(昨日の晩遅くに到着したにもかかわらず快く迎えてくださった高島さんご夫婦、海藻学者の新井さん、パタゴニアスタッフで上関の自然を守る会のボランティアスタッフをしているモコちゃん)
夜到着した上関,映画『ミツバチの羽音と地球の回転』でこの場所のことを知ってからずっと来たかった。きっといつかチャンスが来るだろうとは思っていたけどここ数主観で一気にこの場所との距離が縮まり、上関の自然を守る会の活動報告会などに参加するチャンスがあったり、宮島のイベント会場から結構近いことがわかったりして、せっかくだからここを訪れたいと思っていた。とはいえ波があるところでもないし、一人きりの旅ではないのであまり主張するのも木が引けたのだが、幸か不幸か波はそれほど大きくなさそうだったし、旅の仲間達も話をしたらすごく興味を持ってくれたので行ってみることになった。
昨晩着いたときは夜だったので何も見えなかったから、今朝は早くどんな感じか様子が見たくて早起き。宿をイェイ供してくれた高島さんともこちゃんはランニングに出かけ、私は昨日いただいたポールを早速使うべくウオーキングに出発。
高島さんについて書きたいことは山ほどあるのだが、長島の自然を守る会を作り、自然やこの土地に生息する絶滅種の動物や植物を守るという側面から原発への反対運動を起こしている。とてもエネルギッシュでにこやかな彼女からは反対運動とか敵意のようなものはいっさい感じられない。実際賛成派の人たちとも一緒に仕事をしたり、町の活性化につとめたりしている。まずは反対は賛成派のいがみ合いをなくし、みんなで原発の必要のない町を作り上げようと思っているようだ。たまたま明日はこの辺りの海の海藻の生息の調査をするために船を出すので普段あまり行けないような無人島にいくそうで、私たちもどうぞと声をかけてくださった。
そんなわけで祝島にいこうと思っていたプランを変更して私たちも彼らの調査に同行させてもらうことにした。祝島はフェリーに乗ればいつでも行けるし、たくさんの人が取材していて写真もある。でも教育場所はボートをチャーターしたりしなくては行けないし、何よりこの場所のベテラン漁師と海藻の専門家、そして何年も一生懸命この場所の自然を守ろう、原発を立てさせまいと頑張ってる第一線の人たちから直接話を聞けるのだからこんなチャンスを逃す手はない。
漁師さんがスタンドアップボードを載せることも快くオーケーしてくれ、いざ出発。最初に止まった場所からすでに私たちはその美しさに感動!
海藻博士の青木さんは早速海藻のサンプルをとりに潜る。海に浮かんでいる赤っぽいクラゲみえるだろうか?かなり毒の強いクラゲでものすごい長さの触手を持っているのがあちこちにいて、ちょっと怖かった。
ヒジキをはじめ食べられる海草をたくさん教えてもらった。ここには他では見られない黒もずくという種が生息している。
とにかく入り江はいろんな海藻がきれいに見えるし海がきれい。
暑い夏にはこんなところで一日中水に浸かっていたいなあ。
ここは原発ができたら排水溝が作られる場所だという。反対派が土地を売らないためにいろいろ建設するときにも不便なことが生じるらしく、排水溝も近くには作ることができず山をぐるりとまわる形でこちらに作らなくてはならないらしい。が、この場所はスナメリがもとも多く観測されるエリアで繁殖地でもあるらしい。そこに毎秒190トンの海水より7度も水温が高い排水を流し続けるのに、何も影響はないというアセスメントのレポートが出されているそうだけれど、このエリアは瀬戸内海なので水域も狭く影響がないとは考えられない。愛媛の原発付近でもそういうアセスメントの元原発は立てられたが、結局その地域の漁師さん達にその後の漁場について質問すると以前とは格段に捕れる魚の量が減ったらしくみんな口をつぐむ人が多いそうだ。
高島さんは,上関の素晴らしい自然が原発を建てることで失われるということをうったえつつ、反対派が多い祝島ではなくあえて原発賛成派が多く住む上関に住み、そもそも原発誘致があった根本的な問題,過疎や仕事不足、天然の魚が高く売れないことなどの問題に取り組み、いろんな形で住民が原発なしで住めるコミュニティー、地域を目指すよう頑張っている。
これが原発建設予定地の田の浦の湾。一つコンクリートの船着き場があるだけでせっかくの自然の美しい光景にも傷が着く。
この湾は限りなく透き通り、何十メートルもの深さがあるはずなのにいくら起きに漕いでいっても海底が見えた。
この湾は沖縄の珊瑚礁のようなはでさはないし、入り組んだ岩の造形などダイナミックな風景もない、けれど生物の多様性におい手は特別な場所であり、奇跡の海と呼ばれている。
この田の浦だけでなく、このエリアは埋め立てられコンビナートが建てられた瀬戸内海の海において唯一もともとの海岸線が残されているラストリゾートであり、ここがなくなったら昔ながらの瀬戸内海は写真でしか見られなくなり、それとともに瀬戸内海での昔からの生活や文化もどんどん消えていってしまうことだろう。原発問題はエネルギー問題の域を超える大きな社会問題であり、外から来たものが簡単にただ反対できるものではない、それぞれ賛成は、反対はどちらも生身の人間で言い分もある。だからこそ根本的な問題を良く知ることで少しでも何かできることはないか、自分にできることは何か、一人一人が考えることが大事だと思う。
美しい瀬戸内海を見て、原発が建てられようとする場所を実際に見て、いろんなことを感じることができたことは本当にいい経験だった。と同時にそこに住む人たちの暖かさや土地に対する愛情にふれることもできた。
自然を守ろうと口にするのは簡単だが、自分のいろんな行為がそれと反対の行為をおかしていることを意識し、できる限りそれを少なくすると同時に原発やその他地球や私たちの健康のためにならないことに加担しないような生活パターンを常に頭に置いて一つ一つの行動を考える意識を持たなくては行けないのだなと再認識させられた。
それにしてもこんなに美しい場所にあんな醜い建物を建てておそろしい量の排水をしようなんてあの景色を見たら思えなくなると思うんだけどなあ。どうにも理解しがたい。
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