9時にパタゴニア本社へ、何人かのスタッフに挨拶をしてから10時にジェフと待ち合わせ。彼の肩書きは一応パタゴニアスタッフフォトグラファー。でも私に言わせてみれば彼はフォトグラファーとしてよりそれ以外のいろんな面で会社に重宝されていると思う。カテゴライズしようとしても彼のようなポジションは普通の会社にはないのでわかりにくい、彼はパタゴニアのコアな部分のコンセプトメーカーであり、かなり自由に自分のやるべきことや、アイデアを実践する立場にいるような気がするし、パタゴニアがスタッフに対する信頼は彼を彼のスタイルで仕事させることを許すことからもよくわかる。とにかく綿shにとっては彼はミスターパタゴニア的存在であり、パタゴニアが(あるいはイヴォンが)理想とする青年像であるのかもしれないと思う。とはいっても当の彼はそんなことをあまり意識していないし、パタゴニアを素晴らしい会社だと思っているけれども、だからといってパタゴニア崇拝者であるわけでもなく、自分流の生き方を続けるために手段として仕事をしている、という意識なのではないかと思う。とにかく男だったら彼のような自由そのもののような人生にあこがれる人は多いだろう。
話はそれてしまったが、私ももう何年も前から彼のことはいつかインタビューしたいと思っていた。彼はプロでもないし、まったく有名でもない、でもいろんなシーンで影の方で彼がかかわっていることが多く、存在はいつも気になっていたのだ。今回初めて彼を前面に押し出す取材ができることを私もとてもうれしく思っていた。インタビューは気がつくとすぐ脱線し、あっちこっちに話題がいった。そのおかげで何時間も話をする結果となり、お昼を食べてからクリスの自宅までのドライブ中もずっといろんな話をしっぱなしだった。これだけのたくさんの素晴らしい話やネタをこれからどうやって煮詰めていけばいいのだろう、とちょっと途方にくれる気分ではあるが、インタビュー自体は最高に楽しかった。彼は一時期ノースウエスト、ホノルルー成田便のフライトアテンダントをしていたこともあり、日本にもよく滞在し、サーフィンをしていたらしい。日本の文化、理解できない考え方やしきたりなどについてもいろいろ聞かせてくれた。
クリスの家は2度目、まさに古きよきカリフォルニア、ランチハウスといったセッテイング。前回よちよち歩きだったルーカスは茨の原っぱをはだして駆け回る少年に成長し、さらにもう一人、パールというかわいい女の子が家族に加わっていた。パールはまさに真珠のような純粋な輝きを持つ赤ちゃんで、彼女の大きな瞳に見つめられると溶けてしまいそうな気持ちになるほどかわいらしかった。
ジェフも今回の撮影をお願いしたスコットも、そしてクリスもみんな優れたカメラマンなので撮影はかなりおもしろかった。これだけ同じような写真を撮ってるものだ同志なのに、ライバル意識はこれっぽっ地もなく、お互いの機材を貸しあったり、アイデアや技術をシェアしたり、とにかく仲がいい。
競争とかはないんですね、といったら、軽く笑って、まあ家族みたいなものだからね。といっていたけど、こういう仲間同士での仕事はほんとに楽しいだろうし、やりやすいだろうな、とうらやましくなった。
180サウスの映画の話はもちろんたくさんしたが、それぞれの葛藤、そして夢、今と将来についていろんな話を聞いているうちにそれがすべて自分のそれと重なっていくような感覚があった・
どんな人にもどんな生活にもプラスとマイナスがあってどれがいいというわけではない、でも自分がやりたいこと、いいと思うことに正直である人生、そして、自分の周りを取り囲む環境や人々から自分を隔離せず、できるだけつながりを持った生活を送りたい、そういう気持ちが強くなった。クリス宅で夕食をご馳走になった。豪勢ではないけれどとってもおいしい夕食は、漁に行ったとき引っかかったサメの肉、そして裏庭でしとめた野生の豚から作ったソーセージ、畑で取れたコーン、それらをそれぞれ家の周りの森から取ってきた薪でBBQしたもの。それに畑で取れた野菜のサラダと周りの果樹園で取れたジャム。すべて出所がわかっているものばかり、体に悪いもの、わけのわからないものが入っていないことがわかっている上に、新鮮な素材ばかり。こういう食生活は昔は当たり前のはずだったけれどどんどん便利になり、スーパーなどができてきたせいで、便利さと交換に私たちは食の安全を犠牲にしてきたのだ。
地元で取れたものをすぐに食べたり、薬の入ってない食品のおいしさを味わうといかにそういうものが健康な生活をする上で重要なことか理解できる。私もできる限り食べているものの出所がわかるものばかりにしたいとは思うが、なかなか難しい、でも一歩一歩でも近づければ、と思う。
宿に戻ったのは夜中、頭の心がパンパンになって爆発しそうなほどいろんなインスピレーションをもらって帰ってきた。
クリスたちの映画180Southは来年早々に日本で公開される予定らしい、とっても楽しみだ。
www.woodshedfilms.com
ジェフ・ジョンソンについては
www.jeffjohnsonstories.com
スコット・ソーエンスの写真は
www.soensphoto.com
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