今後が楽しみ。他にもトウインでイジーゴメス、アニーも載っていたみたい、でも何と言ってもレディースで一番すごかったのはフランス人で、ナザレでもメンズ以上にチャージしているジャスティーン・デユポン。


 




何本も乗っていたけどそのうちの一本は今日のダントツのベストライドだった。奥の奥からものすごいスピードで巨大なセットのフェイスを切り裂いてきてものすごい分厚いリップの下をくぐり、完全にいなくなった瞬間誰もが彼女が押しつぶされたと思ったのに、真っ白の煙の中からものすごいスピードで飛び出してきたのだ。動画はこちら

彼女は2年前にピアヒの大会で大怪我をし、半年くらいかけてリハビリをして復活した。そして今やナザレではメンズと一緒にインビテーションのトウインの選手として招待されるほど。そしてレギュラーサーフィンもうまいし、実はサップサーフィンでも世界選手権に出ているし、フリーダイビングもすごいらしい、まさにウオーターウーマン。

ピアヒで乗っている女性たちは乗ってる波もすごいけど、みんな人間的にもものすごく立派な人ばかりでお互いをリスペクトしあい、競争意識より仲間意識が強く、お互いをサポートし合っているのが本当に素敵。それにしてもレディースがあんなライディングをするような時代が来るとは。あのライディングは BIG WAVE AWARD にも必ずノミネートされるはず。実際に見ることができて、嬉しい。

さて10:30ごろ(ブイからの予測でもそのくらいから波が上がるだろうと言われていた)カイレニーのボートが登場。そして登場した途端最初のでっかいセットが割れた。さすがカイとみんなで感心していた。

その頃には完全にラインナップはトウインセッションとなっていた。


kai Lenny





Ian Walsh

Tylor Larronde

Nathan florenceかな
タイラーのワイプアウト

ビリーケンパー、ネイサンフローレンス、イーライ、そしてグーフィーフッターでジョーズのトウインではベテランのショーンロペス、そしてフランシスコ・ポルチェラ、トウインだと人のボードを借りて乗ったり、交代で乗ったりするのでなかなか誰が誰だかわかりにくいけれど、目立っていたのはカイ・レニー、タイラー・ラロンドかな?


風が上がってきて、待ちきれなくなったウインドサーファーで最初に出て行ったのはロビー・スウイフト、普段は全く風がないチャンネルあたりから結構板が走っていたから波に乗ったら結構強いだろうなあと思いながら見守っていたが、ここのところウインドサーファー達は連日ピアヒで乗っているのでだんだん精神的にも慣れているのかもしれない。








ロビースウイフトとリカルドカンベロは冬の初めにレスキューの講習にもきていて真剣にいろんな質問をしていた。自分たちのやってることがどれだけリスクがあるかを実感しているからだろう。でも真剣にセイフティーを考え出したからなのか、リカルドのペアヒでのライディングは最近目を見張るものがある。以前のホキパで見るイケイケな感じとは違う、計算されながらもラディカルな素晴らしいライディングだと思う。ペアヒで一番うまいと私が思う、マリシオ・ブラウンも出てきた。そしてキングロビーもさすがと思わせる完璧に計算されたライディングで大きな波に乗っていた。もうそろそろ還暦なんじゃないだろうか。でもロビーは全くそれを感じさせない。ジェイソンポラカウも出てきた。

彼はトウサーフィンのカイレニーと巨大なセットを共有し、二人でクロスクロスをやってのけた。普通の神経じゃ絶対無理!若手のSchettewi兄弟のジェイクとZも最近はよく乗っている。

今日は多分ジェイクだけが出ていた気がするが大きな波に堂々と乗っていた、彼が大学生になってメインランドの大学にいたのだがコロナになってオンライン授業になりマウイにいながら大学の勉強中、なんてラッキーなこと!おかげで毎日の様にジョーズでウインドすることができるのだ。

カイトはジェシーリッチマンが数週間まえに大きな波のリップで足を骨折したので、今日はパトリが一人で出ていた。カイトでこの風の中並みに乗るのは非常に難しいはずだし、オフショアが強いとほんと大変なはずだけど私が見ていた限りはワイプアウトもせず、巨大なセットに何本も乗っていた。車の免許がなくて学校からスケートボードでカイトビーチまで来てカイトしていた頃からパトリのことはよく知ってるけど、本当に性格もいいし、ユーモアのセンスがあって、見た目は全然そんな大きな波をチャージするようには見えないのんびりした感じ。でもすごいセンスのあるライディングをする。そして彼のガールフレンドのオリビアは彼以上にチャージするというパワーカップルなのだ。(今日はなぜか出ていなかったけどそりゃあここ数日ペアヒセッションが続いてたから、疲れているよね)

