2013-03-06

3月6日 朝から晩までめいっぱい充実

ここの所ずっと風が吹いていたので朝起きても風をチェックすることを忘れていた。11時からカイトに行こうと思って仕事をしていたが、ふと気がついてウエブキャムを見るとなんと風が吹いていない!そしてカナハで頭くらいのセットが来ている!何人かスタンドアップパドラーが見えたけど、多分ほとんどの人は私と同じようにノーウインドになるとは思っていなかったのだろう、混んではいなかった。
風は上がってきそうだったがとりあえず大急ぎでカナハまで行き、念願のニューボード進水式。

長さは今までのものより長いのだけれど、薄いしロッカーも違うしノーズ部分も細いのでバランスはとりにくい、かといってぐらぐらしてどうにもならないほどではない。きっと慣れたら大丈夫だろう。
風が完全に上がってくるまでに3本くらいしか乗れなかったが、So far, so good。
多分カナハの波だったら今までのボードでもばっちりなのだが、サイズのある波やもうちょっと掘れた波のときにスピードが出て良くまわせるボードのような気がする。ベイビーボンとスタンガンを組み合わせた感じを狙ったのだが生かされていると思う。あとは自分の技量次第。どんどん風が上がってきてしまったのでスタンドアップは撤収して今度はカイトへ。
カイトサイズは今日は5.5、インサイドがガスティーでリーフを渡るのに2回も失敗、今日は出るなとことなのかしらという気分になったけど、負けずに出て行って良かった、楽しいコンディションだった。
早めの時間に目立っていたのはグラハム・イジー、エアータカ、ワンハンドゴイター、オフザリップフォワード、360など連発、間近で見るとさらに迫力がある。
昨日からはずいぶんのサイズダウン、でもそのぶん思い切り突っ込めるし、ストレスがない。リラックスして乗れたので楽しかった。しばらくホキパで乗ったあとウインドサーファーが増えてきたのでレインズへ。

(クアトロのラロとキース、楽しそうに交互にリッピング)
(昨日の写真を見て反省し、できるだけもっと手前のリップを見上げるようにしたつもりだけどまだまだ見てる視線の方向が違う.リップ見ないとそっちにボードはむかっていってくれないのにまだまだ足りない)
1時間半ほどしてもう足が疲れてきたので上がってきた。ちょうどいい時間だったようで待ち合わせする約束の宗豊くんがレインズに来てくれていた。

今日が波もサイズダウンしたがまたすぐ波が上がってきそうだし、彼はこの間ちょっと肩を痛めたため海に入らず休んでいるので、一緒にチェックしたかったファームを見に行くチャンス。二人でハレアカラの中腹にあるオーガニックファームを見に行った。ありとあらゆる野菜や花が植わっていて、ここではボランティアで働くこともできるし、欲しいものを欲しいだけとってそれを買うことができる。オーナーのマークさんのオーラがまずピースフルでそこからすでに私たちは清々しい気持ちになり、標高の高さから涼しく瑞々しい空気を思い切り吸い込みながら畑をぐるぐる歩き回った。こうやって畑で育つ野菜を見ているとやはりハイクに住みたいなあ、以前みたいに野菜を育ててチキンを飼って、周りの果物を食べて暮らしたいと心から思う。次の冬にはやはり戻ろうかな。
宗豊くんも四国で奥さんと一緒に農業をやり始めたばかり、コンポースト、畑の畝、細かいところまでいろいろチェックしては動画を説明入りでとっていた。
自分で欲しい野菜をとるのは日本のイチゴ狩りのようで楽しくてたまらない、それにちぎっては味見をするとどんな野菜でも生のまま食べられるくらい美味しい。
こんなに欲張ってお金大丈夫かなあ、と思って支払いのところまでいくと、そこには秤があって、どの野菜もすべて一緒に重さを量り、その重さによる値段表が壁に貼ってあり、その値段を横にある箱に入れて行くシステムだった。箱はふたを開けると鍵もなくお客さんがおいて行ったお金があふれそうになっていた。
その大雑把で人を信用しきったシステムに宗豊君は再びびっくり。
結局私もスーパーで買ったら20ドルくらいするだろう量のイエロービーンズ、コリアンダー、パセリ、小松菜、ケール3種、レタス2種、ルッコラ、マケ、などあらゆるものを詰め込んでなんと5ドル!それに自家製蜂蜜のジャーを12ドル分、アボガドは2個で一ドルのしめて18ドルお買い上げ、こんなに楽しくてお得なショッピング久しぶりにした気がする。

帰り道宗豊くんと話しながらお互いにメリットになるビジネスプランが出来上がった。彼はウエブサイトをリニューアルするらしくそのコンテンツの文章を日本語と英語で出したいが、その文章を書いてほしいと遠慮がちに話し始めた。もちろんお礼がしたいけれど、お金はないので、自分も自分ができる技術を提供するということでボードを作らせてくれないかと言ってくれた。
私も宗豊君もお金がないのはお互い様。応援したい気持ちは山々なのでお金がなくても手伝えることが手伝うつもりだったけれど、宗豊君のオファーを心からありがたく受けることにした。というのは私もこれからカイトでもスタンドアップでもここから上達するためにはサーフィンをもっと学ばなくてはならないと切実に感じていたところだったのだ。ショートボードは特に練習できるところはいつもどこも混んでいて、人の邪魔になるのがいやな私はどうしても出る気になれず何かと言い訳を作っては海に出ることがなかった。そんなときにこのオファーが舞い込んだのはきっとここでサーフィンをもっとちゃんとやれということなんじゃないかと感じたのだ。
ピークからテイクオフする練習、波の斜面のどこにいるとスピードが加速するか理解すること、そして基本的なパドルとダックダイブ、海の知識、息を止めること、そんなことをやらなくてはいけないんだと思う。
もともとどこかのメディアで、宗豊君のことはぜひ書きたいと思っているのだが、出してくれる雑誌も最近はあまりなく、寂しい思いをしていたので、彼のホームページ用に書いておくだけでもあとで何かに使えるだろうし.お互いが嬉しいと思えることをできるのは最高ではないか。
そんなわけでウエブサイトの話をしていたらひょんなことからとてつもない、いい話を聞くことができた。
聞きながらあまりに素晴らしい話で、涙があふれてきて鳥肌が立った。この話を聞けただけでもこのウエブサイトに関する仕事を引き受けた意味があった。

昔から私は真剣に波乗りと向き合っているサーファーの忘れられない一本、思い出の日、人生を変えた経験などの話を聞くのが好きで、そういった話をサーフストーリーとして連載できたらなあと常々思っている。(以前にウインドサーフィンの雑誌ではそういう連載をしていたことがあった)
まじめに海とつき合っている人たちはどんな人でも上手でも下手でも必ずそういうストーリーを持っている。魔法がかったような巡り合わせや、教えを受け取る瞬間がある。そんな話をきいていると、乗った波のサイズや勝った大会が取り上げられることは多いけど、こういう話こそがサーフィンの真髄、そのために波に乗るんだって思わずにはいられない。あまりにいい話なのでこの感動が薄れないうちに早く原稿にしてしまおうっと。


ああ、今日も感動と幸せに満腹。

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