今夢中になっているダウンウインドフォイル、実は初めてトライしたのはもう5年くらい前のこと。あまりに難しくて当時はデイブカラマやアレックスでも苦労していて私はそこまで真剣ではなく(あまりに大変すぎて私くらいの実力ではできるないと思っていたし、実際できなかった)毎年夏風が強くなると何回か短い距離で仲間とトライし、「あーやっぱりできなかった、難しいね」と諦めていました。
というのも何年も前に一緒にやっていた仲間はもうすでにずっと上手くなってて一緒に乗るにはレベルが違いすぎて頼めないし、上達しなかった仲間はもう諦めてすっかり辞めていたから、一緒に練習できる仲間がいず、かといってダウンウインドは一人では練習できず、車を移動させ、一箇所に一台デポしてもう一台でスタート地点まで行くので最低でも二人は必要、あるいは誰かに送ってもらうしかない。
(必死にポップアップしようとしてるけどなかなか浮かばなかった最初のダウンウインド)
ちなみにこれは初めてトモとトライした2017年の時の写真。トモは日本で結構小波で浮いたのでダウンウインドで浮かないはずはないと自信満々、当時の6’4のペラッペラのサップボードで出て私に大きい方のフォイルを貸してくれ一緒に出たけど私が浮かないのは当然だけど彼も全然浮かない。あれ?あれ?って言いながらもう最後は立ってるのもつらくて腹這いになってパドル。私の板の方が大きかったので進むのが早く、友子さん待ってよーという始末。今でも良い笑い話の一つだけど。
彼はこのあと毎日頑張って練習してこの板でその夏7月のマウイ2モロカイに出た。フォイルが出たのはこの年が初めてで、ゼイン、カイ、ライアンファンク、アーミーアームストロング、とトモだけじゃなかったかな?アーミーなどは風下に行きすぎてリタイアだった気がする。よくフィニッシュしたものだ。
(冬にキヘイでマウイに来ていた直輝くんとやったことも。途中でクジラがジャンプしてるのに遭遇。かなちゃんが車で送ってくれたおかげでできたけど、ものすごく時間がかかった上に終点を間違え、歩いてやっと辿り着いた時にはかなちゃんは心配で岩の突端で水平線を見つめていた)
結局一人で練習したくてもそこまでのモチベーションが今まではなくストップしたままだったのだけれど、本気でやろうとしていたデイブなどは、自分一人で自転車を使って移動したりして練習していたのです。できないできないというのは言い訳でしかなく、本気でやりたければどんなことでも方法は見つかる、彼はそれをいつも見せてくれている。
さて、そんなわけでデビンという同じくらいのレベルの練習仲間ができたことで今年は絶対ちょっとだけやるんではなくてこれをメインで頑張って練習しようと二人で誓い合い、連絡を取り合ってタイミングを見つけて週2回くらいは一緒に練習していたのだけれど、そこに、途中からラルフも参加するようになり、ずっと前からやってはいたけど私と同じように苦労してもあまり上達してなかったためにちょっとやってなかったランディーも復活、この4人で連絡しあってとにかく最初は短距離で練習、短距離といってもなかなか浮かばない私たちにとっては十分な距離で1時間以上かかっていたのではないかな?
とにかく当時は何秒かでも浮くことができれば、やったー!って感じで、デビンが初めて1分浮かび続けたと言った時は私には夢のようでとても自分がいつかできるイメージも浮かばなかったくらい。
毎日毎日短い距離を汗だくになって浮かんでるそばをカイやアニーなど上手い人たちがすごいスピードで追い越していくのにくじけながらも仲間がいたおかげで続けられた。
このスポーツは今までやってきた中でも一番大変、精神的にも鍛えられる。だけれど大変な分できたときのよろこびはひとしお。そして私にとってウインドでもスノーボードでもサップでもウイングでもなんでも一番魅力に感じている、大自然のパワーや厳しさの中に身を置いて自分のちっぽけさを感じながらも自然の中で生かされている感覚を味わえる最高のスポーツでもある。そして体力、持久力、筋力と同時にめちゃくちゃ精神力が鍛えられる。
波もなくガスティーな風なんて今までカイトでも使えないし、面白くないから夏のマウイにいたいと思ったことはなくていつもどこかに旅したりしてたけど、ダウンウインドフォイルには世界一のコンディションかもしれない。
2021年のこの時期にはまだその喜びを感じることは滅多になく、毎日打ちのめされるような気持ちだったけど、よく頑張ったと思う、それはきっとできるようになったらどれだけ気持ちいいか、が想像できていたんだと思う。
2016年にカイレニーがレースボードをぶった斬った代物にフォイルをつけてダウンウインドをしている動画を見て衝撃を受けた人は世界中にいて、その面々はみんなこのイメージと感覚を知りたくて始めたのだと思う。少なくとも私はそうだ。
一緒に泣いたり笑ったりして必死に練習してくれた仲間、B Teamに感謝 (当時は私たち以外にはすでに上手でまりこランをノンストップで乗れるデイブをはじめとする一握りのエリートしかやっていなかったので私たちは彼らをAチームと呼び、自分たちを彼らみたいになりたいWANNABEEのB チームと呼んでいた)
これを書いてるのは2023年の6月、若手や才能のある人たちがさらに性能の良いボードを手に入れて結構簡単にダウンウインドができる時代になり、彼らがどんどん上手くなっていくのに自分は全然上手くならないなあと落ち込みそうになることもあるけど、2年前の自分を振り返ってみたら、ああ、あんなに大変だったんじゃないか、今ではこんなに乗れるようになってると諦めなかった自分を褒めてあげたくなる。
このスポーツがエリートだけのものでなくなったのはデイブカラマのおかげ。彼が自分のイメージするぷローンでのダウンウインドを実現させるために毎日毎日必死に練習したり、いろんな道具ややり方をトライしてきたことでバラクーダが開発され、今やそれほど苦労しなくてもフォイルで浮かべるようになっていた。それまでの板と全く違うものが生まれ、最初は?とかあんな長いものと反対意見を持っていた人たちも一度乗ってみたらどれだけ違うかすぐ理解し、今ではバラクーダとその真似っこの板以外ダウンウインドではほとんど見ないし、波乗りでもマウイのカア(パドルが遠いのでみじかいとたいへん)ではほとんど見かけない。
ある意味サーフィンの世界にスラスターが生まれたことくらいの功績だと私は思っている。彼のバラクーダがなかったら私は諦めていたか、腰を完全に壊していたかのどちらかだ。デイブいつものことだけどいろいろありがとう!
引き続きまだまだ先は長い、課題も満載なのでこの夏も頑張ろう。