August 22nd, 2023
ラハイナレポート#8 - ハワイの底力はALOHA
みなさん、おはようございます。
ハワイアンリーダーたちの声明、住民たちの声が大きくなったことのプレッシャー、または、やっともう少し情報を公表してもいいという状況になったのか、少しずついろんな状況が見えてくるようになってきました。
火災直後に発表された亡くなった方の数は数名、数十名でしたが、現場を知っている人たちの間では、その数字の根拠が理解できないほど多数の犠牲者が出てしまっていることは明らかでした。死亡者の発表が60名などと増えていた時点でも、実は行方不明者はおそらく数千名いらっしゃいました。火災から4日過ぎた頃でしょうか、一部の電波が復旧し、電話がかろうじて使えるエリアができた途端、一気に多くの人が家族と連絡が取れたり、安否の確認ができ、それはとても喜ばしいことでした。
それでも行方不明の方がまだたくさん。見つかったとされる60近いご遺体も身元が判明したのは数名だけのようでした(その時点の状況で実際はその後もっと多かったかもしれません)ここ数日で知事の記者会見で、亡くなった方の数はいまだに正確にはわからないけれど、まだまだ増えることは確実だとはっきり発表されました。
いつまでたっても自分の住んでいた地域に入れない、そんな苛立ちから政府が何かを隠しているんじゃないか、説明してほしい、本当はわかっていることがあるのだろう!と不満の声も高まってきました。
そんな中、警察のトップは危険地域に誰も入れない理由を、「車の形が溶けて変形するほどの熱の中、ご遺体は形が残っていないものも多い。火災現場のプロフェッショナルでない人がたくさんエリアに入ってきたら、瓦礫を歩くだけでもあらゆるものがぼろぼろ崩れてしまい、灰となってしまったご遺体を踏みつけてしまうかもしれない」と説明しました。そして「亡くなった方への敬意をもってほしい」と。この言葉に、誰も何も言わなくなりました。
消防のトップも淡々となぜこんなにも大きな惨事になったのか、火災の状況を説明しました。島にいる人たちは消防隊がどれだけ大変な思いをして、どれだけ命をかけて火事を消そうとしていたかよく知っています。本当に心から感謝しているし、トップを責める気にも一切なりません。どんなに今大変な思いをしながら話しているのだろうと反対に申し訳ない気持ちになります。
ご遺体が見つからない可能性も高くなっています。見つかっても身元確認が難しくこれから時間をかけてDNA鑑定などが必要になります。亡くなった方の数は日々公表されていますがその詳細については発表されていません。犠牲者に老人と子供が多かったという声も少なくありません。火災の時間に子供たちが集まっていた様子や、地域の子供たちがみんないなくなってしまった、胸が引き裂かれるようなことも聞きます。お母さんが自分が留守にしていた時に子供がこの火事に遭って逃げ、その後見つからなかったら、、どんな思いかは想像もできません。生存した子供たち(もちろん大人)も、これからどれだけのトラウマを抱えて生きていくのでしょう。だからこそ、子供たちの笑顔は今まで以上に私たちを癒してくれることでしょう。
現状では、どうやって子供たちをケアすることができるか、にも焦点が当たってくるようになってきました。学校が燃えてしまい、通える学校がなくなってしまった子供たち。この先どこに住むのかもわからない状態で、転校する必要があります。一方で親の方も、生活を立て直すために考えなくてはならないことばかり。そんな中、子供たちが体を動かして遊べる場所や、一緒にアートや遊びができるスペース、移動図書館などができ始めました。
そしてサーフボードやスケートボードを失った子供たちに、できるだけ早く大好きなボードを取り戻して思い切り楽しんでもらおうというプロジェクトが立ち上がり、たくさんのボードの寄付や、中には新品の板を削るための寄付をする人も。5日くらいで50本のドネーションされたボードがその板にあったサーファーの手に渡り、さらに20本以上のボードを新しくシェイプできるようにと、シェイパーに寄付があったというのです。私も何本か板を渡そうとマッチングを待っているし、他の日本人のサーファーも使ってない板を寄付してくれました。みんなサーファーなら海に入ることが一番の癒し、ヒーリングであることを知っています。だからいろんな人が板を手に入れたというニュースを聞くたびに、自分のことのように嬉しくなります。
昨日はオアフ島でマウイオラというチャリティーコンサートがありました。コンサートのチケットは完売、そして世界中からオンラインでライブ配信を見て、3時間以上の素晴らしい音楽を楽しめたそうです。まだマウイの住民はそこまで見る余裕はない人が多かったとは思いますが。私も今日仕事しながらそのコンサートの録画をYou Tubeで流しながら聞いていました。このコンサートは火災が起きてから1週間ちょっとで開催。アーティストはもちろん、会場、設置、音響、スタッフ、セキュリティーからブースまで全てがボランティア。全ての収益が寄付される、というものすごいコンサートでした。1週間で20人以上のアーティストが集まり、会場の設置やスタッフを集め、ライブ配信や寄付の電話やオンラインのセッティング、コンサートの合間に流す映像の編集、進行係やナレーターなどみんな準備するなんて普通では考えにくいことだと想像します。皆が進んで何かマウイのために、と立ち上がったのです。その日だけで75万ドルが集まったそうです。そして、もちろんまだ寄付は続いています。
コンサートのセキュリティのボランティアをしていたヘルズエンジェルズのようなハーレーのバイカーチームの一人がこんなことを言っていました。「ハワイはすごい。誰かが困っていたらすぐに手を差し伸べる。でもその中でもハワイアンは特にすごい。限界を持っていない。お金を持っているか持っていないかは関係なく、先のことは考えずに、とにかく全力で助けようとする。」私もマウイのコミュニティーの中で何度も実際に見てきました。その通りだと思います。ハワイアン半端ない!