さて、ウインドでのハイライトというか一番の見どころはやはりアダムのワイプアウト。ポーランドの選手で、最近私はウインドサーフィンを見てないのでイケイケの選手なのかもしれないが、ここのところジョーズが割れると必ず出ている選手。1本目に乗った波が今日一番くらいのサイズの波でものすごいスピードでチャンネルに向かって走ったけれど、かなりワイドで追いつかず、最後はウインドサーフィンのセイルごと(マストは5メートルの高さがある)丸々チューブに入ってしまうんじゃないかという感じ、最後ギリギリのところで自分から海に飛び降りその直後にリップがセールに落ちてきて一瞬で潰されていた。おそらくギアは粉々になったと思うけどボードは無事だったらしくそのあとも何本が小さめの波に(今度はちゃんと安全なラインどりで)乗っていた。若いからいけると言ってしまえばそれまでだけれど、まあ、とんでもないワイプアウトだった。

ひどく巻かれた後も悪夢は続く。

ワイプアウトと言えば昔を知ってる人なら古矢さんのピアヒでのワイプアウトを覚えているかもしれない。彼が3階建てのビルの上に5トントラックが引っかかっててそれが今にも自分に落ちてくる感じと説明していたワイプアウトは昔出たジョーズの写真集にも出ていて、巻かれる前の一瞬に昔のことが走馬灯のように見えたとも言っていた。あの頃はサポートのジェットもないしライフジャケットも着てない。すごい時代だったなと思う。

(ロビースウイフトが乗ったセットの波)
いつもはマリシオブラウンが一番うまいと思うライディングwするけれど、今日はロビー・スウイフトが目立っていた、というか自信に満ちたライディングを見せ、大きなセットに乗っていた。ここ数日のピアヒセッションで乗り込んだ成果なのかもしれない。

最後の最後までは見れなかったけれど、セッションは日暮れまで続いていたらしい。ゼインシュワイツアーはウインドでは今までで一番大きな波に乗り、今日1日でサップとウインドの最大の波記録を両方更新したそうだ。

一つ忘れていた、ワイプアウトもチューブもすごかったけど一番すごいのは彼らの安全を守るセイフティークルーの面々。海全体がうごめくような流れの中フォームだらけで真っ白になってる中に黒い点のように浮かんでいる、またあるいは全く浮かんでこないのを必死に探してピックアップするのは本当に体力も気力も経験値も必要な大変な仕事、それを自ら名乗り出てやってる彼らは本当に素晴らしいし、彼らもあの仲間意識とか究極のアドレナリン、自然との対峙を楽しんでいるのだろうとは思うけどほんとに彼らがいるからこそあれだけのチャージができるんだとサーファー達は誰もが言ってるし、ほんとにそうだと思う。

そして最近では波に乗る人もセイフティーができるようになってきてお互いを見守り助けるシステムが以前以上にしっかりできてきた気がする、サイズが小さい時は別だけれど、ある程度のサイズの時は岩場からパドルダウトしてくる人はほとんどいないし、みんなチームを作ってペアヒまで出てくる。普段からシミュレーション練習をしているのでピックアップする側もされる側も慣れていて、ものすごく速い。波と波の間でそれをやらなくてはならないから、一秒の遅れが安全を大きく左右するから。「でも板をピックする時にフォイルボードは怖いもんだとわかったね」とこないだ一人の人が言ってたけどそうだろうなー。マウイのセイフティーたちはこの世界一大きなチューブが割れるペアヒでまた死者が出ていないことを誇りに思っているし、そのために本気で動く。そんな彼らはサーファー以上の英雄であり、真のヒーローとして評価されている。

というわけで自分は乗ってもいないのに、1日ドキドキして過ごしました。

明日は少しサイズダウンして、風もない予報なので今日パドルで乗れなかったサーファーたちがみんなリベンジを狙っているはず、、、なので明日に続く、と言いたいところですが明日は私も海に行きたいので見に行きません。

(後日談、二日目は予想通り結構な数のサーファーが出てきて乗っていたそうです、でもサイズダウンが早くセットも少なくなってきて午前中で終了という感じだったみたい。)

また明日、そして木曜日にうねりが入り、週末にはまた巨大なサイズのが来る予定。結局この大波祭りは一月中ずっと終わりそうにない、、こんな冬は10年ぶりくらいかな。



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