2011-09-24

9月23日 市民の放射能測定室

マウイに戻ってきて時間に余裕ができた。やることはたくさんあるけど、やる気になるだけの余裕というか。
その余裕がいろんなことに対して考えたり、人に伝えたりする気力も自分に与え始めた気がする。

残念なことにずっとカイトをサボっていたのに急にガツンとやったせいか、腰が痛くなってしまった。筋肉なら何とかなるのだが、腰の下の部分の骨と骨の間が痛いのでこれはちょっと用心しなくてはならない。ここでぎっくり腰なんてやってられないのだ。
というわけで残念ながら早朝の波乗りもお昼からのカイトもなし、家で療養。そしてやることの整理。
整体の先生も忙しく来週の月曜までは見てもらえそうにない。
でもまだ動けない状態ではないのでこれ以上悪くならないように気をつけようと思う。

東北のことについてなかなかブログで書く暇がなかったがたくさんの仲間はいろんな形でがんばっている。復興が進むにつれて、支援、活動も幅が広がり、またいろいろな形ができつつある。何もない状態から、事業を再開したり、会社を始めたり、プロジェクトをスタートし始めた元気な被災者も大勢いる。
応援するほうもただ物資を送ったりお金を送るという形ではなく、いろんな方法で彼らがやろうとしていること、やってることをサポートするのが一番だと今は思う。とはいえ場所やシチュエーションによっていろいろなので決め付けることはできないが。

5月に初めて東北に行ったときに紹介された、有機農家の石森さん。彼は地震や津波で家が壊れたり何かを失ったわけではないが、それでも大きな被害をこうむった多くの人々の一人。
彼の住む土地は政府ではここの作物は安全と、保証も検査すらもしてくれない場所だけれど、自分で自分の土地の放射能を調べるためにフランシスまで土を送り、やはりここで野菜を育てるのは無理だとあきらめた良心の人。努力しないであきらめるのはよくない、と作っては見たけどやはり数値は自分が決めた数値よりも高く、すべての野菜を捨てたらしい。(その地域で野菜を売らずに捨てたのは彼一人らしい)
そんな中まったく収入がなく、30年かけて築いた有機栽培のための土地もすべて汚され、大変な思いでいるはずだけれど、周りでも何を食べたらいいのか、どういう生活をしたらいいのか心配している人画多いことから、政府を待っていては始まらないと、260万の借金をして放射能数値を測る機械を購入し、一般の人のために数値を計る、小さき花、市民の放射能測定室をスタートさせた。ブログなんてするようなタイプではないのだが、多くの人に正しい情報を送ってシェアする目的でブログもはじめた。

数日前に北海道の亡くなった友人太さんのことを書いた内容と重なるけれど、人間真っ正直に生きルことは決して楽ではなく、損な役割が回ってくることも多いかもしれない。石森さんもそんな人だ。ずっと原発反対を唱えていたけれど、それでも今回の原発事故では自分が30年間大事にしてきた土地を汚され、信じてきたやり方、地道に作り上げてきた生態系と土をすっかり放棄しなくてはならなくなった。それでいて、政府には保証される地域ではなく、勝手に作物を育てなかったのと同じような扱いになってしまう。
作ってみて、それで数値が低ければというむなしい願いもかなわず、結局でいた野菜はすべて捨て、また今まではそういうものを肥料として使っていたけれどそれもかなわなかった。

すべてが悪いほうへ向かってるようにも見えるかもしれないし今後どうやって生活するための資金を作ればいいのか途方にくれてしまうかもしれない。でも一生が終わるときに彼は自分は自分に嘘つくことなく正しいと信じていることだけをやってきたという自身と満足感をもって一生を終えることができるだろうし、おそらくその真っ正直さに心を打たれて応援してくれる人も出てくるだろう、。(心からそう願っている)私たちマウイの仲間からも少しばかりではあるけれど気持ちをこめてカンパしたいとおもっている。それは彼に対してというより彼がケアをしてくれるだろう、ほんとに数多くの東北に住む心配で心配で仕方ないお母さんたちへのカンパでもある。

母というものはどんなことがあっても、自分を犠牲にしてでも子供を守ろうとする。そんな中で目に見えない悪魔のような放射能におびえながら生活するストレスは想像を超えていると思う。
目に見える形で待ちの復旧が進んでいるなか、放射能に対しての復旧は進んでいるのか、あるいはさらに悪くなっているのか、私にもわからないし、まだまだ闇のなかを手探りしている気分でもある。

できる限りいろんなことを知り、考えること、それが大事なのかもしれない。そして日本中の人が放射能の恐怖と危険から解き放たれる日ができるだけ早く来ることをみんなで祈るしかない。ネガティブに考えていると悪いものを引き寄せてしまうから、明るい平和で安全な未来、ピンクや金色に輝く子供たちの笑顔をイメージして。

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