釣った魚を食べてもらうために毎日モロカイ島から自分の船でやってきていたハワイアンの方も。モロカイ島の方はどこよりも物価が高いのに、あるだけの食糧や物資を買ってきて、マウイの被災地に海から届けにきたり。正規の支援でないからと止められたコンテナの中身をどうにかして困ってる人に届けたいとみんなで手分けしながら船やジェットで運んだり。その努力と熱意に限度がないのです。ハワイアンのアロハ、コミュニティー、オハナを大切にする精神は半端ではありません。
ハワイが素晴らしいのは椰子の木でもトロピカルフラワーでもなく、そこなんです。
今回の悲惨な状況の中で、ハワイの底力はALOHA から来るものなのだと実感しています。
画像1,2: チャリティコンサート、マウイオラの様子
画像3: サーフボードのドネーションやマッチング、新しくシェイプされるボードについて。
画像4: お問い合わせの多かった、日本円での寄付ができるサイト。こちらのサイトからは「マウイストロング基金」に全額送金されます。ご参考になれば。
https://congrant.com/project/htj2023/8132
みなさん、おはようございます。
ハワイアンリーダーたちの声明、住民たちの声が大きくなったことのプレッシャー、または、やっともう少し情報を公表してもいいという状況になったのか、少しずついろんな状況が見えてくるようになってきました。
火災直後に発表された亡くなった方の数は数名、数十名でしたが、現場を知っている人たちの間では、その数字の根拠が理解できないほど多数の犠牲者が出てしまっていることは明らかでした。死亡者の発表が60名などと増えていた時点でも、実は行方不明者はおそらく数千名いらっしゃいました。火災から4日過ぎた頃でしょうか、一部の電波が復旧し、電話がかろうじて使えるエリアができた途端、一気に多くの人が家族と連絡が取れたり、安否の確認ができ、それはとても喜ばしいことでした。
それでも行方不明の方がまだたくさん。見つかったとされる60近いご遺体も身元が判明したのは数名だけのようでした(その時点の状況で実際はその後もっと多かったかもしれません)ここ数日で知事の記者会見で、亡くなった方の数はいまだに正確にはわからないけれど、まだまだ増えることは確実だとはっきり発表されました。
いつまでたっても自分の住んでいた地域に入れない、そんな苛立ちから政府が何かを隠しているんじゃないか、説明してほしい、本当はわかっていることがあるのだろう!と不満の声も高まってきました。
そんな中、警察のトップは危険地域に誰も入れない理由を、「車の形が溶けて変形するほどの熱の中、ご遺体は形が残っていないものも多い。火災現場のプロフェッショナルでない人がたくさんエリアに入ってきたら、瓦礫を歩くだけでもあらゆるものがぼろぼろ崩れてしまい、灰となってしまったご遺体を踏みつけてしまうかもしれない」と説明しました。そして「亡くなった方への敬意をもってほしい」と。この言葉に、誰も何も言わなくなりました。
消防のトップも淡々となぜこんなにも大きな惨事になったのか、火災の状況を説明しました。島にいる人たちは消防隊がどれだけ大変な思いをして、どれだけ命をかけて火事を消そうとしていたかよく知っています。本当に心から感謝しているし、トップを責める気にも一切なりません。どんなに今大変な思いをしながら話しているのだろうと反対に申し訳ない気持ちになります。
ご遺体が見つからない可能性も高くなっています。見つかっても身元確認が難しくこれから時間をかけてDNA鑑定などが必要になります。亡くなった方の数は日々公表されていますがその詳細については発表されていません。犠牲者に老人と子供が多かったという声も少なくありません。火災の時間に子供たちが集まっていた様子や、地域の子供たちがみんないなくなってしまった、胸が引き裂かれるようなことも聞きます。お母さんが自分が留守にしていた時に子供がこの火事に遭って逃げ、その後見つからなかったら、、どんな思いかは想像もできません。生存した子供たち(もちろん大人)も、これからどれだけのトラウマを抱えて生きていくのでしょう。だからこそ、子供たちの笑顔は今まで以上に私たちを癒してくれることでしょう。
