2024-11-22

ラハイナレポート#29 手作りのぬいぐるみの温かみと続く課題。

 (ラハイナレポートシリーズは2023年8月に起こったラハイナの火事の後に寄付をしてくださった皆さんに送ったレポートの数々です、1年間送り続けた45回のレポートを自分のブログに記録として残しておきます、なので公開時の出来事ではありません、これは去年のクリスマス前のレポートです)


みなさん、こんにちは。

こちらももうすぐクリスマス、そしてその一週間後には年が明け2024年になります。
まだ大きな問題、課題もたくさんありますが、心温まる出来事もたくさんあります。
ラハイナの子供達にクリスマスに寂しい思いをさせたくない、そのためのクリスマスイベントやギフトドライブ(贈り物を車で届けて回る)が本当に目白押し。私が知っているだけでも10ヶ所近くのイベントがあり、多くのボランティアがギフトラッピングやイベントを手伝ったりしています。

日本からも300体の手作りのぬいぐるみが届きました。一つ一つそれぞれ個性と表情があって作った方の想いが込められていて、温かみと重みを感じました。クリスマスのためにいろんなところで子供たちに贈るプレゼントがたくさん集められたラッピングをするボランティアもたくさんいらっしゃいます。

まだまだ各地からの寄付も届いています。写真展、ヨガクラス。フラのイベント、ヒーリングイベント、ガレージセールなどの利益や集めた寄付を送ってくれたり、遠くにいるのに忘れずにマウイのことを思ってくださってる方々がたくさんいることに日々感動し、感謝しています。

本当にマウイ島の支援に力をくださってありがとうございます。

気がつけば、8月の火事からの四ヶ月間は、あまりにあっという間でした。日本でも他の地域でもマウイの火事についての記事はもうほとんど見なくなったと聞いています。ですが、当事者の私たちマウイ島ではそうもいきません。日々変わっていく状況の中で落ち着いてきた部分もあれば、問題が大きくなってきたり、明るみに出てきたり。

ちょうど今これを書いてる時にカアナパリでは大きな集会とマーチが行われています。
先ほどまでライブで見ていたのですが、住宅不足の問題です。ホテルに宿泊をしていた被災者が、観光の予約客のために部屋を空けなくてはならず、出なくてはいけないのにまだ行き先も決まっていないとか、急に明日出て欲しいと連絡があったなど胸の痛む出来事をあちこちで耳にします。観光客より被災者の住むところを優先して欲しい、バケーションレンタルを長期で住民に貸すよう促して欲しい、どうにか解決法を出して欲しいと言う気持ちから被災者がカアナパリビーチに陣取りFishing for housingという運動を始めてからもう六週間目に入っています。カアナパリのコンドミニアムやホテルの前の海岸にハワイの旗をたくさん立てて、幾つものテントを設置し、そこで生活をし住宅問題に対する声をあげているのです。

マウイの市長もハワイの州知事も全くそれを無視しているわけではなく、いろいろ対策を考えてはいるのですが、そもそも火事が起こる前から住宅不足は大問題であり、そんな中で何千という家が燃えたため借りれるところを見つけるのはほとんど不可能。その上見つけても家賃も顎が外れそうなプライスになっているのが現状です。そのための市民ミーティングも何度も開かれ、その度にラハイナの住人はその会議に参加して証言したり情報を集めたりと本当に忙しい毎日なのです。

今日はいろんな支援団体や住民の活動グループがたくさん集まり住宅問題についてもっと早急に解決を促すためにみんなが一つになり、声をあげるために集会、そしてメッセージボードを持って行進することになっています。ここのところ雨混じりで天気も良くないけれど、そんな中でも大勢の人が集まっているようでした。私はいけませんでしたがせめて最初の祈りだけでもと、ライブを見ていました。本当にこんな天気の続く中、住む家がない、落ち着ける家が見つからない不安はどんなに辛いか想像できます。クリスマスも近いのに本当に心が痛む問題です。

さらにこの一週間ほどで、もう一つ大きな問題が持ち上がっています。それは火事ででたくさんの有害物質の廃棄処理についてです。日本でも放射能汚染廃棄処理などはこっそりと、また廃棄の方法などが問題になったりしますが、こちらでも知らないうちにラウニポコというラハイナの直ぐ横にあるサーフスポットの山川の影の土地を切り崩して埋めているのがわかりました。そのことに気がついたのは、その目と鼻の先にサステイナブルな循環型コミュニティーを作ろうとしている人で、ラハイナの火事後も多くの人の支援をしたりタイニーハウスを立てたりして活動していた人です。彼が不審に思ってドローンを飛ばしたところ、そこにラハイナの現場からの有害物質を埋めていることがわかりました、もちろんEPM有害物質や健康などを管理する部署の許可やプランに従ってやっていることです。そのプランややり方があまりに杜撰なことがわかりそれが問題になり、つい二日前にそのことでもコミュニティーミーティングが開かれ、多くの議論がなされました。有害物質を埋めるために置いてあるところが雨ざらしになってその雨水と一緒に有害物質も流れ出ている。埋めるやり方がしっかりできてないので地面に有害物質が染み込んでいく可能性がある。処理のために埋める場所が山の谷間にあり、そこは水が流れる通り道でその有害物質や切り崩した土が海に流れていき、さらに珊瑚礁が死んでしまう。いろんな意見がありますが、どんなことにおいても行政側が透明であり、住民の意見を聞かなければ良い復興はありえない。

私たちのような小さな支援団体では住宅不足も有害物質の処理もとても手に負える問題ではありません。でもこの火事で一つ良かったことはラハイナの住民が大変ではあるけれどみんなで政治に関心を持って動き声をあげることで流れが変わることを実感しているということです。なのでありとあらゆるミーティングに大勢の人が集まり、めんどくさがらずに意見を言ったり署名をしたりしています。私たちができるせめてものことはそんな時に一緒に立ち上がったり、声をあげて応援していくことだと思っています。

マウイが新しい年と共に少しでも住宅問題や有害物質の問題が解決に向かっていきますように。

また寄付を送ってくださった皆さん、そしてマウイのことを心配し思ってくれてる皆さんにも平和と幸福に溢れた新年が訪れますように。

本当にマウイ島の支援に力をくださってありがとうございます。


画像1-5: 日本から届いた300体の手作りのぬいぐるみ。一つ一つそれぞれ個性と表情があって、作った方の想いが込められていて重みを感じました。クリスマスのためにいろんなところで子供たちに贈るプレゼントがたくさん集められたラッピングをするボランティアもたくさん。
画像6: ベネフィットコンサートやクリスマスコンサートがたくさん。ジャックジョンソンはベネフィとコンサートだけでなくラハイナまで出向いて子供たちにギターをプレゼントする場所で子供たちに声をかけたり歌を歌って聞かせたりして喜ばせた。
画像7-9: カアナパリビーチのホテルの前にテントを張って住宅不足を訴え続けているラハイナの住民。12月20日に大きな集会と行進が繰り広げられた。

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