2024-01-13

ラハイナレポート#10 8月25日

 ラハイナレポート#10 - ハワイから学ぶ価値観


みなさん、おはようございます。
あの火災からまだ二週間くらいしかたっていないというのに、ありとあらゆることがものすごいスピードで変化するので、大昔のことのようにも思えたりする毎日です。

まずマウイの様子ですが、ラハイナはGround Zeroと呼ぶ人もいるように、全てが燃えてしまったエリアがあったり、電気、水などとおらない、家はあっても汚染した水や空気で苦しんでる方がたくさんいます。何より、家族や愛する人を失った方にとっては、いつまでたっても心が完全に前のように、ということはないでしょう。

課題ばかりの中、目下の大きな問題は、実はかなり生死に関わることでもあります。物資はある程度配給のシステムが良くなり、必要なところに届くようになってきましたが、その一方で、ラハイナ周辺の住宅地の空気の汚染、そして水の汚染が深刻になってきています。空気洗浄機はマウイではすでにどこも売り切れ、昨日今日は私もいろんな人に使ってない空気洗浄機の寄付を募って動き回りました。特にご老人、赤ちゃんのいる家にはぜひともできるだけ早く届けたいです。ラハイナで動き回っている人たち、具合が悪くなった人たちのためにデトックスをする呼吸機器のようなもの(専門的なことがわからずすみません)を設置しているハブもあり、ボランティアの看護師さんたちが常駐してケアをしています。クラも今週末たくさんのボランティアを募って本格的にこれ以上火が拡がらないよう谷で燻っている部分を完全に鎮火させる計画ですが、今でも煙がひどく息苦しくなる人もいるようです。

今更ですが、当たり前過ぎて普段あまり感謝することは少ないけれど、空気と水がなくなったら私たちは一発で終わり。水が汚染され、空気には有毒物質が含まれている状況を前にして、初めて食べ物よりも水と空気が大事だということを実感し、環境を大切にすることの根本的な理由を再確認させられます。同じ時期に日本では原子炉からの汚染水がこれから放出されるとニュースで読みました。そして今後30年ほどそれが続く、と。Water is life/ 水が死んでしまったら私たちも終わりです。

さて、そんな不安がたくさんではありますが、マウイコミュニティーとしての結束はますます固くなっている感覚があります。最初のうちは急遽開かれた避難所に、誰も彼もが色々買い込んで持ち込み、物資の整理ができない状態で、混乱も多かったけれど、もうすぐ二週間になる今、避難所の多くは閉鎖し、多くの人が身を寄せる場所を見つけたか、ビーチなどでキャンプするようになりました。食事も物資も指定されているところに行けば手に入り、多くの物資配給のハブがオーガナイズスキルを高め、本当に必要なものだけをリクエストするようになり、混乱が減りました。それと同時にある特定のニーズに特化したハブや支援もたくさん生まれました。










妊婦さんや赤ちゃんのいるお母さんたちのありとあらゆることをサポートしてる団体。コンピューターの仕事をしてることを生かして壊れている、あるいは古くて使ってないコンピューターの寄付を募り、それを一つ一つ直して使えるようにしてはラハイナに送り込んだり、街にオフィススペースを作り、誰もがそこで仕事をできるようにする手伝いをしている友人。普段は障害のある子供のケアやお母さんたちのサポートをしている団体は、週3日被災地の公園で子供たちのデイケアを提供しています。お母さんたちが仕事に行ったり、一人でほっとする時間を持ってもらい、子供たちは思い切り外で子供同士で遊ぶことでストレス発散できる素晴らしいプログラムです。それには私の通ってるジムも協力していて、トレーナーだけでなくジムメンバーもたくさんボランティアで参加し、中学生や高校生の子供たちも、お兄ちゃんやお姉ちゃんとして子供たちと一緒に遊んでくれたりしています。


