(タヒチにでっかい波が来る予報を見て自分のことのようにドキドキ)
咳で痛めたアバラが痛くてパドルはおやすみ、全くここが直るとこっちが次から次へといたくなって、いやになる。年齢もあるだろうけど自分のメンテナンスが出来てないのが一番の理由、50歳でも60代でもまだまだがんがん毎日海に入っている人たちだっているのだ.ちゃんと自分の体調に耳を向け、うまくやっていて、ふだんからトレーニングやコンディショニングをしっかりやっているからにちがいない。今まで若い頃からずっとなんでも根性と気合いで無理矢理やってきてしまった私はそこがとにかく一番の弱点。でもこれからでも遅くはない、無理しない、ペース配分をすることを覚えないと、おばあちゃんになってからもずっと海に入りたいのならそれは絶対に学ばなくてはいけないことだから。さて、冬の間いつも一緒に海に入ったり、いろんな話を聞かせてもらって刺激をもらっていた本橋君と阿出川潤君が今タヒチ入りしている。ウオーターマンリーグの第2戦に参戦するためだ。二人は3月に第一戦のサンセットにも参戦し、今回のタヒチは迷っていたものの、ギリギリになって、今行かずにいついくんだ、という気持になって、初のタヒチ挑戦となった。
まずついてすぐ8ftほどのスウエルをまのあたりにし,今までにないような巻かれ方も二人いっぺんに経験し、夕暮れ時くらくなった中板の横に気絶するようにひっくり返ってる二人の写真がアップされていた。「今日は人生最悪の、そして最高の経験だった。」
私は彼らのいわんとしていることは良ーくわかる。今までにないくらい最悪のワイプアウトで自分のエゴなどすべて粉々に砕けるような経験をさせられ、でもそれは同時に圧倒的な自然のパワーを感じる経験であり、また、死をも意識するような恐怖の中で極限の緊張と高揚と研ぎすまされた感覚の中で精一杯のスキルを持って挑戦するという最高の経験でもあるのだろう.そしてそんな経験は一生の中でも滅多にない、一回もしないで終わってしまう人だっている。その上それをまた同じ感覚で共有できる仲間と一緒に経験してるのだ。聞いてるだけで身が震えるような思いだった。
私も何度か同じような経験をしたことがある(あくまで私のレベルにおいてではあるが)初めてアラスカ、バルディーズに行ったときの衝撃、今までの愛年がすべてぶっ飛んでしまうようなスケールの大きさ、目の前で何千フィートという大雪崩が起こったり、そこの巻き込まれた人がいたり、死者が出たり。毎晩精神的にも体力的にもマックスまで使い切り疲労こんばいの状態でホテルの部屋に倒れ込み、『生きてて良かったー』と本気で言いあっていた。でも最悪な経験ではなく、最高の経験で、それから15年間くらいずっとあの山々でどうやって滑れるようになるか、考え、努力し、毎年何ヶ月も春はアラスカに通い続け,山を見ていろんなことを学んだ.それは今でも私の人生において最高の経験の一つだと思っている。あのときの精神状態は今でも忘れない、たぶんその感じと似たような感覚を今潤君や本橋君は感じているんじゃないかな。
もうすぐ大会がはじまる。正直言って初めてタヒチに行って初めてあんな掘れたパワフルな波を相手にしている二人はタヒチで毎日あの波を相手に育っているサーファー達にはかなわないかもしれない、でも彼らもたぶんそう思ってると思うけど、だれかに勝つためというよりは自分の限界や概念をぶち壊し、更なる高みにいくためにまずはぺちゃんこにされてでもそこに挑戦することに意義があり、リスクをたくさんかかえながらもそこに自分を持って行こうとしている二人の姿勢は本当に素晴らしいし、かっこいい。
自分を振り返り、まだまだ出来ることやるべきこと、努力する部分があることを知らしめてくれるような仲間がたくさんいること、そして彼らを見て、自分もさらに頑張らなくてはとハッパをかけてもらえることは幸せなこと、心からそう思う。
Thank you for all the inspirations!
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