2010-01-10

1月9日 Inspired by many of my mentors

(アウターリーフのブレイク)
昨日、おとといと大波オンショアでこてんぱんにやられっぱなしだったけれど、今日は波がサイズダウンするはずだ、と朝早くから家をでた。サイズダウンといってもフキパは十分大きく、一人サーファーがポイントからパドルアウトしているのが見えただけだった。つまりきっと大きなクローズアウトのセットも来るのだろう。
フキパがこれだけ大きいとカナハは混むんじゃないかと思ってデイランとアウターリーフを狙おうとしていたのだが、行ってみると結構カナハでも大きく、クローズアウトセットもバンバン来ていた。アウターリーフはさらに大きいだろうから、大きなセットにやられたらわたしには太刀打ちできないかもしれない、と思い、カナハで出ることにした。ここなら大きな波が来ても巻かれなれているし、ここでの自分がハンドリングできるかどうかの判断は出来ると思ったが、アウターリーフはまだよくわからないし、上手い人たちの邪魔になったらまずいので。
結果的にはわたしにはカナハで十分だった。何度かやられたけど息が出来ないほどホールドダウンすることはなかった。これだけのサイズがあるとスタンドアップがかなり減って昔からここでやっているロングボーダーの上手いおじさんたちがうれしそうだ。わたしも邪魔にならないよう山ちゃんポイントの沖あたりに一人だけぽつんと陣取っていたが、そこにシフトするセットが結構来るために朝前半は沖に出るたびに波がめりめりとやってきて休む暇がないくらいだった。今日はここで結構たくさんテイクオフしたのでここの波の性質がちょっとわかった気がした。ここ二日ほどオンショアビッグウエイブでかなりハードな波の中やられた甲斐があったのか、今日がとても楽に感じた。
今日はアンドリューもかなり攻めていた。マウイに来たばかりのころはほんとに眼を覆いたくなるようなことをたくさんやって、全然乗れていなかったし、カレントに乗っかって知らないうちに沖に来てセットにドカーンとまかれたりしていた彼だが、今日はかなり巻かれながらもいろんなことを考え把握しながら自分のできる範囲での波乗りをしているのをみて、努力ほどパワフルなものはない、と再度納得させられた。わたしだってそう、最初はじめたころはとてもこんな波の中はいれずカイトビーチの脇に立つ足首くらいのスープで一人さびしく練習していたっけ。ふと冬ほとんどカナハにはこないで小波で練習していたっけ。なかなか上手くならなくてがっくりすることもあるけど周りと比べず、以前の自分と比べたら、少しずつではあるけど進歩しているのだ、そう、これからもがんばろう。無茶はせず、着実に、地道に。

コナウインドが吹き始めたので岸に戻り、デイランの乗ってるアウターリーフを見に行った。チャンネルがしっかりあるので私が出ても大丈夫だったかもしれない、ショルダーでみんなのをみながら出て様子を見るのも良かったかもしれないが、一番大きなセットに巻かれたらかなりダメージが大きかっただろう、デイランも一回とんでもないまかれ方をしていた。そしてほかの出ていたサーファーもめちゃくちゃ上手だったのでやはりへたくそなスタンドアップが出て行く幕ではないな、と納得。でも望遠鏡で見ているだけでも十分勉強になった。まだまだ先は長い!(アランキャデイッツ at Hookipa)
そして帰り道jフキパをみるとごくわずかのサーファーとスタンドアップパドラーが出ていた。レインズにいた二人のスタンドアップはデイブカラマとアラン・キャデイッツ。アランはハワイでも最も信頼の置けるウインドとカイトのスクールをしているとても小柄でおとなしい人、しかし昔からビッグウエイブに関しては勇敢でウインドでもカイトでも大きな波を攻めていた、多分一番最初に(それも昔のデパワーがあまりきかないようなカイトで)ジョーズの波に乗ろうとしたのも彼じゃないかな。もう50過ぎだと思うけどすごい。(david Kalama at Hookipa)
丘で二人を見ているだけでぞくぞくして、彼らが巨大な波を越えていったりテイクオフぎりぎりでやめたりするのを自分のことのように鳥肌を立たせたり、思わず声を上げたりしながら息が止まる思いで見ていた。二人を見ているといかに彼らがこの海を良く知っていて、どう動けばいいかを把握しているかがよくわかる。アランのボードはなんと11フィートの長さで23インチの幅しかないらしい、わたしのボードでさえ26インチで、それでも細いといわれるのに。ほんとうにすごい。無茶をせず、かといっていくときは躊躇せずにものすごい波でボトムターン、こういう壮大なスケールのライデイングはいくら見ていても飽きない。

きくところによると朝デイブのお父さんイリマも出ていたらしい。彼ももう76歳くらい、リーシュが切れボードも折れて泳いでるところをライフガードが助けたらしいけどその年齢でこの波をチャージできるってすごいことだ。デイブもお父さんがでたからには出ないわけには行かなくなるだろうな。うちの父だったらショアブレイクの前に立っただけでもパニックするだろう。とにかく丘の上から見ていて今日一日、あちこちでいろんな先輩たちがものすごいパフォーマンス、情熱、ストークをみせてくれ、それが自分に大きなインスピレーションを与えてくれたことにしみじみ感じ入ってしまった。わたしのこの人生が終わるまでに彼らがやってるようなことをやれるようになる気がしないけれど、それでもそうやって見本を見せてくれる人がたくさんいることでコンスタントに謙虚にさせられる。そして何より大きな波、海に向かうことで自分がどれだけちいさく、無知で経験不足で無力なものかを感じる。楽しいから海に出ているのだが、ある意味ワークショップに参加したような、そんな充実感を覚えるのだ。

ジャクソンホールのスキーパドロールの重鎮ビッグウオーリーが先週仕事中雪崩に遭い、今日亡くなった。雪に埋もれ10分間ほど呼吸をしなかったが、その後生存しているサインがあったらしく一日二日昏睡状態だったようだが、その間、がんばれ、と心で祈りつつ、脳が大きくダメージを受けた場合、どうなるのか、あるいは脳死についてなど、考えさせられた。もし自分がそうなったら、コードを切ってほしいと思う。

わたしがもっとも大切に思っている人の一人にベッドに寝たきりで口もきけずほとんど意識もなく、本人はそれ以前から早く天国に行きたいと思っていたのに、栄養を送り込んでいることで生きながらえている人がいる。「本人は意識もないし自分の状況をわかっていないと思う」ときいても、わたしが行くとわかっていないようでも見つめながら涙を流していた。わかっていないはずはない。早く天国に行かせてあげたいとおもう。ウオーリーもきっとベッドで寝たきりで意識もないまま何年も行き続けることはいやだったのではないだろうか。1978年から今までずっとジャクソンホールで朝早くからみんなの安全のために山に登ってパトロールをしていた彼、心からありがとう、お疲れ様と伝えたい。

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