腰の痛みと体調の不安を抱えながらもがんばってアリゾナまでやってきたが、その日の晩具合がさらに悪くなり、このままではさすがに川くだりは無理だと感じるようになった。メンバーが集合してのみに行こうというときにも一人で隣のスーパーにいろんな薬を買いにいき、宿で休んでいたが、熱が上がってきて体中が痛み、どうにもならない。翌朝出発前までがんばって休みそれでもだめだったら、あきらめようと祈る思いだった。朝起きてみると、ほんの少しよくなっている気もしたが、まだ荷物を持ったりする気にはなれず起き上がるのもつらい。一生に一度あるかないかのチャンスだし、すでに20万近くのお金をその3週間のために支払っているという気持ちもあって、どうしても行きたかったが、ここまで気分が悪いとあきらめもつく、何より17年間もこの居画が降りるのを待ち続けていた仲間たちに迷惑をかけることはできない。うまく回復すればいいが、もし回復しなければ、あるいは余計悪くなったら、去年のようにまったく身動き取れないようなぎっくり腰を途中でやってしまったらラフテイングで下るのさえ苦痛で、せっかくのみんなのたびまで台無しにしてしまう。おんぶして、荷物も全部持ってあげるからがんばっていこう、といってくれる友人たちの気持ちはうれしかったが、だからこそよけいに彼らに迷惑をかけられないという気持ちが強くなり。引き下がる勇気を持たなくては、と感じた。
一緒に旅ができる喜びでいっぱいだったクレーマーは最後の最後までいろんな方法を考えてくれてはいたが、私はこのたびをあきらめる決心をし、ある程度良くなるまでここのホテルで休み、その後の行動を考えることにした。ラッキーなことにも隣に病院があり、抗生物質を処方してもらってからは回復する一方、昨日はホテルという独房からも脱出、1マイルほど先にあるダウンタウンまで歩き、久しぶりにまともな食事も取った。
Everything happens for a reason
いろんなことがあるたびにこの言葉を思い出すけれど、本当にそうだと思う。参加できなかったのは残念だが、これで何か学ばなくてはいけないのかもしれない。無理をしない、体第一、自分の体の訴えている声をもっと聞くこと。そして内側から感じる何か直感のようなものも。。。
結果的にはその後も2,3日熱が下がらず、やはりいかなくてよかったという気持ちもある。
ずいぶん前に尊敬するビッグウエイブサーファーの友人から引き下がる勇気について話を聞いたことがある。彼はRide for tomorrowという言葉をくれた、その言葉は確実に私の中に入り込み、何かというと語りかけてくる。今回はまさにそう、行きたい気持ちは山々だけれど、それで大怪我、回りに迷惑をかけるリスクをとるより、この先ずっと長く楽しめるよう行動する決断をしたわけだが、それを知った彼から(普段は何年も連絡がない人で、ここ数年あっていないにもかかわらず)
「One step back, two step forward, get better today」(一歩下がることで2歩前進できることもある。明日のために今日回復すること)とのメッセージが届いた。彼らしい励ましのメッセージであり、私の決断が正しいといってくれているように思えた。
失うことで得るものはたくさんある。そして、自分の周りに起こることはすべて意味があるのだ。
ここからドライブすればグランドキャニオンが見下ろせる場所があるらしいが、そこに行って以下に広大で迫力のある自然の中を下っていくのかを見ると、あまりに悔しくなりそうで怖くていけずにいる。ここまで着ておいてホテルしか経験しないのももったいないといえばそうだが、ただ景色だけ見て帰るのは悔しいので、またいつか川くだりをするチャンスがめぐってくることを祈りながらそのときまで、はじめてグランドキャニオンを目の当たりにする感動をとっておこうかと思う。
具合が悪いことと、悔しさで最初の2,3日は落ち込んでいたが、反対によく考えればそれはこんな小さなことで落ち込むほど、私は幸せな環境にいるのだということでもある。自分のおかれている状況、与えられているものに感謝し、この悔しさをいいステップにして、ここから再スタートだ。
完全に本調子とはいえないけれど腰に爆弾を抱えていることを常に意識して忙しくてもトレーニングを怠らないようにしようと思う(今回は1週間ほど忙しさにかまけてそれをサボっていたのだ)
何日か熱が下がってからも日記を書く気分にも慣れなかったけれど(そしてこんなことで落ち込んでいる自分の精神的な弱さにも自己嫌悪だったが)そろそろそんな自分からもSnap outしなくては!ひとつのチャンスを逃しただけで、明日があればいくらでもチャンスがあり、本当に自分が行くべきときにチャンスはめぐってくるものなのだ。
その分今与えられたチャンスを大事に今日から再スタートだ。川下りの後に行く予定だったバハに向かって南下している友人ロブが途中で私をピックアップしてくれることになったので、予定より早めにバハ入りすることになりそうだ。だから最悪の状況というわけではない。
Life is what happens to you when you are making other plans
だったらくよくよ考えずに流れに逆らわずにその流れを楽しまなくては。
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