朝早く、飛行場に向かいオアフ島へと飛ぶ。60年代からシェイパーとして板を削り続けているハロルドイギーのインタビューをするため。たまたまカイトのスポンサーのボス、ピート(カブリナ)も一緒の飛行機だったのでいろいろ話が聞けた、次にどこに旅した、と言う話になると二人で盛り上がって、いろんな情報を交換し合った。大体同じようなところに目をつけていた。やはり今の時代、誰も行かないところ、人がいないけどいい波と言うスポットは行くのがとっても難しいところや、時間や労力が駆る場所になってしまう。それでも少しずつでも情報を集めていってみたところで期待していた波が来るかどうか早く即されていない、完全にスカを食らうこともある、それでも旅がおじゃんになるわけではなく、それはそれですばらしいたびになることが多いけれど。
ピートのばあい時間がない部分をお金でカバーしなくてはならないし、私の場合はお金がない部分を情報収集と時間で何とかカバーしなくてはならない。どちらにしても新しいグッドサーフへの思いは日常のエネルギー源になる。
ピートも以前はナッシュチームだったのでハロルドイギーにボードを削ってもらっていたらしい。懐かしそうにいろいろ話してくれた。
オアフに着くとカメラマンのジュリーと私を迎えてくれたハロルドとミッキーがノースショアに連れて行ってくれた。ハロルドの家は古くからのノースショアハウスと言う雰囲気があり、古いものを作り直して何かに利用していたり、(たとえばロビーが捨てようとしていたジャグジのフレームを使って作られたアウトサイドシャワー、シェイピングのくずを利用して作った孫のためのパドルなど)シンプルで無駄のないそして居心地のいい空間だった。まさにホームと言う感じ。
ハロルドは何十年もナッシュのメインシェイパーとしてやってきているため彼自身のブランドであまりボードを削ってこなかったためそれほど知られていないかもしれないが、彼の人格とシェイプに対する情熱から多くの人のリスペクトを受けている。そして70に近い年齢にもかかわらずアクテイブに波に乗ったりパドルしたりしていて驚くほど引き締まった体をしている。イギーとはもともとどこの国の苗字ですか、と聞いたら、。Okinawanだよ、といっていた。伊木(感じはわからないが)サンと言う人だったのか、と実直な彼が日本人の祖先だったことでさらにちょっとうれしくなった。
言葉数の少ない彼だけれどシェイプ自体の話になると眼が輝き、熱くなるのが感じられた。子供のころにアルバイトで新聞配達したこと意外に自分はこの人生シェイパーと言う仕事しかしてこなかった。シェイパーと言うのは仕事と言うより自分自身のようなもので、シェイプすることがとても好きなので力も入るし、常に新しく学ぶことがあるから一生終わることがないのだよ、と嬉しそうに話してくれた。
どんなことでもここでいい、と満足してしまったらそこでストップしてしまう、学ぶこと、吸収することをやめないことがいつまでも前進し続ける人生を送る鍵なのだろうな、と実感した。お金があるわけでもなく、めちゃくちゃ有名でもないけれどすばらしい家族と居心地のいい家があり、誰からも好かれて、自分の好きで一生懸命やれることが仕事である、これ以上の幸せはあるだろうか?すばらしい人生の見本を見せてもらった気がした。
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