現状では、どうやって子供たちをケアすることができるか、にも焦点が当たってくるようになってきました。学校が燃えてしまい、通える学校がなくなってしまった子供たち。この先どこに住むのかもわからない状態で、転校する必要があります。一方で親の方も、生活を立て直すために考えなくてはならないことばかり。そんな中、子供たちが体を動かして遊べる場所や、一緒にアートや遊びができるスペース、移動図書館などができ始めました。
そしてサーフボードやスケートボードを失った子供たちに、できるだけ早く大好きなボードを取り戻して思い切り楽しんでもらおうというプロジェクトが立ち上がり、たくさんのボードの寄付や、中には新品の板を削るための寄付をする人も。5日くらいで50本のドネーションされたボードがその板にあったサーファーの手に渡り、さらに20本以上のボードを新しくシェイプできるようにと、シェイパーに寄付があったというのです。私も何本か板を渡そうとマッチングを待っているし、他の日本人のサーファーも使ってない板を寄付してくれました。みんなサーファーなら海に入ることが一番の癒し、ヒーリングであることを知っています。だからいろんな人が板を手に入れたというニュースを聞くたびに、自分のことのように嬉しくなります。
昨日はオアフ島でマウイオラというチャリティーコンサートがありました。コンサートのチケットは完売、そして世界中からオンラインでライブ配信を見て、3時間以上の素晴らしい音楽を楽しめたそうです。まだマウイの住民はそこまで見る余裕はない人が多かったとは思いますが。私も今日仕事しながらそのコンサートの録画をYou Tubeで流しながら聞いていました。このコンサートは火災が起きてから1週間ちょっとで開催。アーティストはもちろん、会場、設置、音響、スタッフ、セキュリティーからブースまで全てがボランティア。全ての収益が寄付される、というものすごいコンサートでした。1週間で20人以上のアーティストが集まり、会場の設置やスタッフを集め、ライブ配信や寄付の電話やオンラインのセッティング、コンサートの合間に流す映像の編集、進行係やナレーターなどみんな準備するなんて普通では考えにくいことだと想像します。皆が進んで何かマウイのために、と立ち上がったのです。その日だけで75万ドルが集まったそうです。そして、もちろんまだ寄付は続いています。
コンサートのセキュリティのボランティアをしていたヘルズエンジェルズのようなハーレーのバイカーチームの一人がこんなことを言っていました。「ハワイはすごい。誰かが困っていたらすぐに手を差し伸べる。でもその中でもハワイアンは特にすごい。限界を持っていない。お金を持っているか持っていないかは関係なく、先のことは考えずに、とにかく全力で助けようとする。」私もマウイのコミュニティーの中で何度も実際に見てきました。その通りだと思います。ハワイアン半端ない!
釣った魚を食べてもらうために毎日モロカイ島から自分の船でやってきていたハワイアンの方も。モロカイ島の方はどこよりも物価が高いのに、あるだけの食糧や物資を買ってきて、マウイの被災地に海から届けにきたり。正規の支援でないからと止められたコンテナの中身をどうにかして困ってる人に届けたいとみんなで手分けしながら船やジェットで運んだり。その努力と熱意に限度がないのです。ハワイアンのアロハ、コミュニティー、オハナを大切にする精神は半端ではありません。
ハワイが素晴らしいのは椰子の木でもトロピカルフラワーでもなく、そこなんです。
今回の悲惨な状況の中で、ハワイの底力はALOHA から来るものなのだと実感しています。
画像1,2: チャリティコンサート、マウイオラの様子
画像3: サーフボードのドネーションやマッチング、新しくシェイプされるボードについて。
画像4: お問い合わせの多かった、日本円での寄付ができるサイト。こちらのサイトからは「マウイストロング基金」に全額送金されます。ご参考になれば。
https://congrant.com/project/htj2023/8132
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