ラハイナレポート#21 — 火災から二ヶ月
みなさん、おはようございます。
相変わらず刻々といろんなことがものすごいスピードで変化しているラハイナ。ニュースを追うだけでも追いつかないくらいです(ラハイナレポートも追いついてなくてすみません)。
まずは前回のレポートでお伝えした、ラハイナルナ・フットボールチームの今シーズンオープニング戦が9月30日Maui War Memorial Staduimで行われました。会場には赤いTシャツやキャップを身にまとった数千人のファンや火災から立ち直ろうとしている住民たちが応援に集まりました。観客席には「From Ashes We Rise(灰の中から私たちは立ち上がる)」 「100% Lunas」「Love 4 Lahaina」「Lahaina Strong」などの手作りのサインが掲げられる中、選手たちは、本当に苦しい思いをしている島の人たちを大きく勇気づけるような素晴らしい試合を見せてくれました。試合結果は42対0でラハイナ・ルナズがボールドウィン・ベアーズに勝利しましたが、この日大切なのはスコアではありませんでした。火災という大きな悲劇を経てお互いを癒し、支え、共に立ちあがろという気持ちが共有できる時間が何よりの大きなhealing (癒し) でした。(引用元:CivilBeat)
希望を感じるニュースがある一方で、現実的にはまだまだ火災から2ヶ月。実際被災した人たちは書類提出の締め切りがいろいろあったり、新しい支援方法が出来てそれにまた別の申し込みが必要だったり。そのために何が必要で、どこに何を持っていけばいいかなど本当にいくらやっても終わりがないような思いに駆られるのではないでしょうか?でもどんな支援でも今は必要だから面倒臭がって放っておくわけにもいかないから必死でやるしかない。そんな状況なのではないかと申し訳ない気持ちになります。いろんなところからの情報を整理するだけでも大変なのでそれをまとめてわかりやすくできたらいいのにね、とチャートにしたり、役に立つ情報を発信できたらいいけど、それを整理することすら私たちには難しい。そんなことを言ってる時に個人的に被災した友人のために情報整理をしている方のことを知り、お願いしてメーリングリストで希望する被災者、関係者の方にその情報を送るという取り組みも数週間前から始めました。
やってくださってる方は元新聞記者だったそうで、さすがのリサーチ。そして情報ソースが信頼できるものかなども調べながら、信用できる情報だけを流してくださっています。ほとんど毎日、時には1日に数回くらい情報を流してくださってます。英文の後に日本語も出ているのでわかりやすいし、本当に助かってます。その他にもお金を使わずにできる支援など色々相談してやれるところからちょこちょこやり始めています。
以前支援したBreeze Computer とそのパートナーはすでに100機以上のコンピューターを必要な方々に寄付したそうです。古いコンピューターでもハードドライブだけ新しいのを買ったり、新しいソフトウエアを入れたりして使いやすくして提供しています。私たちの周りでも機材の寄付もたくさん。そしてそのコンピューターをもらう方も大勢います。コンピューターは高いので本当にありがたいことだと思います。二ヶ月経った今、大きな企業などの援助や寄付も増えてきたように思います。大きな団体や企業となると何かが決定するまでに個人よりずっと時間がかかりますが、その分寄付できる金額も大きいから私たちには手に負えないような復興支援ができるはず。税金対策でもなんでも大きな企業からの支援は本当にありがたいです。
ここ数週間の様子ですが、まずは個人的に印象に残った出来事としては、物資が足りなかったり、逆に多かったり、ボランティアが足りないなど、多少ありますがなんとなく、整理がついて段取りも良くなってる気がします。毎日のように炊き出しをしている人、物資配給のハブで動いている方々、その他いろんなところで大勢のボランティアが活動していて、頭が下がります。
特にリタイヤしている年配の方々、「普段暇だからこうやって誰かの役に立てるのが嬉しいし、1日にメリハリが出て、自分のためにもいいわ」とにこやかに仕事している老婦人。メインランドやオアフから研修のために(?)くる若者たちなどこちらも本当に元気をもらえます。人間誰でも誰かの役に立てる、誰かに喜んでもらえることは実は人のためにいいというより自分を肯定するためにもいいんだと思います。
さて目下の大きな課題というとやはり最初の想定通り住宅問題。州知事は家が燃えてしまった人たちが路頭に迷うことは絶対ないようにきちんと宿を提供すると約束してくれました。確かにちゃんと家があった人たちでちゃんと手続きをしている人はホテルに滞在しています。何度も移動を強いられたりはしながらも住むところはあるようです。ただ、火事以前にも問題になっていたのはホームレス問題。また1軒の家に15人、20人で住んでいたような大家族の人たち。イリーガル・エイリアンと呼ばれる合法ではなく住んでいた外国籍の人たちは困っている人も多いようです。一人一人の条件立場がありその一つ一つに対応しなくてはならない赤十字やFEMAも大変な仕事だと思います。誰もが必死に前例のない事態に対応するために頑張ってるので、互いに怒りをぶつけ合うのではなく、できる限り協力しあっていい方向に進むといいなと思います。