たくさんの食事を無料で提供しているシェフたちの炊き出しには、オーガニックファームからの野菜が提供され、フィッシャーマンたちは釣った魚をそのままそこで捌いてこれも食材に。ここで料理をしているシェフたちは、私たちなど行ったこともないような高級ホテルや高級レストランで働いていた人たちだから、そのお料理は私も食べてみたいと本気で思うくらいです。
サーファーだからこそ被災したサーファーの気持ちがわかる、ということで、板をなくしたサーファーに板を送って早く海に戻れるようにしようというプロジェクトもびっくりするほどたくさんの人が板を惜しみなく提供し、あるいはなくした人が乗っていたのと同じような板を削って欲しいとシェイパーにドネーションしたり。

ベネフィットコンサートやライブもあちこちで開かれ、お店では被災した方が買い物をしてることに気がついた隣の買い物客が、その被災者の方の買い物の分も支払っている様子を何度も見かけます。特に印象的なのは、中学生や高校生でも自覚を持ってボランティアをしたり、発信してること。コミュニティーの一員として役に立とうという気持ちがあるのはすごいなあと思います。

マウイの日本人コミュニティーをみても、本当に素晴らしいです。まず、日本人の被災した方で避難所にいた人は一人もいなくて、みんな誰かしら友人の家に滞在することができていました。必要なもの、困っていることがあると、「誰かこれ持ってないか」、「ここに行けないか」などと連絡網のようなものが回ってきて、誰かしらが手を挙げてケア。誰がどこで何をやってるかをお互いに把握してるわけではないけど、どこに行っても誰かがボランティアしてるところに遭遇し、「ああ、ここでこんなことをやってくれてたんだ、ありがとう」と仲間意識が芽生えるし、お金持ちなんて一人もいないのに、必要なものを率先して自分のお金で買っては必要な人に届けたり、「被災者のためのお弁当などを作るよー」と声をかけると大勢が手伝いに来てくれたり。心身ともに疲れている被災者に大勢から連絡が入って負担にならないよう、暗黙の了解でなんとなく担当者を決めてその人が代表して様子を知らせてくれたり。東北の震災の時もこんな素晴らしいそして愛のある仲間がいれば自分が何か困っても、決して飢え死にするようなことにはならないと思えたのですが、今回も同じ。誰かに言われたわけでもなく、みんなが同じ方向を向いて、同じ目的を持って動いてる。それってとても気持ちがいいことで、大変な仕事も大変と感じなくなります。

明日いよいよ久々にコアメンバーが集まってミーティング。皆さんから送っていただいたご支援がそろそろ動き始めて被災者の方々の役に立つ日が近づいてます。今でもまだ毎日寄付してくださる方がたくさんいらっしゃいます。本当にありがとうございます。

最後にハワイアンのスピリット、誇りを掲げ、世界を後悔している古代カヌー、ホクレアの代表であり、ハワイのリーダーの一人であるないノア・トンプソンの言葉を。

「ハワイが世界の他の場所にとってどうして重要なのか、その理由は、ハワイの文化はまだ親切心がベースになっているからなのだ。ハワイはまだ、寛大で惜しみなく与え、愛情深いからだ。ハワイの文化はコミュニティーを破壊してしまう恐怖や欲望、そのほかのことに乗っ取られてしまっていない。ハワイの人々はホーム Ainaと家族 Ohana(これは自分たちの住む土地、そして民族としての大家族という意味も含めて)のためにどんなことでもしようとする。そしてそれはこの世界が決して失ってはならない、ハワイから学ぶべき価値観だ」

画像1: 亡くなってしまった命、一人一人のことを偲んで建てられているクロス。
画像2: 花がたむけられ、夜でもライトで照らされいます。
画像3: クロスのフェンスを作りっているボランティア 
画像4: コンピュータを修理するボランティア
画像5: 水に有毒物質か含まれていて飲むことはもちろん、お風呂やシャワーにも使っては行けないと出ているエリア。
画像6: Ground Zeroとも呼ばれるラハイナ。



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