ラハイナレポート#28 — 心からの感謝を込めて
みなさん、こんにちは。ずっとご無沙汰してしまいました。
日本は寒くなってると思いますが、みなさん、おげんきですか?
マウイも常夏とはいえ冬の季節に入ったと感じることが多々あります。
まずは日が短くなって、7時ごろまで明るくならないこと。そして朝晩少し冷えること。夏の間は毎日吹き荒れたトレードウインドは吹いたり、止んだり。そして雨が多くなり、虹もたくさん見れるようになりました。雨が多いのはジメジメして嫌ですが、虹を見ると雨があるから虹が見れるのだ、大変な時期があるからこそ嬉しいことの喜びも増すのだと、励まされる思いで、1日ラッキーな気持ちになります。
さて、お知らせしたいニュース。日本からの応援もたくさんいただいています。本当にたくさん、書ききれない、まとめきれないくらいです。ありがとうございます。今回はこちらの現状の要点だけ書かせてください。
あと数日で火災から4ヶ月がたとうとしています。島の北側、ラハイナから反対側は山を隔てて、被害も全くなく、今も以前と変わらない様子で通常の生活ができています。被災地側から来ると、その違いを目の当たりにして、何事も起こらなかったかのような錯覚を感じたり、同じ島なのにどうしてこんなにも違うのか、とギャップにショックを受けてしまうとも聞きました。ほんとにそれくらい違います。
ラハイナにあった元々の家には住めなくなり、こちら側に引っ越してきた方々や一時的に住んでいる方も多いです。被災してしまった方々が抱えている苦労は一つ一つ挙げればきりがないほどたくさんありますが、全体的に見て、今一番の問題は住宅問題です。火事が起こった時点で誰もが予想し、困惑していたものでもあるのですが、引き続き一番の問題であることは変わりがありません。もともと火災が起きる以前から、住宅問題はありました。バケーションレンタルとして高額で貸した方が利益になることもあり、長期で借りれる家、住める家が本当になくて、大きな問題になっていました。そこに、火災で何千という世帯が住む場所を失ってしまった。
借りれる家が見つかりやっとスタート地点に立った気持ちや、新しい仕事を始めた、などの嬉しいニュースも耳にする一方、赤十字から支援されているホテル住まいに滞在しながらも、いつ出なくてはならないかと常に不安が消えないとか、支援やハブの閉鎖があるとだんだん忘れられていってしまう気がして気持ちが落ち込むと言った声も入ってきています。
マウイはハワイ州知事の宣言通り観光客に対して全面的にオープン、ウエストサイドも私たち住民もが入れないところ以外はどこでも行ける状態でカアナパリやナピリのホテルも観光客が増えてきました。観光で成り立っているところもある島なので、それはそれでいいことなのでしょうけれども、観光客の宿泊のためにホテルに住んでいる被災者の人が急に出るように言われたりすることも多く、出る日になっても次どこに住めるのか知らされていない(一応出なくてはならない場合、必ずホームレスにならないよう次の居場所を用意すると政府は宣言してくれています)など本当に不安が募る出来事も多いようです。
まずはタイニーハウスと呼ばれる仮設住宅をたくさん作って、というプロジェクトもあったのですが、なぜか政府はあまり乗り気ではなく、(多分それがその後も残ってしまい住宅に関する条例に沿わない家が増えてしまうということだからでしょうか)ボランティアで一生懸命作ってくれてる人たち、教会が敷地を提供してコミュニティーとして何十世帯も住めるようなものを作ろうとしたりはしているのですがあまりニュースには出てこないし、政府の支援を受けてやってるようには見えないのが現状です。東北の震災でも小さな仮設住宅がたくさん並んでいていました。もちろん自宅とは違いますが、その記憶から、私は小さくても落ち着いて住めるスペースをみんなが確保できることを心から祈っています。
やはりみなさんの一番の望みは、元々住んでいた場所に家を立ててすみたい、ということですが、燃えてしまった場所、元の場所に家を再建するまでにはまだまだしばらくかかりそうなので、少しでも早く、その望みが実現するようなサポート体制が作られていってほしいと思います。
観光客に対してオープンしたのが早すぎた、だからホテルから出なくてはならず住むところがない、この状況に対して手を打ってほしいとカアナパリには平和的なレジスタンス行為として住民がテントを張り、ハワイの旗を立ててアピールしていますが、政府はそれに関して数週間何も行動を起こしませんでした。しかし何かしなくてはどうにもなりません。短期レンタルをしているところを長期で貸すように多くの人に声がけしていたのですが、何かメリットがないとなかなかそうはしてくれない。そんな中、昨日の記者会見ではマウイ市長が法案 131 の承認に向けて進められていると発表されました。この法案は避難家族に長期住宅を提供するため、短期賃貸所有者に不動産税の 100% 免除を奨励するというものです。正直言ってそんなことしなくてもみんなが協力してくれれば国民の税金使わずにすんでいいのにな、と思う気持ちもありますが、この法案が最終承認されれば、このプログラムは2024年1月1日から1月31日まで登録申請の受け付けを開始し、早ければ2024年2月1日から家族に長期住宅の選択肢を提供することができるとのことです。またこの法案は住宅不足問題に対する解決案の一つであり、他にも住戸を追加する、モジュール住宅のオプション、迅速化できる潜在的な住宅プロジェクトも含まれているとのことでした。
なかなか進展がない住宅問題にフラストレーションを溜めている人も多いですが、政府も今までになかった状況に対応するために精一杯考えて動こうとしているのは感じられます。だからお互い反目し合わずに協力しあって前に進んでいけるよう、自分のことだけを考えるのでなくみんなが幸せになれる形を探っていけますように。
ゴーファンドミーもはじまってから四ヶ月になります。
いまだに寄付が送られ続けていることだって奇跡のようなものです。他のところはどこもグッと減ったと聞いています。ニュースにもならないくらいですから当然ですが、みなさんが行動を起こしてくださり、寄付をしてくださり、それをみてさらにまた多くの人が興味を持ってその人たちも寄付してくださったり。また、会社や団体が寄付先を私たちのところに選んでくれることで寄付が続いています。本当にありがたいことだし、私たちも寄付が続く限りはこのサイトを運営し、寄付がなくなっても支援が必要であればそれはその時に、みなさんからいただいたいろんなアイデアや方法を使って私たちがさらに動いてお金を集めることもできるよねと話しています。まだ忙しくてガレージセールやイベントも現地では一つも開催していないんです。東北の時はそこから始まったのですが、だから私たちもまだまだ余力はあります。
マウイにまできてボランティアをしてくださってる方もいらっしゃいます。行為自体よりその気持ちにみんなが助けられ、励まされていると思います。遠くに居ても、お金がなくても祈り、心を寄せてくれてるだけで何かが動きます。それは信じているというより確信に近いです。確信できるのはみなさんのおかげです。
本当にありがとうございます。
この数日中に必ずもっと詳しいレポート書き上げてアップしますね。
心からの感謝を込めて。
画像1: 燃えてしまった幼稚園のかわりに被災者のために新しい幼稚園をワイルク地区に作る計画で私たちも支援しているIMUA Family Service が動いています。
画像2: 住宅問題をもっと真剣にかんがえてほしいという住民の思い。カアナパリのビーチでテントを張るという行動で示している。
画像3: 燃えてしまった住宅地
画像4: カアナパリビーチにテントと旗を立てて住宅不足への対応をアピールするラハイナ住民たち
画像5: ビセン市長 住宅問題への解決に向けて住民の意見を聞きながら進めようと努力している。
画像6: 被災者の意見を市長に伝えるためのコミュニティーミーティング