私たちも住宅問題は一番大変そうなのでそこに支援、寄付を送ろうと考えましたが、まだ今の時点では政府の動きも、今後被災者の方々がどうなるのかも見えない部分も多い。タイニーハウスをボランティアでたくさん作ってる素晴らしい団体もいくつもあるのですが(そして素晴らしいのはその団体同士も協力しあってできるだけ早く家のない人に提供したいと頑張っているんです)それをどこに置くのか、政府が正式に許可を出すのかなど決まっていない部分も多いのでもう少し様子を見てから支援を決めてもいいんじゃないか、とアドバイスをいただき、保留にしています。一方で、そういう大きな部分は私たちのようなちびっ子団体の管轄ではなく、政府にカバーしてもらいたいところだね、というのがメンバーの意見でもあります。ただ本当に住む家がないとか、この先ずっと住めところが早く決まって欲しいという不安を持つ方々にはできるだけ早くその不安を取り除いてあげたいなあと思い気持ちは大きいです。
もう一つこのレポートがアップされる頃10月8日はハワイの州知事ジョッシュ・グリーン氏が、ウエストマウイを解放し観光客にもきてもらうと発表しています。それに対しラハイナの住民側はまだ早すぎる、喪に服す余裕もないくらいいろんなことで忙しく働き、みんなで必死になんとか普通の生活を取り戻そうとしている時。自分たちの必要な物資でさえ足りない状況で、ホテル住まいも環境客が来るから追い出されるのでは。とても歓迎できる状態ではない。まだウエストサイドは観光を迎える準備はできていない、と反対しています。
実際に今の時点では、ウエストサイド以外はぜひきてくださいと言っているけれど、ウエストサイドも観光客が決して入れないようチェックポイントがあるわけではなく、それぞれの自主的な判断とマナーで来ないでくださいとしているのですが、そんな中でもホテルに泊まっている人もいるそうだし、ビーチでも明らかに観光客だとわかる人たちは見かけるそうです。見かけるだけならいいのですが、来ないで欲しいと言っている時に平気できてしまうような観光客ですから、ある意味マナーも良くない人も多い。ビーチで被災者の子供達のイベントをしている時に日陰に場所を取ったり、他の人に場所を譲ろうとしないだけでなく、口論になって、最終的には「お前たちのことなんて関係ない、自分はバケーションに来たんだ」と怒鳴ったり。被災者のために無料で提供されている食料の集まる場所にやってきた観光客のグループが色々もらっていったり、他にもこういう野菜はないの?など注文をつけたり。とちょっと信じられないようなことも起きています。普段ならしょうもないと流せるような出来事でも被災者の人たちはそれでなくても傷つき、ちょっとしたことでも敏感に反応する精神状態で不安と怒りを抑えて生活しているのです。クローズしている今でさえそうなのだったら、観光客に解放したらそんな摩擦があちこちで起きるのではないか、とリーダーたちは心配しています。また今でさえ通れる道が限られていて渋滞があるし、観光客はおそらくみんな丘の上からラハイナを見下ろして記念写真などを撮るでしょう。被災現場まで降りて行き、そこで作業している人たちの前で記念写真など撮られたら実際に被災した人たちはどう思うでしょうか?
今はそっとしておいて欲しい、いくら仕事が必要でも経済を取り戻さなくてはならなくても、観光客に愛想笑いを見せながらドリンクをサービスする余裕はまだないというのが本音です。もちろんラハイナ側のホテルなどで仕事していた人は早く仕事を再開して欲しいと思っていることでしょう。どうか政府がパンデミックの時のように、そんな人たちへのケアもしてくれますように。
難しい問題だと思います。でも今ラハイナの街に軽々しく観光で人が入ってきたらローカルとの衝突は決して減ることはなく確実に増えることでしょう。
画像1-5: 先週末開催されたラハイナルナ高校シーズン開幕戦、ボールドウイン高校に42対0で勝利。住民にとっては試合結果以上の力に。[出典元: Civil Beat "Lahaina’s Football Team Delivers Big Win And Heavy Dose Of Healing - Oct 1, 2023”]
画像6:ラハイナの住民は州知事ジョッシュグリーンの元にウエストサイドを観光のために10月8日オープンするのを延期するよう求める署名を集めて届けましたが、前日(7日)の今時点変更はなさそうです。
画像7:住宅問題は相変わらず課題がたくさん残されているが、いろんな団体が被災者のためにタイニーホームを作り始めている。
画像8:10月8日に観光客を受け入れるとホテルもビーチも忙しくなるだろう。しかしすでにウエストサイドを訪れている観光客はいないわけではないらしい。
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